未経験から100日後にGTMのプロになる話【Day 1】 エンジニアにもマーケターにも有効な「GTMとは何か?」
■ タグ管理の歴史とマーケターの悲哀
はじめまして。この連載では、GTM未経験の方が100日後にはタグ管理のプロとして活躍できるように、基礎から応用まで順を追って解説していきます。
さて、マーケターの皆さん、「タグを設置してください」とエンジニアにお願いしたら、「今すぐは無理です」「次回のリリースで対応します」と言われた経験、ありませんか?
かつて、デジタルマーケティングが今ほど洗練されていなかった時代、マーケターは「エンジニアにタグ設置をお願いする」という手順を踏むしかありませんでした。その結果、
- 広告計測のタグを設置するのに1週間以上かかる
- A/Bテストをやりたいのにタグを入れるタイミングが遅く、テストの意味が薄れる
- エンジニアに『またタグですか?』と言われるのが怖い
という理不尽な状況が日常茶飯事でした。
特に、私が昔働いていた現場では、エンジニアが「またマーケの人が変なタグ持ってきた...」という顔をして受け取るのがデフォルト。「タグ設置はリリースフローに乗せないといけません」と言われ、広告の計測開始が予定より1ヶ月も遅れることもありました。
そんなある日、「タグを自由に管理できるツールがあるらしい」と耳にしました。それが Google Tag Manager(GTM) でした。
■ Google Tag Manager(GTM)とは?
GTMとは、ウェブサイトのタグを一元管理し、エンジニアに頼らずに(または頼る回数を劇的に減らして)マーケターが自分でタグを設定・更新できるツールです。
GTMの基本的な仕組みは次のとおりです。
- ウェブサイトにGTMのコンテナタグを一度埋め込む
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これを設置すれば、以降のタグ管理はGTMの管理画面から行える。
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タグ・トリガー・変数を設定する
- 計測したいタグ(GA4や広告タグなど)を作成し、どの条件で発火させるか(トリガー)を設定する。
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必要に応じて変数を使って、より柔軟なトラッキングを実装。
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プレビューモードでテストできる
- 変更を本番環境に適用する前に、プレビューモードで実際にタグが動作するか確認できる。
この仕組みにより、マーケターが「タグを入れてください!」とエンジニアにお願いすることなく、自分の手でタグを管理できるという時代が到来しました。
■ GTMがマーケターにとって有効な理由
1. エンジニアに依頼しなくてもタグが追加できる
「タグを設置してください」とお願いする必要がないだけで、どれほどのストレスが軽減されることか。GTMを導入すれば、マーケター自身がタグを追加でき、施策のスピードが格段に向上します。
2. プレビューモードで安心テスト
GTMには「プレビューモード」があり、本番環境に影響を与えずにタグの動作をテストできます。つまり、
- いきなり誤ったデータが送られる心配がない
- 「この設定で大丈夫?」と不安になる必要がない
- テスト環境がないと動作確認できない問題を回避できる
という素晴らしいメリットがあります。
3. A/BテストやキャンペーンのPDCAが速く回せる
広告のタグ設置に時間がかかってキャンペーンの開始が遅れたり、A/Bテストの計測タグをすぐに入れられなかったり...という悩みも、GTMなら解決。マーケター自身がスピーディーに設定を変更できるので、データをもとに素早く次の施策へ進めることが可能になります。
■ GTMがエンジニアにとっても有効な理由
「エンジニアはタグを直接管理できるから、GTMは不要なのでは?」と思うかもしれません。しかし、エンジニアにとってもGTMは有効なツールです。
1. HTMLを直接更新する手間が不要
エンジニアも「タグのためにHTMLを編集し、サーバーにアップロードする」という作業を減らせるため、開発の負担が軽減されます。
2. バージョン管理が簡単
GTMではタグの変更ごとにバージョンが記録されるため、過去の設定に簡単に戻せます。
3. データレイヤーを活用した拡張性
エンジニア視点では、データレイヤーを活用して、より高度なトラッキングを柔軟に設定できるのも大きなメリットです。
■ これから100日間で学ぶこと
本連載では、マーケターがGTMを自在に扱えるようになることを目標にしています。
- GTMのアカウント作成とコンテナ設定(Day 2)
- タグ・トリガー・変数の基本(Day 3〜10)
- クリックやフォーム送信のトラッキング(Day 11〜20)
- データレイヤーの活用(Day 21以降)
- 高度な設定(GA4連携・広告タグ・サーバーサイドGTM)
マーケターの皆さんが自由にタグを管理し、施策のスピードを上げるための知識を提供していきます。エンジニアに頼らずにGTMを使いこなすための100日間、一緒に学んでいきましょう!