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ネット選挙の落とし穴?公明党東京の都議選ネット広告に注目集まる

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東京都議会議員選挙が終わりました!

国会議員に引き続き都議会議員にも捜査のメスが入った自民党裏金疑惑や、石丸新党である再生の道の候補者オーディションYouTube配信、国政で勢いにのった国民民主党の首都東京での初めての党勢拡大はどうなるのか?とか、参院選の前哨戦ととらえて各党の大物が応援に入ったりと、話題に事欠かなかった今回の都議選ですが、

蓋を開けてみたら、話題の再生の道は42人全敗、一人現職のいた維新もゼロでれいわもゼロ、そんな中、なんと参政党が3議席も獲得

国民民主党は、参議院選挙の公認問題でバタバタしていましたが、現在の議席がゼロだったところが一気に9議席も獲得、勝率は5割ということで、ぼちぼちな結果ではないでしょうか?

知事与党側は、プラスもマイナスもそこまでなかった知事与党の中の知事与党の都民ファーストが党勢を拡大し、裏金疑惑の反省がイマイチ有権者から感じられなかった自民党が大きく議席数を下げたことによって、第一党が自民党から都民ファーストに入れ替わることになりました。

国政と同じく地方でも自公連携している公明党は、今回も公明党東京として22人の候補者を立てて9回連続の全員当選を目指しましたが、なんと大田区で2人、新宿区で一人の候補が落選し、全員当選はならず。

得票数に対する主要支持母体の票の割合が多いと思われる公明党は、投票率が上がり浮動票の割合が増えると組織票の票読み票割りの計画が一気に崩壊することが練馬区議選などで過去ありましたが、今回の大田区も候補者を一人にすれば余裕で当選でしたのでその辺目算が狂ったのかもしれません。

ただ一人しか擁立していない主要支持母体の本拠地のある新宿で負けたのはもうどうしようもありません。

そういった状況の公明党ですので、既存の主要支持母体だけでなく、いかに浮動票、つまり一般市民の方に政策や実績を訴えて投票をしてもらうかという外向きの広報も最近積極的にやっているようなのですが、今回は公明党東京が選挙期間中に配信したYouTube広告が話題になっています。

たまたま流れてきた上記のポストを見て、私もYouTubeを開いてみたところ練馬区の公明党都議候補者の動画広告もインストリームで流れてきました。

墨田区の候補者ほど候補者本人が目立ってはいない印象でしたが、動画に選挙運動性が無いかと言われると、都議選期間中に/選挙区の有権者にターゲティングして/政策や実績を候補者本人が語る時点で、得票を得ようとする意図を感じるのでこれで無いと判断されるのであれば、もう「投票してね」とか直接言わない限りなんでもありなんじゃないかなって思う感じです。

そもそも、ネット選挙解禁と騒がれた公職選挙法改正が行われた2012年のブログ記事にも書きましたが、ネットが当たり前に使われるようになった中でインターネットを使った選挙運動に全くルールが定めされていなかったときには全てがグレーだったことを、時代に合わせてルールを決めて白黒つけようというのが改正の趣旨だったと考えています。

ただし、ここで問題になるのが、そもそも公職選挙法自体が分かり難いので、よくわからん選挙プランナーとか選挙コンサルタントとか、先輩?政治家や秘書、選挙ゴロみたいな人など織り交ぜて、みんながみんな法律の隙間を拡げたり、グレーな部分を作ったりしちゃっている領域だってことなんです。

素人がそこに入ると何が本当か嘘かわからなくなるんです。

あ、他の候補がやっているからやっていいのかな?とか、やってると、完全に法的にはNGなことだったり、よくわかっている業者や選挙参謀?がOKと言っていたからOKみたいな政治家も中にはいるんです。

でも、よくわからんとはいえ、公職選挙法全275条、必要な所だけ取り出せば全然少ないし、そこまで難しい文章でもありませんので、まずは原典を確認しましょう。

今回に関わるところはまずココ!

(インターネット等を利用する方法による候補者の氏名等を表示した有料広告の禁止等)
第百四十二条の六 何人も、その者の行う選挙運動のため公職の候補者の氏名若しくは政党その他の政治団体の名称又はこれらのものが類推されるような事項を表示した広告を、有料で、インターネット等を利用する方法により頒布される文書図画に掲載させることができない。

ネット選挙を解禁するにあたり、持っている予算お金の多寡で選挙の公平性が崩されないように、選挙運動にネット広告を使うことは完全に禁止されています。

じゃあ、今回の公明党東京の都議選YouTube広告は完全にアウト?っていうと、そうとも言い切れないのです。

公明党東京が根拠として主張しているのはコチラの条項です。

4 前二項の規定にかかわらず、次の各号に掲げる選挙においては、それぞれ当該各号に定める政党その他の政治団体は、選挙運動の期間中において広告(第一項及び第百五十二条第一項の広告を除くものとする。)であつて、当該広告に係る電気通信の受信をする者が使用する通信端末機器の映像面にウェブサイト等を利用する方法により頒布される当該政党その他の政治団体が行う選挙運動のために使用する文書図画を表示させることができる機能を有するものを、有料で、インターネット等を利用する方法により頒布する文書図画に掲載させることができる。
一 衆議院議員の選挙 候補者届出政党及び衆議院名簿届出政党等
二 参議院議員の選挙 参議院名簿届出政党等及び第二百一条の六第三項(第二百一条の七第二項において準用する場合を含む。)の確認書の交付を受けた政党その他の政治団体
三 都道府県又は指定都市の議会の議員の選挙 第二百一条の八第二項(同条第三項において準用する場合を含む。)において準用する第二百一条の六第三項の確認書の交付を受けた政党その他の政治団体
四 都道府県知事又は市長の選挙 第二百一条の九第三項の確認書の交付を受けた政党その他の政治団体

ちょ、ちょっと待てよ、お、お前何を言っているのかさっぱりわからねえ

さっきは完全にダメって言ってたけど、特定の選挙で、特定の政党(確認団体)だったら良いって言ってんのかよ?

そうなんです。

これが公職選挙法が分かり難い一つの所以です。

あちこちで、これは禁止だけど、この条件だったらオッケー、これはオッケーだけど、この場合はダメとかもうしっちゃかめっちゃかなんですね。

なんで、これって法律違反じゃねえか、ゴラー!って言っても

まあ、落ち着いてこちらをみてください、ほら、ここに大丈夫って書いてあるでしょう?みたいなことになるのです。

今回の場合、公明党東京さんは、ほら、私たち公明党の各支部は確認団体なのでちゃんとYouTube広告も選挙期間中出せるんですよーと声明を出したわけです。

しかも、事前に東京都の選挙管理委員会に動画を送って見てもらっているんで問題ないんです、と。

その声明を受けた、公明党の支持者や主要支持母体の熱心な方が一気に先ほどのポストの投稿者を攻撃し、中には公職選挙法の虚偽事項の公表罪まで持ち出してくる人も。

でも、ちょっと待ってください。

公明党東京さんが持ちだしている総務省のガイドラインですが政党支部が確認団体に含まれるというQAの部分だけ出しているのですが、出すのであれば問22の方が適切です。

ここでも公明党東京さんが言う有料インターネット広告が許されているとちゃんと書いてありますね。

kosenho.png

でも、ちょっと、待ってください?

法律にも、ガイドラインにも書いてあって、公明党東京さんが無視している一文があります。

それは

第一項及び第百五十二条第一項の広告を除くものとする。

上記①に該当するものを除き

という文章です。

つまり、政党党では選挙期間中もネット広告出していいけど、それでもクリエイティブに候補者の氏名(類推事項=顔写真)とかを載せちゃダメ!って言っているんです。

しかも、この法律の文章凄くわかりにくいんですが、バナー広告を想定しているんですよね。。そもそもがインストリームの動画広告が許されるかが微妙なところ。

当該広告に係る電気通信の受信をする者が使用する通信端末機器の映像面にウェブサイト等を利用する方法により頒布される選挙運動のために使用する文書図画を表示させることができる機能を有するもの

単純にバナーとかリンクとか書いちゃうと、じゃあそれ以外のテクノロジーやメディアのものはよいのねーってなっちゃうんで、こんなにまわりくどい書き方しているんです。

それでもあらたなメディアやテクノロジーの登場で隙間や抜け穴ができちゃいそうなので、あえて、以下の条文を入れているんです。

2 何人も、選挙運動の期間中は、前項の禁止を免れる行為として、公職の候補者の氏名若しくは政党その他の政治団体の名称又はこれらのものが類推されるような事項を表示した広告を、有料で、インターネット等を利用する方法により頒布される文書図画に掲載させることができない。

ただし、この項に関しては政党の選挙期間中のネット広告の規制からは外れてます。

あくまで、第百四十二条の六の1項に該当するかしないか、つまりは、氏名や類推事項の表示が候補者にとっての選挙運動性があるかないかで判断されるのです。

その辺は総務省ガイドラインの以下の問が分かりやすいです。

kosenho2.png

以上を踏まえて、公明党東京さんのクリエイティブを見てください。

さて、皆さんが該当の選挙区に住んでいて、選挙期間中にこの動画(ブログ記事の最後にクリエイティブ例おいておきますね)が流れてきたら、これは選挙運動性があると思いますか?無いと思いますか?

選挙運動性がある(違法)、と選挙運動性がない(順法)は警察・検察・司法でしか判断されないので私からは皆さんへの問いかけのみとしておきます。

ちなみに当初の公明党さんの声明には、

この広告は東京都選挙管理委員会の見解をもとに作成し、事前に提示しているものです。

と言った記述がありましたが、その後、撤回訂正をされ撤回後には上記一文が無くなっています。

私も選挙を手伝っているのでよくわかるのですが、選管の人って何かの個別案件の違法順法論になると絶対に一般論しか言ってくれないんですよね。これって違法ですか?って聞くと違法かそうでないかは取り締まり機関が判断するものなので、しか答えてくれないので、当初の声明にはとても違和感がありました。

Youtube広告などのGoogle広告は広告主などで検索できるので、一部見つかった今回配信の動画クリエイティブをおいておきますねー

https://adstransparency.google.com/?region=JP&platform=YOUTUBE&domain=komei.or.jp
komeidoga.png

参考までに参政党のクリエイティブも置いておきますね。

こちらはクリエイティブは全く問題ないんですけど、大きな問題が一点あるんですよね。。

どこだかわかりますか??

https://adstransparency.google.com/advertiser/AR08381723665640718337/creative/CR10624186460942630913?region=JP&platform=YOUTUBE
sansei.png

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