クラウド・エコシステム(47)スマートフォン普及時におけるアップル、グーグル、アマゾンのエコシステム
「情報通信白書2012」では、アップル、グーグル、アマゾンのエコシステムについて紹介をしています。
アップルのエコステム
iPhone、iPad の浸透により、株式時価総額1 位になるなど、スマートフォン・タブレット端末普及により企業価値が高まっているApple 社であるが、同社の現在の主要な収益源は、iPhone、iPad をはじめとする主力端末製品の販売であるといわれる。しかし、各製品の販売と同時またはその間の期間で、iTunes(音楽・動画配信)、iBooks(電子書籍配信)やApp Store(アプリストア)といったプラットフォームや関連コンテンツの提供を開始している。端末に搭載されるアプリとマーケットとの間の連携性を確立し、対象コンテンツの範囲を音楽、動画、電子書籍と広げ、端末利用を通じて得られるユーザーの便益全体を向上させるとともに、事業としての収益性も同時に高めているところである。
なお、App Store の運営については、iPhone、iPad 端末の魅力を高めて、ユーザーや開発者をそのエコシステムの中に取り込むことが主目的ともいわれている。なお、前述したように、マーケットを通じてアプリやコンテンツを購入するためには、Apple 社に登録し、同社を通じた決済を行う必要がある。
ポイントを整理すると、以下の感じになります。
■主な収益源
iPhone、iPadをはじめとする主力端末の製品販売
■ビジネスモデル
iPhone、iPad端末の魅力を高めて、ユーザや開発者をそのエコシステムに取り込むこと
■エコシステムの柱
App Store、iTuns(音楽、動画配信)、iBooks(電子書籍配信)
■事業拡大
対象コンテンツの範囲を音楽、動画、電子書籍へと拡大
■収益拡大
端末を通じて得られるユーザの便益全体を向上させ、事業としての収益性の向上へ
グーグルのエコシステム
Google 社は、検索、地図、メールなどウェブ上で各種サービスを提供し、それをグローバルに広がるインターネット利用者に無料で提供している。主要な収益源は、各サービスへのユーザートラヒックに基づく広告収入(AdWords 等)であり、多様なサービスやアプリ等がユーザーにとっての魅力になっている。近年は、パソコン、スマートフォン・タブレット端末、テレビなどの各種端末でオープンOS プラットフォームを横断的に構築し、多様なコンテンツを提供可能とする戦略を指向しており、同社のアプリストアを経由しないアプリ配信を可能とするなど、Apple 社と比較してオープンな仕組であるといわれている。なお、同社のストア等を通じてアプリ、コンテンツを購入する場合には、基本的には同社に登録し課金システムを利用する必要があるが、我が国の移動体通信事業者が提供するAndroid 端末においては、通信事業者が提供する料金課金・回収代行を使用することも可能となっている。
■主な収益源
各サービスへのユーザトラフィックに基づく広告収入(Adwords等)
■ビジネスモデル
AndroidのオープンOSプラットフォームを横断的に構築し、多様な
コンテンツを提供可能とするエコシステム
■エコシステムの柱
アプリストア「Google Play」をオープンな仕様での展開
■事業拡大
自社の端末開発(Google Table Nexsus 7 等)
■収益拡大
Android OSやデバイスとのパッケージ化による品質向上と、
アプリコンテンツ充実による全体の集積製の向上
アマゾンのエコシステム
Amazon 社は、電子商取引、電子書籍、クラウドサービスが主力事業であり、これらのサービスを提供するプラットフォームの強化を指向している。当初、事業の収益性は低かったが、現在は、全般的に利益率が低いといわれる小売・流通業界において一定の利益率を維持している。最近では、インターネットによるコンテンツ配信機能の強化を図りつつ、電子書籍端末のKindle の開発・販売も手がけており、同端末は競合するiPad 等に比べて、機能を絞り込み価格を抑える一方、米国内では通信コストは同社が負担するなど普及に向けた取組を進めており、米国内ではタブレット端末でiPad に次ぐシェアを確保しているといわれている。このように、同社では、レイヤーの枠を超えたエコシステム構築を図る事業展開を進めている。
■主な収益源
電子商取引、電子書籍、クラウドサービス
■ビジネスモデル
上記のプラットフォームを強化したエコシステム展開
■エコシステムの柱
電子商取引、kindle Store、AWS EC2/S3等
■事業拡大
Kindleの開発・販売強化(Kindle Fire等)、タブレットコマース、AWSの機能拡充
■収益拡大
レイヤーの枠を超えたエコシステムの事業展開による収益機会の増大
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