クラウド・エコシステム(45)スマートフォン・エコノミーとスマートフォンの市場性
スマートフォンとクラウドと急速な普及が、産業構造そのものを変えようとしています。総務省が公表した「情報通信白書2012」はこの動きを「スマートフォン・エコノミー」と定義し、スマートフォンを中心にエコシステム間の競争が加速している点を指摘しています。
スマートフォンの市場の成長性
世界市場における携帯電話販売台数に占めるスマートフォンの比率は、2011 年(平成23 年)は約27%に達しています。スマートフォン比率は今後も拡大を続け、2015 年(平成27 年)5 割を超える見通しで、スマートフォンの販売台数は、2011 年(平成23 年)の4 億7,000 万台から、2016 年(平成28 年)には13 億台に、年平均22.5%での高い成長が見込まれています。
出所:情報通信白書2012
スマートフォンの世界市場におけるOSシェアの推移
次にスマートフォンにおけるシェアの推移を見てみましょう。2009 年(平成21 年)のシェアは、Symbian(Nokia 製)が47%、北米を中心に普及しているブラックベリー端末に採用されているBlackBerry(RIM 製)が20% 、iOSのシェアは14%にとどまっていました。
2011年には、そのシェアの構造は大きく変化し、Android(Google 製)が46%、iOS(Apple 製)が19%と、ほぼ入れ替わっている状況にあります。わずか、3 年という短期間で、スマートフォン端末市場は急速な変化を遂げています。
スマートフォンの世界市場におけるメーカ別のシェア推移
同様にAndroid OSのシェアの急速なシェアの伸びに伴い、メーカーのシェアも大きく変化しています。主要端末メーカー別の比較では、2009 年(平成21 年)ではOS の状況を反映しNokia 社が41%と過半数近くを占め、とRIM 社が20%のシェアと、モバイルOSと同様の比率を占めていました。
2011 年(平成23 年)では、Apple 社とSamsung 社がそれぞれ19%が上位に位置し、Nokia 社とRIM 社は大きくシェアを落とし、HTC 社やLG 社などアジア系企業もシェアを伸ばしています。特にSamsung 社は、2009年の3%のシェアから6倍を超える成長は目覚しいものがあります。
一方、日本のメーカーは、2009年では、富士通が3%、シャープ3%、NECが2%、パナソニックが2%と10社以内に4社がランクされ、10%前後のシェアを確保していましたが、2011年はソニー・エリクソンの4%の1社のみとなっています。スマートフォンの世界市場が急速に普及する中において、日本メーカー果実を得ることができず、苦戦を強いられています。日本は数年前に、独自の成長を遂げガラパゴス化と揶揄されましたが、スマートフォンの波によってその独自色も薄れつつあります。
マートフォン世界市場における地域別シェアの推移
2009年から2011年にかけてのスマートフォン世界市場の急激な変化を、地域別に概観してみると、各地域において、iOS 及びAndroid OSが大幅に伸びていますが、販売台数においては、アジア太平洋地域は4.2倍と急激な成長を見せています。その一方で、日本における台数の伸びは1.4 倍と小幅にとどまっており、市場の勢いの差が出ています。
国内におけるシェアの推移
国内に目を移してみましょう。日本のモバイルOSのシェアは世界市場と同様に、iOSとAndroid OSがシェアの上位を占めています。その結果、アップルのシェアが国内のメーカーを抑え1位となっており、日本の各メーカーがシェアを落としています。注目されるのは、Samsungが6%と大きな伸びを示しており、今後、スマートフォンの普及とともに、世界市場でシェアをリードするSamsungはGALAXYブランドを武器に国内においてもさらにシェアを伸ばしてくることが予想されます。
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