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クラウド・エコシステム(37)成長するPaaS市場

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ここ数年、各事業者からIaaSレイヤーのパブリッククラウドサービスが提供され、価格競争による低価格化とコモディティー化が急速に進んでいます。

IaaSレイヤーにおいては、Amazon Web ServicesのAmazon Elastic Compute Cloud (Amazon EC2)や、先述したOpenStack、CloudSackといったオープンソースのクラウド基盤ソフトウェアを採用するサービス事業者が増加傾向にあり、汎用的なITインフラストラクチャーとなりつつあります。

IaaSレイヤーでのコモディティ化が進むと、サービスの差別化が困難な状況になりつつあり、今後のクラウドサービスの主戦場はPaaSレイヤーに次第にシフトしていくことが予想されます。

2015年のクラウド市場はPaaSへシフトする

調査会社IDC Japanは2012年5月8日、「国内パブリッククラウドサービス市場予測」を発表しました。2011年の市場規模は前年比45.9%増の662億円で、2016年の市場規模は2011年比5.2倍の3412億円になると予測しています(関連記事)。

2011年の国内のパブリッククラウド市場は、サービスを本格展開する事業者が増加し、サービス内容の拡充が進んでいる点があげられています。特にPaaSやIaaS産業特化型のSaaSが急成長に加え、パートナー企業とのエコシステムも充実した市場の拡大を後押ししていると分析しています。

特に注目されるのはPaaS市場です。2015年には1000億円規模を超え、国内パブリッククラウドサービス市場で最大規模のセグメントになると予測しています。

また、米調査会社のガートナーが2012年2月に発表した調査レポート「Gartner Says Platform as a Service Is On the Cusp of Several Years of Strategic Growth」によると、

数多くのソフウェア・アプリケーション・ベンダーが、自社のソリューションを販売するためにPaaS を採用し、ベンダーによるPaaSへの膨大な投資が進み、今後数年で PaaS 市場が、戦略的成長市場として急速に拡大し、クラウドにおけるすべてのテクノロジーとビジネスにおいてイノベーションとブレークスルーをもたらすと予測しています(関連記事)。

ガートナーが定義するPaaSのロードマップ

調査会社のガートナーは2011年2月、PaaSのロードマップを発表しました。2013年頃には、「aPaaS(アプリケーションPaaS)」と「iPaaS(インテグレーションPaaS」の二つに統合され、2015年ごろに包括的なPaaSスイートへと集約されていくと予測しています(関連記事)。

「aPaaS(アプリケーションPaaS)」は、ユーザーが開発した個々のアプリケーションサービスとデータをホスティングして管理し、アプリケーション・サーバ、アプリケーション開発ツール、構成、ポータルおよびユーザー利便性、オーケス トレーション、データ管理、アプリケーション・セキュリティなどを集約した統合プラットフォームです。

一方、「iPaaS(インテグレーションPaaS」は、アプリケーション、プロセス、サービス、データの統合と、それに関連するガバナンスをクラウド内で実施することを可能にする統合プラットフォームとなります。

多様化、高度化する顧客ニーズ

PaaS市場が成長する背景には、顧客ニーズの多様化と高度化が急速に進み、クラウド事業者もその顧客ニーズへの対応するためサービス拡充を図っている点があげられます。

PaaSは、IaaSと比べると、サーバー、ネットワーク、セキュリティーの知識が必要なく、開発や運用が容易に実行でき、SaaSよりもアプリケーションの自由度の高いことが特徴としてあります。ユーザは、まずIaaSのレイヤでオンデマンドで仮想サーバーなどのリソースの増減ができるなどの快適性を知り、さらに上位レイヤを求めて、PaaS環境を使いサービスを開発し、サービス展開するといった段階にシフトしていく展開が予想されます。

サービス提供事業者は、これらの多様化、そして高度化するニーズに対応していくために、IaaSレイヤにとどまらず、PaaSレイヤまで含めたサービスのポートフォリオを充実させていくことが重要となっています。

 

  • (1)クラウド・エコシステムとは何か? (2012.5.14)
  • (2)登場の背景 (2012.5.15)
  • (3)注目される6つの理由 (2012.5.16)
  • (4)SIビジネスの行方 (2012.5.17)
  • (5)コミュニティの存在感 (2012.5.20)
  • (6)クラウドを推進する団体 (2012.5.21)
  • (7)オープンクラウドの展開 (2012.5.23)
  • (8)クラウド・エコノミクスの視点 (2012.5.24)
  • (9)エコシステムにおけるソーシャル・キャピタルの役割 (2012.5.25)
  • (10)グローバル市場へ (2012.5.28)
  • (11)全体最適化志向の「組み合わせ型」モデルへ (2012.5.29)
  • (12)産業構造の変化と新規ビジネスの創出 (2012.5.30)
  • (13)経営者の視点 (2012.5.31)
  • (14)ベンチャー企業の役割 (2012.6.1)
  • (15)政府の役割 (2012.6.4)
  • (16)自治体クラウド (2012.6.5)
  • (17)教育クラウド (2012.6.7)
  • (18)医療クラウド (2012.6.8)
  • (19)コネクテッド・エコノミー (2012.6.11)
  • (20)ユーザドリブン (2012.6.12)
  • (21)クラウド・イノベーションによる新たな価値創造 (2012.6.14)
  • (22)ベンチャー企業とベンチャーキャピタル (2012.6.15)
  • (23)ソーシャルゲームビジネス<前編>(2012.6.19)
  • (24)ソーシャルゲームビジネス<後編>(2012.6.20)
  • (25)電子書籍ビジネス<前編>(2012.6.20)
  • (26)電子書籍ビジネス<後編>(2012.6.21)
  • (27)スマートテレビの台頭(2012.6.25)
  • (28)スマートテレビ市場をリードするのは?(2012.6.26)
  • (29)スマートテレビのプラットフォーム覇権争い(2012.6.27)
  • (30)スマートテレビ向けの開発者獲得競争(2012.6.28)
  • (31)スマートテレビのこれから(2012.6.29)
  • (32)加熱するIaaSレイヤ競争(2012.7.2)
  • (33)クラウド上で繰り広げられるエコシステム間競争(グーグル、AWS編)(2012.7.3)
  • (34)エコシステムで対抗軸を示すOpenStack、CloudStack(2012.7.4)
  • (35)オープンクラウドを推進するOpenStack、CloudStackとは(2012.7.5)
  • (36)オープンクラウドがAWSを超える日は?(2012.7.6)
  • (37)成長するPaaS市場(2012.7.9)
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    ※担当キュレーター「わんとぴ

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