クラウド・エコシステム(2)登場の背景
第一回では、クラウド・エコシステムの概要について紹介をしました。
今回は、クラウド・エコシステム登場の背景について、これまでの背景を振り返りながら整理をしてみたいと思います。
エコシステム登場の背景
エコシステムについては、2004年の「The Keystone Advantage: What the New Dynamics of Business Ecosystems Mean for Strategy, Innovation, and Sustainability」にて、「ビジネス・エコシステム」の重要性が指摘されています。
産業構造の急速な環境変化により、自社のみで収益を得るビジネスモデルだけでは限界が指摘されるようになりました。代わりに、自社中心ではなく、事業環境としての共生的企業環境があり、その中で自社のあり方を考える手法として、エコシステムが登場しています。競争環境は企業間の競争から、クラウドにつながるクラウド・エコシステム内の共創とクラウド・エコシステム間の競争へとシフトしてきているといえるでしょう。
例えば、Amazonにおける電子書籍のモデルは、電子書籍が読めるキンドルという位置づけだけではなく、多彩な電子書籍コンテンツを持つプラットフォームと一体となって提供されており、そこに集まるコンテンツ事業者のエコシステムにより、競争優位にたっているといえます。
また、アップルにおいては、iPhoneやiPad、Macなどの魅力的なデバイスに目がいきますが、「iTunes」や「iCloud」でアップルのデバイスがクラウド・プラットフォームにつながることにより、ユーザは様々なコンテンツを楽しめ、利便性を享受できることで、絶大な支持を集めています。
テレビにおいては、これまで日本のメーカは、薄型テレビなど単体の性能をあげることで競争力を確保し収益をあげてきました。しかし、テレビ自体がコモディティ化したことで、新興国などの人件費の安い地域で製造することが容易になり、テレビ単体そのものでは競争力を維持することが困難になりつつあります。近年は、テレビがネットワーク経由でクラウドにつながり多様なサービスやコンテンツを享受できるスマートテレビが台頭しています。その代表的な企業が韓国のサムスンです。
ビジネスモデルにおいては、ハード単体としての価値よりも、様々なデバイスがクラウドにつながりコンテンツが楽しめる価値創造が重要となっています。このクラウドプラットフォーム上に様々な事業者がつながり多用なサービスを提供することで、エコシステム全体を繁栄させることができるのです。
アマゾンやアップル、そしてサムスンに代表されるように、グローバルベースでクラウド・エコシステムを構築していくことが、事業の規模の経済の拡大と、ビジネスの堅牢性を確保していく上で、重要といえるでしょう。
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※担当キュレーター「わんとぴ」
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