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オープンデータ社会(40)マイナンバー制度と医療分野でのデータ活用

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2013年4月26日、国民一人ひとりに年金、医療、介護保険、福祉、労働保険、税務などの情報を一元管理する共通番号を割り振る「共通番号制度(「マイナンバー」制度)」を導入するための法案が衆議院内閣委員会で採決が行われ、自民党や民主党などの賛成多数で可決されています。2013年5月9日の衆議院本会議で可決され、参議院に送られる見通しとなっています。

政府・与党社会保障改革検討本部は2011年6月30日、「社会保障・税番号大綱」を公表し、大綱の発表に合わせて、共通番号の名称を「マイナンバー」に決定しています。

マイナンバー導入の背景には、番号を用いて所得などの情報の把握とその社会保障や税への活用を効率的に実施することで、高齢者の増加と労働力人口の減少への対応、社会保障制度の運営の効率性や透明性、負担や給付の公平性確保などをするといったことなどが狙いとしてあります。

災害時への対応として、マイナンバーを用いて 災害時要援護者リストの作成や更新、災害時の本人確認、医療情報への活用、そして生活再建への効果的な支援なども視野に入っています。

マイナンバーでの医療分野における個人情報の扱いについては、生命・身体・健康などに関わる秘匿性の高い機微な情報が含まれることから、既存の個人情報保護法よりも厳密な取り扱いを義務付ける方針も固めています。

安倍首相は2013年4月26日の衆議院内閣委員会で、

通番号制度は、より公平な社会保障制度や税制の基盤であり、情報化社会のインフラでもある。個人情報の保護に関する国民の懸念にも、しっかり対応していく

と述べ、理解を求めています。

法案成立後は、プライバシー保護などを監視する第三者機関「個人番号情報保護委員会」を設置予定となっています。マイナンバー制度の運用は、2015年にマイナンバーを個人と法人に交付し、2016年の1月から社会保障分野・税務分野のうち可能な範囲で番号の利用を開始する方針となっており、民主党政権時の計画より1年遅れになる見通しとなっています。

マイナンバーの推進にあたっては、「政府CIO(最高情報責任者)」が、マイナンバー関連システムの調達を担当し、内閣官房や国税庁、総務省など多くの省庁がシステム調達に関わり、システムの全体最適やベンダー選定方法などを改善するなどの、調達の効率化を図っていきます。

マイナンバーと医療

マイナンバーは医療分野での活用が期待されています。政府では、関連団体や民間企業と連携し、すべての国民の医療情報をデータベース化し、全国どこでも過去の診療データに基づいた診療を受けられ、そのデータを医療機関から受け取り、自らそのデータを管理・活用ができる「どこでもMY病院(自己医療・健康情報活用サービス)」構想の検討が進められています。

医療から介護まで健康情報に係る地域の医療機関で患者データを共有し、連携できる施策展開も進められており、日常生活での健康管理や医療機関や薬局での受診、緊急処置などで、最適な健康・医療サービスを提供できるようになり、医療効率にもつながることが期待されています。

医療データを集積し、医療サービスの向上につなげていくためには、医療データの標準化や標準フォーマットの整備が必要となっており、EHR(Erectric Health Record)と呼ばれる電子健康記録の取り組みは世界各国で進んでおり、日本でも診療情報や検査情報などを効率的に収集に医療の効率化につなげていくことが期待されています。

 

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