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オープンデータ社会(34)スマートシティとデータ活用

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超少子高齢化が進み、都市部への人口集中、そして生活圏を縮小され、規模の経済から街全体を最適化し、都市インフラのあり方が議論されています。特に、新たな街づくりとしての「スマートシティ(次世代環境配慮型都市)」のあり方、さらに街づくりにおけるデータ活用のあり方への注目が高まっています。

スマートシティとは、再生可能エネルギーの活用によるエネルギー効率の向上や上下水道、行政サービス、交通機関、ライフスタイルの転換などを複合的に組み合わせたICT(情報通信技術)とエネルギーの融合が生み出す次世代環境配慮型都市のことを指しています。

スマートシティの市場規模

調査会社のIDC Japanが2012年11月26日に発表した「国内スマートシティ関連IT市場予測」によると、国内スマートシティ関連IT市場の支出額規模は、2011年が2,912億円、2012 年が3,399億円(前年比成長率16.7%)で、2011 年~2016 年の年間平均成長率は19.9%で、2016年には7,219億円へ拡大すると予測しています。

短期的には、東日本大震災の震災復興に伴うスマートシティプロジェクトの整備、長期的には家庭に設置される通信機能を備えた電力メーターで使用電力量の見える化や電力制御できるスマートメーターなど、社会インフラを介してリアルタイムで収集される膨大な量の構造化・非構造化データの整理・保存・分析を行うビッグデータ技術への需要が高まると予想しています。

さらに、エネルギー分野で進展する電気自動車(EV)/プラグインハイブリッド車(PHV)のネットワークが、中心市街地を接続拠点とする鉄道などの公共交通網と、モバイル機器やソーシャルメディアを介してシームレスに連携し、ビッグデータ利活用の共通基盤に発展するとみられています。

スマートシティにおける6つのモデル

スマートシティの考え方については、欧州連合(European Union、EU)主導の研究プロジェクトが、ヨーロッパの中規模都市のランキングを調査した「European Smart Cities」の報告書(2007年)の中で紹介しており、以下のとおり6つの分野別モデルに整理しています。

image
Smart cities -Ranking of European medium-sized cities-
http://www.smart-cities.eu/

1.スマートエコノミー(経済活動)
柔軟性の高い労働資本、国際市場への展開や生産性向上の実現などから競争優位の市場環境の創造

2.スマートエンバイロンメント(自然のリソース)
自然環境に配慮したインフラ環境整備

3.スマートモビリティ(交通)

ITS(高度道路交通システム)などの交通システムの高度化による都市生活の利便性向上

4.スマートピープル(教育と人的資本)
人の適正能力や社会性の創造。ICT(情報通信技術)活用による効果的な人材教育や育成

5.スマートリビング(生活の質)
医療インフラの整備状況、治安環境、文化施設、観光地としての魅力など文化的なインフラ環境整備による生活基盤の安定

6.スマートガバナンス(行政参加)
行政サービスの充実。オープンガバメントや電子行政。

スマートシティの適用範囲は多岐に渡っており、スマートシティの実現に向けて、気候条件や地勢条件、人口分布、産業構造、交通システム、地域のニーズや制約要件など社会における相互の関係性を最大限考慮し、時代の変化にあわせて住民ニーズと利便性や安全性を高めた街全体の最適化の視点に立った都市設計が求められています。

スマートガバナンス(行政参加)では、オープンデータも一つの鍵となっていくでしょう。

街の評価指標となるNetworked Society City Index

Networked Society City Indexは、エリクソンがアーサー・D・リトルと協同で構築した指標で、ICTの成熟が、都市の経済的、社会的、環境的な便益に寄与するという仮説のもと、ICTの成熟度とICTによる経済的・社会的・環境的な成長の相関関係を評価しています。

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http://www.ericsson.com/res/thecompany/images/press/mediakit/networked-society-index/ict-interdependencies-diagram.jpg

スマートシティを構成する6つの要素

次に、スマートシティを構成する「要素」において、主に以下の6つから整理してみます。

(1)エネルギー量の見える化を実現する「EMS(エネルギー・マネジメントシステム)」

(2)ビルのエネルギーの自動管理を行う「スマートビル」

(3)住宅のエネルギーの自動管理を行う「スマートハウス」

(4)電気自動車(EV)やITS(高度道路情報システム)などを含めた「次世代自動車インフラ」

(5)再生可能エネルギーと蓄電池との連携で電力安定供給を可能とする「分散電源システム」

(6)スマートシティを支える標準化された「都市オペレーティングシステム(OS)」

スマートシティを全体として機能させるためには、エネルギー網のインフラを整備することが核となる。スマートシティの頭脳として、それらを支えるシステムが、EMS(エネルギー・マネジメントシステム)です。

再生可能エネルギーの変動にあわせて需給バランスを調整し、電力の供給量を最適化する役割を担う。地域内の電力を制御するシステムはCEMS(コミュニティ・エネルギー・マネジメントシステム)と呼ばれています。

太陽光や風力発電などの再生可能エネルギーを活用しつつ、地域全体でのエネルギーマネジメントに取り組むCEMSが核となり、地域内での電力の「地産地消」の実現が期待されています。

都市オペレーティングシステムとデータ活用

スマートシティの構築にあたっては、標準化された都市インフラの共通基盤となる「都市オペレーティングシステム(OS)」の整備が重要となっています。

「都市オペレーティングシステム(OS)」上で地域の特性に応じた様々なソフトやサービスが提供され、自治体や民間企業、そして住民がこれらを共同利用し、街の機能の全体最適化を進めることで、住民の利便性向上や、街全体の産業や経済発展につながることが期待されています。

スマートハウス・病院・交通機関・道路・商業施設、都市における様々なシーンでの情報やアプリケーションが密接に「都市オペレーティングシステム(OS)」上で連携することで、これまでにない新たな都市機能や都市サービスを受けられることが期待されています。

スマートハウスでは、スマートメーターやテレビや冷蔵庫、洗濯機。スマートビルや電気自動車(EV)や充電スタンド、将来的にはガス会社や水道局などありとあらゆるものがネットにつながり、都市空間には膨大なデータが蓄積されます。

電力などの利用履歴や利用者側のデータが集積されれば、例えばエアコンの温度設定やよく使っている機能などをもとに、サービス提供者側はユーザのニーズにあわせて様々なサービスを開発・提供できるようになるでしょう。利用者側にとってもそのデータを活用することで利便性が向上し、生活意識の変化や行動様式が変わる可能性があります。

「都市オペレーティングシステム(OS)」上で膨大に蓄積されたデータを組み合わせ、分析・処理するための共通化された情報配配信基盤を構築・整備し、高度な制御による街全体の最適化をはかることが必要となっています。

IDATE Research社が2012年7月に公表した「Digital technology behind the smart city」では、スマートシティのモデルにおけるアーキテクチャーモデルが示されています。

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http://www.idate.org/en/Research-store/Collection/Innovation-Reports_27/Smart-Cities_741.html

これらのデータ活用のためには、都市OSの共通プラットフォームとして統合されるためのキーとなる人に紐付けられるマイナンバー、企業に紐付けられる企業ID、さらには「もの」、「場所」、「時間」なども地域データとしてデータ共通化してマネジメントし、APIなどを通じて二次利用でき、地域の競争力につながる独自のアプリケーションサービスとして展開できるような仕組みづくりが必要となっています。

分野別のアプリケーションやサービスでは、防災、エネルギー、医療・教育、農業、交通などが想定されます。これらのサービス創出のためには、地図データや住民データなどの基本となるデータは共通化し、たとえば、防災ではポーリングデータや自治体のハザードマップなど目的別に地域における様々なオープンデータをアドオンしていけるように、効率的なデータ公開の仕組みづくりも必要となっていくでしょう。

 

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