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オープンデータ社会(23)パブリックデータを整理する

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オープンデータ社会(14)パブリックデータとは?にて、パブリックデータについて一度整理をしてみましたが、これまでのブログを踏まえ、図式化して再度整理しみたいと思います。

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公共性の高いパブリックデータ(Public Data)を、大きく分けて、Public Sector Infomation、Open Goverment Data、Open Data、Public Big Dataに分類してみました。

パブリックセクターインフォメーション:Public Sector Information(PSI)

政府や自治体などの公共機関が保有する情報です。

たとえば、自治体の場合では、住民記録、印鑑証明、外国人登録、国民健康保健、国民年金などの「住民記録データ」や個人住民税、固定資産税、軽自動車税などの「税に関するデータ」、介護保健、後期高齢者医療、障害者福祉、子育て支援医療、母子医療、老人医療、障害者医療、児童手当などの「医療・福祉データ」などがあります。公共機関が保有する情報の多くは非公開(クローズド)の情報となります。

東日本大震災において、自治体の住民データなどの多くの住民生活に関わる多くの基本データデータが津波で流された。そのため、情報の保全やデータのバックアップの必要性が高まっています。 各自治体においては、ほぼ同様の情報を扱っており、自治体クラウドなどによるシステム共通化による効率化に向けた取り組みの検討が進められています。

また、年金や健康保険などの社会保障給付データと納税のデータを1つの個人番号で管理する「共通番号制度(マイナンバー)」を2016年1月から導入する予定となっており、個人情報に安全にアクセスするための制度やシステムの検討が進められています。

オープンガバメントデータ:Open Government Data

政府や自治体などの公共機関が公開する二次利用可能なマシンリーダブルなデータです。

オープンデータは、主に政府や自治体などの公共機関の行政情報をマシンリーダブルな形で二次利用可能なフォーマットで提供するデータがを指します。

行政区等の「地理情報」、海洋情報等の「気象・環境情報」、経済統計等の「経済・ビジネス情報」、人口や意識調査や労働等の「社会情報」、渋滞情報等の「交通情報」、観光統計等の「観光・レジャー情報」、農地利用や漁獲等の「農林・水産・林業情報」、地球物理等の「資源情報」、犯罪や特許や商用等の「法務情報」、大学研究等の「科学・研究情報」、学術論文等の「教育情報」、政府官報や白書等の「政治情報」、美術や図書館等の「文化情報」などが挙げられます。

オープンデータ:Open Data

二次利用可能でマシンリーダブルなデータには、公共機関だけでなく、民間企業がデータを公開するケースもあります。

たとえば、Yahoo! Open Local Platform では、地図、地域・拠点情報、ルートに関する機能を無料で利用することが可能です。開発者向けに地図・地域情報のAPI・SDKを各APIが共通で使えるデータフォーマットで提供しています。

これらの環境を活用することで、ウェブページの制作だけでけでなく、スマートフォン向けの地図表示や店舗・施設検索、ジオコーディング、ルート検索などの機能を活用し、サービスを提供することができるようになります。

パブリックビッグデータ:Public Big Data

社会基盤となる公共性の高いビッグデータです。

(震災ビッグデータ)
3月3日に放映されたNHKスペシャル「“いのちの記録”を未来へ~震災ビッグデータ~」もこのカテゴリに入ると考えています。

震災に関するデータは、様々なデータがありますが、震災に関する社会基盤となる公共性の高いデータは、震災ビッグデータと定義します。

2011年9月12日に開催された「東日本大震災ビッグデータワークショップ - Project 311 -」では、震災発生から1週間の間に実際に発生したデータをワークショップの参加者に提供し、参加者がそのデータを分析することで、今後発生する災害において、どのような対応できるか議論しサービス開発を行う取り組みが行われました。グーグルやNHKやホンダ技研工業やゼンリンデータコムなど8社から震災後の1周間のデータが公開されました。

震災ビックデータからオープンデータとして公開されるケースもあります。

(センサデータ)
社会基盤となる公共性の高いデータには、温度・湿度センサ、CO2・花粉センサといったセンサデータで動的でリアルタイム性の高いストリームデータがあげられます。

センサーデータには、その他、加速度・振動センサ、湿度・温度センサ、水分・流量センサ、熱量センサ、濃度・粘度センサ、圧力センサ、ひずみセンサ、光(赤外線)センサ、磁気センサなどがあります。

これらのデータを収集し利活用することで、農業や都市計画、環境対策、防災、資源管理、危機保全、気象・大気観測、医療、国土保全といった分野においての生産性の向上や新サービスの創出などが期待されています。

特に、全国の橋や道路、水道といった社会インフラが一斉に寿命を迎えることになり、国土基盤ストックの維持管理や更新費用は、今後増加を続け、2020年には約12兆円になると予測しており、センサデータを用いて効率的に維持管理を行うことが期待されています。

(スマートメーター データ) 

家庭内の通信機能を持ったスマートメータ(次世代電力計)が、ネットワークで電力会社のセンターと接続することによって使用電力の見える化などを提供するスマートグリッドも注目されています。各家庭にスマートメーターが設置され、スマートグリッドが街全体に普及することになれば、人による検針作業は不要となり、電力制御による給電の最適化も行えます。さらにはスマートメータなどスマートグリッドに接続された個々のデバイスから発生する電力利用データを活用することで、電力需給をオンデマンドでコントロールするデマンドレスポンスを行うことができ、様々なサービス創出も期待されます。

(プローブデータ)

自動車がネットワークからクラウドにつながれば、自動車から発信されるワイパーやブレーキから発信されるプローブ情報から、運行情報を把握して渋滞を緩和させるといったように、社会経済の効率性を高めることも可能となります。

(M2Mデータ)

モノのすべてがインターネットにつながり、機器と機器とをクラウドでつなぎ高度な制御を実現する「M2M(マシン・ツー・マシン)クラウド」の世界が実現すれば、データの効率的な収集が可能となり飛躍的に効率性や利便性の高い社会が享受できるようになるでしょう。

パブリックデータに関する位置づけは、これからも何度か時間をかけて整理をしていきたいと考えています。

 

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