オープンデータ社会(4)民間事業者の参入
各国政府では、オープンデータを積極的に公開することで、政治の透明性の向上を図るとともに、経済への波及効果を期待していますが、民間事業者の参入は十分ではなく、期待されている産業創出や市場拡大は限定的となっています。
オープンデータへの関心や認知度は必ずしも高い状況ではなく、オープンデータを活用した民間事業者の参入を促し、オープンデータを活用したプラットフォームを核としたエコシステムを形成し、ユーザに利便性の高いサービスとオープンデータの価値を実感できる環境づくりが必要となります。
こうした状況の中、民間ビジネスの参入と育成を支援することを目的として、各国政府の主導による支援団体の新設や支援のための活動が始まっています。
イギリスのOpen Data Institute(ODI)
イギリス政府は2011年11月、オープンデータを活用したビジネスを本格的に支援するオープンデータ研究所「Open Data Institute(ODI)」の設立と、ODI設立後の5年間にわたり政府より1000万ポンドを拠出することを発表しています。ODIの設置を支援しているのは、イギリス政府の技術戦略審議会(Technology Strategy Board)です。
2012年5月には「ODIのオープンデータ実行計画(Implementation Plan 2012 and beyond) 」を公表し、オープンデータに関する技術やサービスの開発に取り組み新たなビジネスを創造するスタートアップ企業の支援や人材開発を目指しています。さらに、オープンデータを利用するスタートアップ企業のインキュベーターとしての機能を持ち、収益獲得が可能なビジネスモデルを開発し、イノベーションを促進することを狙いとしています。
ODIは2012年12月より正式に始動し、オープンデータ実行計画にもとづき、支援を実施している4つのスタートアップ企業を公開しています。この4つのスタートアップ企業は、ビッグデータの活用コンサルや環境配慮型のクラウドサービスを提供する「Mastodon C」、公共交通機関のオープンデータ向けのアクセスAPIとデータセットを提供する「Placr」、不動産情報と不動産を探している人のマッチングを支援する「Locatable」、世界中にある企業データを収集して提供する「OpenCorporates」となります。
オープンデータ社会(1)オープンデータとは? 2013/01/21
オープンデータ社会(2)米政府におけるオープンガバメントの取り組み 2013/01/22
オープンデータ社会(3)世界の政府におけるオープンデータ戦略の取り組み 2013/01/23
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