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オープンデータ社会(33)日本版ITダッシュボードについて

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政府は2013年4月17日、「第6回産業競争力会議」を開催し、安部首相は、次世代インフラ、科学技術イノベーション・ITの強化、立地競争力の強化について推進することを表明しています。

第6回産業競争力会議(4/17)の成果

次世代インフラ
・最先端の技術を活用しインフラを管理する「インフラ長寿命化計画」策定推進
・自動運転技術の早期確立と公道走行に向けた環境整備。

科学技術イノベーション・ITの強化
総合科学技術会議の司令塔機能による府省横断型の研究開発プログラム創設。
・IT利活用の裾野拡大に向けた規制・制度改革のアクションプランを策定。
・公共データの民間開放推進のためのルールを整備。

立地競争力の強化
・既存の特区を検証の上、国の主体的な関与を高めた特区制度の見直し。
・公共施設の運営を民間に委ねる方式(コンセッション方式)の活用拡大。

科学技術イノベーション・ITの強化では、公共データの民間開放推進のためのルールを整備という明記がされているように、オープンデータの活用に向けたルール整備が重要な位置づけとなっています。

新たなIT戦略(安倍ビジョン)

本会議で、山本情報通信技術(IT)政策担当大臣が「新たなIT戦略(安倍ビジョン)の策定に向けて」を発表し、「ITインフラ」と「IT利活用」の2つの面で、「世界最高水準のIT社会」を実現することを目標とし、IT戦略の検討の方向性が示されています。

電子行政の推進においては、公共データの民間開放(オープンデータ)の推進も示されており、公的機関が保有するデータを、民間が編集・加工等をしやすい形で、インターネットで公開し、民間新サービスや新ビジネスの創出につなげていくことを明記しています。

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http://www.kantei.go.jp/jp/singi/keizaisaisei/skkkaigi/dai6/siryou12.pdf

具体的な取組としては、

○ 公共データの自由な編集・加工等を認めるルールの整備
○ コンピュータで処理しやすいデータ形式での公開
○ データの案内・横断的検索が可能な「データカタログ」(ポータルサイト)の整備

をあげています。

本資料では、海外におけるオープンデータの活用事例として、米国のMRIS 「住む前に全てが分かる不動産高度情報サービス」の取り組みが紹介されています。公共機関が提供する公共交通機関、気候、人口統計などのデータなどの情報を集約・整理して不動産業者や一般消費者へ分かりやすく提供するサービスを有償サービスとして提供し、推定年間売上高は約5000万ドルにのぼっています。

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http://www.kantei.go.jp/jp/singi/keizaisaisei/skkkaigi/dai6/siryou12.pdf

日本版ITダッシュボード

政府は、政府全体のIT投資の適正化に向け、政府によるIT投資を国民に対して透明化する「日本版ITダッシュボード」の整備を行なっていくことを明らかにしています。

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http://www.kantei.go.jp/jp/singi/keizaisaisei/skkkaigi/dai6/siryou12.pdf

米国の「IT Dashboard」は、2009年6月に「USASpending.gov」サイト上で、連邦政府のIT予算の執行状況をカラーでビジュアル化した情報を公開しています。どのITプロジェクトが予定から立ち遅れているか、どのプロジェクトが採算を下回っているかといったコスト、スケジュール、CIO評価 (リスク管理、要件管理など)の3つの要素で評価した結果が表示され、国民が監視できるようにしています。 「IT Dashboard」は2011年5月にオープンソース化したことを発表し、海外の政府機関や米国内の州政府、地方政府、開発者のカスタマイズでの利用が可能となっています。

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http://www.itdashboard.gov/

米国のダッシュボードは、IT投資情報を公開することに重点においていますが、日本版ダッシュボードは、26年度早期に上記機能を実現に加えて、IT投資管理を充実させるための機能となる「開発計画・実績情報」、「技術情報の蓄積・公開」を拡張的に追加していく予定となっています。

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http://www.kantei.go.jp/jp/singi/keizaisaisei/skkkaigi/dai6/siryou12.pdf

日本政府は、政府CIO設置による政府全体のガバナンスを強化によって、各府省のIT投資管理やレビューの高度化を進め、国民は政府全体の投資状況や実施状況の確認を行い、ITベンダはこれらのデータを活用することで、IT投資の適正化や高度化を進め、税金の効果的活用と利便性の高いシステムを実現し、IT業界の成長を促進することを目指しています。

 

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