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20年以上断続的にこのブログを書き継いできたインフラコモンズ代表の今泉大輔です。NVIDIAのフィジカルAIの世界が日本の上場企業多数に時価総額増大の事業機会を1つだけではなく複数与えることを確信してこの名前にしました。ネタは無限にあります。何卒よろしくお願い申し上げます。

農機最大手クボタと米John Deere。2025年のCES出展内容と2026年の出展予測【CES2026視察ツアー】

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ロボティクスがご専門の廣川謙一さんは農業機械の展示にも興味があり、今年のCES2025ではクボタと米最大手John Deereの展示を見ておられました。2026年もLVCC会場で展示される両社のブースを訪問して、CES2026視察ツアーの皆さんに解説をなさいます。

廣川さんの解説付きで農業機械最大手2社のブースを見ることができる機会は大変に貴重です。お一人で訪問されても何がなんだか訳がわからないうちに終わってしまいます...。会場も広いですし。

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【廣川謙一さんプロフィール】

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ラウンズベリー・アソーシエイツ代表

マッキンゼー、GE本社経営企画で新規事業および海外事業の成長戦略立案・実行を担当。

2016年よりシンガポールでロボットおよびイノベーションの導入立案、2019年より国立シンガポール大学、南洋理工大学などで起業の教育・指導などを行う。1998年より日本で8千億円以上の不良債権を処理。

知能ロボットの研究で工学修士。大学院在学中にMITの人工知能研究所に留学。知能ロボットの研究を行う。三菱重工、マッキンゼー、 GE、アーンスト・アンド・ヤングコンサルティング(日系金融機関担当ディレクター)などを経て、2002年にアメリカで独立。


以下ではCES2025のクボタとJohn Deereの出展内容の確認と、CES2026の出展内容の予測を行います。

特にクボタはCES2025で、全地形型プラットフォーム「KATR(All-Terrain Platform Vehicle)」が「CES Innovation Awards 2025」の「Industrial Equipment & Machinery」部門 Best of Innovation を受賞しています。

CES2025のクボタの展示内容

基本概要

  • 出展テーマ:「Smart Innovation for You」。食料・水・環境という社会課題に応えるビジョンを掲げ、自動化・AI・コネクティビティ・サステナビリティを融合した技術展示。

  • 展示カテゴリ:ぶどう畑・果樹園・建設現場・レジデンシャル(家庭/造園)という4つの領域において、最新技術を提示。

  • 受賞実績:全地形型プラットフォーム「KATR(All-Terrain Platform Vehicle)」が「CES Innovation Awards® 2025」の「Industrial Equipment & Machinery」部門で Best of Innovation を受賞。

主な出展技術・製品ハイライト

以下、出展された代表的な技術・製品を挙げます。

  • KATR(All-Terrain Platform Vehicle):四輪+脚部を備え、傾斜地・凹凸路面でも荷台を水平に保ちながら走行・作業可能。農業・林業・建設・災害対応まで用途を想定。自律走行/遠隔操作両対応。

  • Agri Concept 2.0:電動・自動運転農機コンセプト車。AIによる周辺状況判断、自動運転 ⇄ 手動運転切替機能あり。農機としての"選択肢"を提示。

  • Smart Plant Imager:ロボットアーム搭載ハイパースペクトルカメラ+AI画像解析による果実糖度・品質の自動評価システム。営農現場の"見える化"強化。

  • Smart Robotic Pruner:果樹・ぶどう園など向け、自動剪定ロボット。芽・枝・幹をAIが識別し、最適な剪定場所を判断・自律作業。

  • Smart Autonomous Sprayer(KFAST):完全自律走行の薬剤散布機。カメラ+センサーで害虫を検知し、ピンポイント散布。農薬使用量の削減・作業負荷軽減を狙う。

  • Smart Autonomous Mower:造園・商業用途向けの自動運転芝刈機。複数台協調作業、GNSS/LiDAR等のセンサー統合。

  • 電動ミニバックホー KX038-4e:建設機械分野。ゼロエミッション・静音性を実現し、住宅地・屋内施工も視野。

  • 水素エンジン搭載発電機(デンヨー共同開発):農業&建設向けクリーン電源ソリューション。CO₂排出を低減。

CES2026のクボタの出展予測

  1. 全地形型プラットフォーム「KATR」の実運用デモ強化

  • 2025年はCES Innovation Awardsで「Best of Innovation」を受賞し、果樹園・建設・レジデンスなど複数ユースケースで展示済み。2026年は"導入準備"を前提に、ブドウ畑・果樹園・建設現場での協働運用や付加機器(運搬・草刈・散布)の拡充、保守契約やSaaS連携まで含む"商用パッケージ"を提示する蓋然性が高い。

  1. 「Type:V/Type:S」協調作業の"複数台オーケストレーション"

  • 万博「Future City」展示で示した完全無人プラットフォームのコンセプト(うね幅に合わせて車高・車幅調整、傾斜地の水平維持)を、CESでは複数台の自律協調作業デモへ発展させる可能性。"人手ゼロ×高精度×安全"の現場統合を打ち出すと見込まれる。

  1. KSAS(FMIS)×ISOBUS/TIM連携の"グローバル版"訴求

  • KSAS(クラウドFMIS)と味度・収量センサ等のデータ統合を、ぶどう・果樹・穀物など海外作物にも拡張。ISOBUS/TIMによる他社実装との相互運用を前面に出し、サブスク型の"営農PDCAプラットフォーム"としての収益モデルを具体化してくる公算。

  1. 自律×AIセンシングの"ステップ3"到達ロードマップ更新

  • GNSS自動化→無人監視運転(ステップ2)を達成済。人・障害物検知(AIカメラ、ミリ波、レーザ、ソナー)や3Dマップ、圃場間自動走行、遠隔複数機管理など"完全無人(ステップ3)"へ向けた進捗・スケジュールを明確化してくる可能性。

  1. NVIDIA連携の"オンボードAI"を明示(Jetson世代の搭載想定)

  • 2020年からの戦略提携をベースに、画像認識・経路最適化・群制御の推論をエッジ実装。通信不安定環境でも自律度を維持する"現場AI"として、推論モデルの軽量化・冗長化・OTAアップデートまで含めて提示する可能性。

  1. 「水素×自動運転」コンセプトの北米提示

  • 2025年秋に世界初の"自動運転×水素燃料電池トラクタ"コンセプトを発表。CES2026では北米聴衆向けにデモ/静態展示し、脱炭素・長時間作業・補給インフラ連携の方向性を訴求してくる蓋然性。

  1. "非農業"市場(建設・災害対応・林業)への横展開

  • KATRやType:Sの"悪路水平化"能力を、資材運搬・法面草刈・被災地物資搬送などに横展開。TCO(人件費・安全・停止損失)での優位と、自治体・保険・建設大手とのパートナー発表が想定される。

  1. "導入ファイナンス+保守"モデルの具体化

  • 複数台協調やSaaS(KSAS)込みの"機械+運用+データ"のセット提供。残価設定、可変契約、季節別サブスク、遠隔監視付き保守など北米市場に合う販売金融の開示が見込まれる(※論理推定。根拠は同社のプラットフォーム化の方向性)。

CES2025のJohn Deereの展示内容

  • Deere は「第二世代自律化キット(Second Generation Autonomy Kit)」を発表。農業・建設・商業造園という複数用途向けに、自律走行マシンを拡大すると宣言。

  • 展示モデルとして以下の機械が紹介されました:

    • Autonomous 9RX Tractor for Large-Scale Agriculture(大規模農業用トラクター)

    • Autonomous 5ML Orchard Tractor for Air Blast Spraying(果樹園/高付加価値作物向けトラクター)

    • 460 P-Tier Autonomous Articulated Dump Truck (ADT) for Quarry Operations(採石場・建設現場向け大型無人ダンプ)

    • Autonomous Battery Electric Mower for Commercial Landscaping(商業造園向け無人バッテリー式芝刈機)

  • 既存機械へのレトロフィットキット提供も明示。つまり「新機械だけでなく、現場にある機械の自律化アップグレードを可能にする」ことを示しています。

  • 制約背景として「熟練労働力の不足」や「決まった作業期(農耕・建設・造園)に間に合わせる必要性」がキーメッセージに。

CES2026のJohn Deereの出展予測

  • 農機・建機向けの第3世代自律運転機械:Jetson Thorなど最新Jetsonモジュールを搭載、リアルタイム推論+マルチモーダルセンサー(カメラ・LiDAR・レーダー)統合

  • 既存機械へのレトロフィットキット:Jetsonベースの"プラグイン自律化ユニット"を紹介し、旧型トラクター・ダンプトラックの自律化を促進。

  • 建設・採石・林業など"農業以外用途"への適用展示:重機と同じJetsonベース制御基盤を共有して、スケールメリットを打ち出す。

  • エッジAIとクラウド制御のハイブリッド:ジョンデアのOperations Centerと連携し、Jetson上で処理しつつクラウドでリモート監視・最適化。

  • パートナーエコシステム開示:Jetson/センサー/部品メーカー/データサービス企業との協業モデルを明示し、部品・センサー供給サイドへのメッセージも含む。

【締切直近!】元マッキンゼー廣川謙一さんと行くCES2026視察ツアー
世界最大のテック見本市を現地で体感。AI・ロボティクス・モビリティの最前線を
廣川さんが会場内で解説します。
2026年1月5日羽田空港発、1月10日羽田空港着、5泊6日(うち1泊は機内)。
ビジネスクラスのオプションがあります。
最少催行人数10名、定員20名。JTB ウェブにて申込受付中。申込締切は11月14日!

廣川謙一さん(元マッキンゼー) 詳細を見る
JTB申込ページOASYSへのリンク

開催地:ラスベガス/開催時期:2026年1月
旅行実施:株式会社 JTB ビジネスソリューション事業本部 第六事業部
企画:株式会社インフラコモンズ
監修:ラウンズベリー・アソーシエイツ

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