NVIDIAフアンCEO、サムスン会長、現代自会長が韓国でフライドチキンとビール→大型AIファクトリー発表
数日前、Xで色々なアカウントからNVIDIA CEOジェンセン・フアンがフライドチキンをガツガツ食べ、生ビールをぐびぐび飲む動画が流されました。脇にはサムスン会長李氏、それからもうお一方、確認すると現代自動車会長の鄭義宣氏。わきあいあいとした様子から、何かの重要なミーティングがあり、その打ち上げなんだろうなと窺わせました。
果たしてその後、以下に見る大型の商談がまとまったというニュース。
ITmedia: NVIDIA、Samsungなど韓国大手の「AIファクトリー」建設に26万基以上のGPU
日本では見ることがないかなり大型のAIデータセンター案件のようなので、いつものようにChatGPT 5に特殊な仕掛けをして、解説させました。
(第一に自分がXで見つけた特殊な情報ソースをChatGPT 5にインプット。第二に日本の記事をインプット。第三に韓国語メディアだけでその背景を調査をさせる。これによって日本のメディアでは絶対に報じられない記事ができる。)
背景:韓国における「AIファクトリー構想」と NVIDIA の大規模GPU供給
まずは、11月1日付の日本語報道記事 「Samsung Electronics・韓国大手に26 万基以上のGPU」について整理します。
「Samsung Electronics、韓国大手の『AIファクトリー』建設に26万基以上のGPUを調達」 AP News
具体的には、NVIDIAが韓国政府・大手企業(Samsung Electronics、SK Hynix、Hyundai Motor Group)と協業し、約260,000基(26万基)ものGPUを韓国国内に供給するという発表がありました。
この枠組みのポイント:
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国家と企業のAI基盤整備(クラウド、半導体製造、次世代自動車/ロボティクス)を意図。AP News
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NVIDIAの最高級GPU(Blackwell世代など)を想定しており、韓国がAI競争・半導体競争で一歩踏み込むという合図でもあります。
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今回の発表は、韓国における「AIファクトリー」や「スマート製造/スマート自動車」への構想を加速させるものと評価されています。
 
この動き自体が、韓国におけるAI・半導体・自動車産業の連携深化を象徴しており、グローバルテック企業(NVIDIA)と国内韓国大手との"伴走"関係が浮き彫りになっています。
「치맥(チメク/チキン+ビール)」会合の意味合い
次に、話題になった Jensen Huang(NVIDIA CEO)による韓国での"チキン+ビール(치맥/チメク)"会合について整理します。
事実関係(韓国語・英語報道から)
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2025年10月30日夜、ソウル・江南区の人気チェーン店「깐부치킨(Kkanbu Chicken)/三星駅(삼성역)近く」で、Jensen Huang、Samsung Electronics会長 Lee Jae‑yong(이재용)、Hyundai Motor Group会長 Chung Euisun(정의선)が「치맥(チキン+ビール)」会合を実施。朝鮮日報
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Huang氏は同席の2名に、NVIDIAの小型AIスーパーコンピュータ「DGX Spark」らしき製品を贈り、「TO OUR PARTNERSHIP AND FUTURE OF THE WORLD」というメッセージ付きだったとの報道もあります。매일경제
(今泉注:過去数日、イーロン・マスクなどAI業界のリーダー達にジェンセン・フアンが手渡しでDGX Sparkを渡している。これには象徴的な意味がある。つまりジェンセン・フアンがこれらの人々がこれからのAI世界を牽引する人々だと公認したということ。) - 
報道写真・SNSで、「3人が腕を組んで乾杯 ('러브샷')」する姿や、市民にチキンを振る舞った場面なども確認されています。경향신문
 
なぜこの"軽い会合"が注目を浴びたか
一見すると"チキンとビールを共にする"だけのイベントですが、ビジネス/政策的観点から以下の意味合いがあります:
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韓国のトップテクノロジー/自動車企業トップと、AIチップ世界大手のCEOが"こぢんまり"と会することで、文字通り"パートナーシップ"を象徴的に可視化した。
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韓国語報道ではこの会合を「AI 깐부 치맥(AI "カンブ/仲間"チキン+ビール)」「우린 깐부(僕たちは仲間)」という言葉で紹介しており、形式よりも"信頼関係""仲間"を前面に出しています。hani.co.kr
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また、同時期にGPU大量供給の報道があり、この会合が"話をまとめる前段""場づくり"として、産官+民企業+グローバル企業の合意・意向を示したものという解釈が可能です。
 
両者の関係/流れを整理
では、ニュース(GPU26万基供給)とチメク会合がどのように結びつくのか、整理してみましょう。
| 番号 | 出来事 | 意味・解釈 | 
|---|---|---|
| ① | 韓国政府・大手企業とNVIDIAの間で、約26万基のGPU供給契約(もしくは合意)報道。AP News+1 | 韓国がAI・半導体・スマート自動車へ大規模投資へ舵を切ったことを示す。NVIDIAも韓国を戦略的重要拠点と見ている。 | 
| ② | 10月30日、Huang氏とSamsung・Hyundaiトップによる"치맥会合"。hani.co.kr+1 | 単なる懇親ではなく、信頼関係構築/パートナーシップを象徴的に演出。報道を通じて"AI+韓国"の連携が国民的に可視化された。 | 
| ③ | ①と②の時期が近接しており、②の"演出会合"が①の実務合意を補強する役割を果たした可能性がある。 | ビジネス・政策的には、トップの顔合わせで"合意の温度"を示し、その後具体契約(GPU供給)が流れるというパターン。 | 
| ④ | 両者を合わせて見ると、韓国が"AIファクトリー"構想を加速させ、NVIDIAがそれにおける"GPU供給者+エコシステムハブ"として位置付けられている。 | 日本企業目線では「韓国とNVIDIAがAI+半導体+自動車連携で加速中」というインパクトが読める。 | 
つまり、チメク会合は"軽く見えるが意味深い"シグナルであり、GPU26万基という具体数字の発表は、そのシグナルが実務合意にほぼつながっていることを示しています。
日本のビジネスパーソンへの示唆
この流れを踏まえて、日本の事業戦略・投資戦略・産業政策を考えるうえでのポイントを整理します。
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「信頼・顔合わせの演出」が重要
韓国では"치맥"というカジュアルな場を使ってトップが会しており、フォーマルな会議室ではなく"食事+ビール"という形式で親密性・非公式な関係を築いています。これは、ハードウェア供給・技術協力など実務では「まず信頼・関係構築」が鍵であることを示しています。日本企業でも、フォーマル合意前に"場づくり・顔合わせ"を丁寧に行うことで、実務交渉・契約スピードが変わるでしょう。 - 
「大手企業×グローバルプラットフォーマー×国家戦略」構図
韓国側はSamsung/Hyundaiという国内大手を軸に、NVIDIAというグローバルプラットフォーマーと組み、国家的AI基盤を整備しようとしています。日本でも、例えば自動車・半導体・AIベンダー・国策(経産省、NEDO等)を横断する連携スキームを構える必要があります。単独企業ではなく「産官学+外資プラットフォーマー+大手産業プレイヤー」の三位一体が鍵です。 - 
「量(26万基)+質(最先端GPU)=スピード感」
GPU26万基というスケール、そしてBlackwell世代など最先端とされる技術を組み込むという点から、韓国も「時間軸を先倒しする」意志が見えます。日本の建設/製造業界でも、AI/ロボット化のロードマップを描く際には、量を伴った"先行インフラ整備"があるか否かが競争力の分かれ目となるでしょう。 - 
「可視化・話題化」が投資マネーを引き寄せる」
チメク会合を巡って、韓国のフライドチキン関連株が暴騰したという報道もあります。マーケットウォッチ これは一種の"話題化"の効果であり、技術・インフラの話だけでなく、マーケット・世論・メディアとの関係も重要です。日本企業も"ストーリー化"を欠かさず、社内外に示すことが「資本や政策支援を引きつける」鍵になります。 
おさえておきたい韓国語キーワードと文化的視点
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치맥(チメク):치킨(チキン)+맥주(ビール)の造語。韓国では"友人・同僚とカジュアルにチキンとビールを楽しむ"文化を指します。
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깐부(カンブ):直訳すれば「仲間」「親しい友人」。"깐부치킨"という店名にも使われており、Netflixドラマ オジンオゲーム(Squid Game)でも「깐부=信頼できる仲間」というスラングとして用いられています。hani.co.kr+1
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韓国では「公式の場=会議室」だけでなく、「非公式の場=食事・酒の席」を通じて関係構築することに文化的意味があります。今回の会合もその典型です。
 
結論:今回の事象が示すもの
今回の二つの出来事――GPU26万基供給の大型合意報道と、トップ同士のチメク会合――を重ねることで、以下のような結論が見えてきます。
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韓国はAI・半導体・スマート自動車といった次世代産業への転換を"本気"で展開しており、グローバルAIチップ大手を巻き込んでスケールアップを図っている。
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NVIDIAにとって、韓国は単なる顧客ではなく「エコシステムパートナー」であり、AIインフラ/自動車/製造という隣接領域まで視野に入れている。
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会合の形式(チキン+ビール)は、形式よりも"関係性・信頼・非公式な場"を重視する文化的側面があり、ビジネスや産業協業においてもそのような場づくりが重要であるという示唆を与えている。
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日本のビジネスパーソン・産業界としても、この動きを対岸の火事と捉えるのでなく、「量と速度」「制度じゃなく文化・関係性」「国内大手×グローバルプレイヤー×国家戦略」のアプローチを改めて検討すべきタイミングに来ている。
 
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1.イントロダクション
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2.ユースケース別の活用法
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3.まとめと留意点
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・無料版AI でできること/できないこと
・実務への応用と今後の展望
4.質疑応答
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調査のコスト削減ができる意味も大きいですが、業務の現場で必要が出てきた都度、フレッシュな海外情報を手元に入手できること。また、追加の情報ニーズがあればそれもすぐに入手できるという俊敏性が、過去には得られなかったものです。
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ふるってご参加下さい。