オープンデータ社会(43)気象データの活用について
気象データは、様々な産業において関係性の高いデータのため、研究やリスク分析、サービス提供など様々な活用シーンが想定されています。
気象データを活用した取り組みについて、紹介してみたいと思います。
気象データを活用した「気象データ・ハッカソン」
2012年12月1日、オープンデータ流通推進コンソーシアム主催による「気象データ・ハッカソン」が開催されました。
気象庁が過去の気象などの実データを提供し、他の公開データを組み合わせて活用することで、新たなサービスのアイデアを共有し、試作品を開発することで、オープンデータの意義やその可能性を世の中にPRする取り組みを行なっています。
ハッカソンの開催にあたって、2012年11月5日から30日にかけて、フェイスブックの「気象データ・アイデアソン」にて議論深め、40以上のアイデアが出されています。
ハッカソンで、6チームで検討を行っています。
① 「おしゃれ予報」チーム
・お出かけ先と気候、手持ちの洋服をもとにお薦めの服装をアドバイス
② 「住みよいマップ」チーム
・気候や生活利便性、災害リスクなどのデータを地図上に可視化
③ 「満ち引きマップ」チーム
・浜辺の潮の満ち引きを可視化し、海水浴や潮干狩りなどに活用
④ 「体質ナビゲーション」チーム
・本人の体質とその日の気候、予定などをもとにアドバイス
⑤ 「CrowdMapと地図のマッシュアップ」チーム
・既存のサービス「CrowdMap」に様々な気象データをマッシュアップ
⑥ 「統計データ×気象データ」チーム
・消費支出などの統計データと気象データの相関を分析・可視化
最優秀に選ばれたのは、体調と天候の関係を可視化する「体質ナビゲーション」です。熱中症や高血圧などになりやすい個人の体質情報と特定エリアの天候情報を組み合わせることで、症状の出やすさをリスク情報として地図に表示することで、その場所が自分にとって過ごしやすい場所かどうかを知ることができます。
「気象データ・ハッカソン」で「おしゃれ予報」チームが当日の発表資料を公開しています。
https://docs.google.com/file/d/0B28NOIcafbHtTlpMdXhZT0x3T1k/edit?pli=1
気象庁防災情報XMLフォーマットの公開
気象庁では、これまで気象庁独自の電文形式(フォーマット)で提供していた防災情報を、2011年5月12日より気象警報、津波警報、地震情報などの高度化された防災情報をより効果的に活用するためにXMLコンソーシアムの協力もと、「気象庁防災情報XMLフォーマット」仕様(本文・辞書・XMLスキーマ・サンプルデータ)の公開を行なっています。
気象庁防災情報XMLフォーマット 情報提供ページ
http://xml.kishou.go.jp/
さらに、気象庁は、2012年12月17日には、気象情報のより一層の利活用の推進を図るため、気象庁ホームページから「防災情報XMLフォーマット形式電文」のデータ公開を開始しています。
公開電文の利用、編集などにあたって、利用上の留意事項、必要なシステム、XMLフォーマット仕様、技術情報、運用指針などなど詳細が掲載されています。
気象庁防災情報XMLフォーマット形式電文の公開(試行)について
http://xml.kishou.go.jp/open_trial/index.html
http://xml.kishou.go.jp/seminar/pdf/20130312/01.pdf
気象庁では2013年3月12日に「気象庁XML利活用セミナー」を開催し、XMLの活用方法や、気象庁XMLによるデータベース化や気象庁XMLの配信サーバの構築、注意警戒文のbotなどの利活用の実例が紹介されています。
http://xml.kishou.go.jp/seminar/pdf/20130312/01.pdf
気象庁XMLを活用することで、Jアラートによる防災行政無線などを活用した住民への伝達、自治体からの住民への情報発信、民間事業者を介した携帯向けやカーナビなどへの気象情報の配信などの利活用が期待されています。
気象庁などが保有する気象データ
気象庁が保有する最新や過去の気象データなどの「気象統計情報」を公開しています。
http://www.jma.go.jp/jma/menu/report.html
- 最新の気象データ
- 過去の気象データ検索
- 過去の気象データ・ダウンロード
- 過去の地域平均気象データ検索
- 天気予報・台風
- 竜巻等の突風データベース
- 地震・津波
- 火山
- 地球環境・気候
- 海洋の健康診断表(海洋の総合情報)
気象観測データを統計処理・取得できるウェブページを公開
気象庁は2013年5月1日、機械判読可能な形式(CSV形式)による、過去の気象観測データの公開を開始しています(報道発表資料)。
過去の気象データ・ダウンロードのページでは、全国の気象台や地域気象観測所(アメダス)の日、旬、月ごとの観測データを、必要とする期間、地点、要素、「日最高気温 30℃以上」などの「ある値以上」のといった条件を入力することで、様々な目的に応じて気象統計データを取得することができます。
http://www.data.jma.go.jp/gmd/risk/obsdl/index.php
気象データのダウンロードにあたって、該当の地点を選択し、気象要素(気温、降水量、風速、日照時間等)と統計手法(平均、積算等)の項目を選択し、データの表示期間を選択することで、CSV形式や帳票形式でダウンロードすることができます。
報道発表資料では、同じ都道府県の各拠点の気温や降水量の比較や今年の観測値と過去年間との平均値比較などの活用シーンが掲載されています(報道発表資料)。
東京と私の地元の群馬の日平均気温・降水量を2013年4月1日~10日まで表示してみたいと思います。
1.地域を選択(東京と八王子)
2.地域を選択(前橋と沼田)
3.日別の平均気温値を選択
4.日別の降水量を選択
5.期間を選択
6.帳票表示(CSVダウンロードも可)
以上のように、検索条件を選択することで、簡単にデータを取得することができます。
これらの気象データを活用することで、天候状況と売上状況と関係性の分析や、農産物の育成状況と天候と関連性分析など、天候データを活用した様々な研究やサービス、リスク対策などができるようになるでしょう。
海外の事例
米国海洋大気局(NOAA,The National Oceanic and Atmospheric Administration)の国内天気サービスでは、衛星や船舶、航空機、浮標(ブイ)、その他のセンサーから、1日に 35億件以上の観測情報を収集し、年間30ペタバイトの新規データを管理しています。測定した大気や海洋、陸上のデータとを組み合わせて天候の予測を行なっています。
米国国立気象局のモデルは気象注意報のほか、米国防省や米航空宇宙局(NASA)といった政府機関を含めた公共/民間部門の予報士向けの予測など、毎日数百万種類の情報を提供しています。
Marinexplore社は、海洋気象データ「The Ocean's Big Data Platform」をオープンデータとして公開しており、様々な機関や民間企業などに利用されています。
これらのデータを活用するために、海洋気象データを活用するオープンデータコミュニティ(Open Data Community for Ocean Professionals)で約4500名の開発者が参加しています。
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