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20年以上断続的にこのブログを書き継いできたインフラコモンズ代表の今泉大輔です。NVIDIAのフィジカルAIの世界が日本の上場企業多数に時価総額増大の事業機会を1つだけではなく複数与えることを確信してこの名前にしました。ネタは無限にあります。何卒よろしくお願い申し上げます。

IT業界人が今日から使えるChatGPTのノウハウ その2 :DX戦略策定の前準備として社内システムのデューデリを行う.

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追記:以下の自社のシステムをChatGPTにデューデリさせる際に、自社システムの詳細をChatGPTにインプットすることが不可欠になる訳ですが、それについて最初期のChatGPTの仕様の記憶が残っている情報システム部門のトップから「万一ウチのシステムの情報が外部に漏れたらどうなるんだ?!」と一喝される...という可能性について、先に記しておきます。

最新のChatGPT Enterpriseではそういう懸念は不要です。詳細は末尾に記します。ChatGPT Enterpriseを法人として契約すれば、以下がそのまま使えます。


ChatGPTは、あまり知られていませんが、フルコミットのトップティアのITコンサルタントとして機能します。ありとあらゆるマニュアル、文書、技術書(オライリーとか)等々、ネットでアクセスできるものも全て読み込んでいるので、ほぼどのような要求にも応えられます。そのデモンストレーションとして、なかなかうまくいかないDXを、新たに戦略的に行う場面を想定して、DX戦略策定の前準備として社内のシステムのデューデリジェンスを行うことを、ChatGPTに最高のプロフェッショナルITコンサルタントとして働いてもらって、敢行します。

以下はそのモデルケースでありまして、本気で御社でやられるのでしたら、本気で彼を「世界最高のITコンサルタント」と見なして、それ相応の構造的な質問をし、構造的に応えてもらい、構造的なデューデリジェンスを行えばよいと思います。彼に与えるインプットを本気で工夫しないといけません。良いインプットがあれば、良いデューデリを行い、良い報告書を生成します。これはChatGPT ProコースのDeep Researchを徹底的に使わないとうまく行かないと思います。

ここで公開するノウハウは、十分にプロのITコンサルタントを代替するポテンシャルを持っています。(以下のような構造的なノウハウを持っている人は、日本でも30名ぐらいしかいないのでは?)それだけ現在のLLMはすごい領域に達しています。

ChatGPTによる社内システム デューデリのステップ

最初の質問:では、改めて、自社が、DX戦略を策定する前提として、現行の社内システム全体のデューデリジェンスをあなたにお願いする場合に、何をどういう手順で進めればよいですか?

彼の回答:

素晴らしい問いです。
これ、実際に私がコンサルとして企業に提案する流れそのままでもいいくらい、超実務的です。

以下に、「ChatGPT(私)に依頼して進める場合、何をどう準備し、どうやり取りするか」を ステップごとに日本語でわかりやすく示します。

✔︎ 全体像イメージ

① ゴールの明確化
② 情報収集・整理
③ ChatGPTへの段階的インプット
④ 分析結果のレビュー
⑤ 改善・アクション計画への落とし込み

✔︎ ステップ① ゴールをはっきり決める

最初に、私に以下を伝えてください。

✔「なぜITデューデリをするのか?」

  • 例: DX戦略を立てたい

  • 例: 投資計画の優先順位を決めたい

  • 例: 経営層に現状を説明したい

✔「どんなアウトプットが欲しいか?」(今泉注:ChatGPT Deep Researchによる報告書として生成される。大部なものでは2万字程度になる。ChatGPTが生成する報告書では図解はまず無理。表で整理させることで我慢)

  • リスク一覧表

  • 改善提案

  • 経営層への説明用要約

  • 予算試算

◎ ChatGPTに頼むときの例文

私たちはDX戦略を策定するために、現行のITシステムを網羅的にデューデリジェンスしたいです。
目的は、経営層に現状と課題を説明し、優先順位を決める材料を得ることです。
そのためのアウトプットを一緒に作ってください。

✔︎ ステップ② 社内情報を準備・整理する

これが重要ポイント。
ChatGPTは「渡した情報から考える」ので、以下のような情報をまとめます。(今泉注:彼に与えるインプットは、カテゴリーごとに、ステップバイステップで与えていくとよい。インプット内容全部を彼のメモリに収蔵することはできないから、ステップごとに細かく区切ってChatGPT Deep Researchの報告書を作成させると良い。ただし、全体像が見えなくなる危険性があるので、それを防ぐためにモデル的な全体像を彼に構成させて、都度行うステップを今全体像のどこをやっているか、操作者にも彼にもわかるようにして進めると、木を見て森が見えなくなることが防げる。モデル的な全体像は、プロンプトを入れる都度、プロンプトの中に含める)

【A】全社システム一覧

  • システム名

  • 目的

  • 主要機能

  • 利用部門

  • ユーザー数

【B】アーキテクチャ

  • オンプレ or クラウド

  • 使用技術

  • 主要ベンダー

【C】運用情報

  • 運用保守体制

  • SLA

  • 監視体制

【D】セキュリティ

  • 認証・権限管理

  • データ暗号化

  • ログ管理

【E】コスト情報

  • 年間ライセンス

  • クラウド利用料

  • 保守人件費

【F】課題・懸念

  • 老朽化

  • 保守依存

  • 性能問題

  • セキュリティ課題

【G】将来計画

  • クラウド移行構想

  • 新規システム計画

⇨ ポイント

「ある範囲だけ」でもOKです。
たとえば「基幹系だけ」「クラウド移行候補だけ」に絞っても進められます。

✔︎ ステップ③ ChatGPTへの段階的インプット

◎ 一度に全部をコピペするより、段階的にやると精度アップ。(今泉注:段階的に、ステップごと、ChatGPT Deep Researchを動かして、その都度、精度の高い報告書を得ると良い)

以下が私たちの全社システム一覧です。
まず、この情報をレビューし、足りない観点を指摘してください。

(システム一覧。できるだけ解像度の高いものを)

では、アーキテクチャ情報を続けて渡します。
この情報を加味して、現行のリスクを整理してください。

(できるだけ解像度の高いものを)

さらに

ここまでの情報を踏まえ、
- リスク一覧
- 改善ポイント
- 優先順位づけ
を日本語で出してください。

✔︎ ステップ④ ChatGPTからのアウトプットをレビュー

出てきた結果を、実際の自社状況に照らしてレビューします。

「このリスクは実際は小さい」
「この課題は本当は重要」

など、人間の知識で補正するのがコツ。

必要に応じて⬇︎(今泉注:現実問題ChatGPTが生成した報告書の修正をすることは、ノウハウの問題として、かなり習熟しないと難しい。細部を修正するより、インプットを変えたり、指示文を変えたりして、新規の調査報告書を生成させた方が早い。調査報告書を生成することを何度もトライアンドエラーで繰り返して、自社にあった調査報告書を得るイメージ)

このリストを再調整してください。
こちらの優先度を反映させてください。

✔︎ ステップ⑤ 改善・アクション計画への落とし込み

最後に⬇︎

この分析結果をもとに、
経営層への説明資料用に要約してください。

また、3段階くらいの優先度で改善アクションプランを提案してください。

✔︎ ChatGPTにお願いできるアウトプット例

  • 全体のリスク一覧表

  • 主要課題トップ5

  • 改善アクションプラン(短期、中期、長期)

  • 予算試算モデルのテンプレ

  • 経営層向けサマリー

  • 部門間説明用Q&A

✔︎ まとめ:ChatGPTにお願いする手順(超シンプル)

✔︎ ① ゴールを説明
✔︎ ② 情報を段階的に渡す
✔︎ ③ 足りない情報を質問してもらう
✔︎ ④ リスク分析を生成
✔︎ ⑤ 改善アクションを提案させる
✔︎ ⑥ 経営層向け要約を作らせる

これを「会話」で何度でも繰り返すことで、実際のコンサルティングさながらのITデューデリをChatGPTと一緒に進められます。

成果物を経営層に見せる

出てきた成果物/報告書は、かなり分量が多くなるはずなので(テキストで2万字等)、それを経営層に見せるためのサマリーは別途制作すると良い。ChatGPTに全体を読ませてサマライズする。全体を読ませるには全文をプロンプトに入れることもできなくはない。ダメなら分割するなど工夫を。

また、スライド化することもできる。ChatGPTにあるセクションをスライド化するように指示すると、結局、テキストの箇条書きを生成する。それを人間がキレイにPPTにすれば良い。論理的に筋が通ったスライドができる。(何枚構成にするかも彼に伝えれば良い)

骨のあるDX戦略論を彼に語らせることもできる。DX論の優れたケーススタディ(見本)があると、それを彼にインプットとして与えて、自社用にカスタマイズすることができる。

【冒頭の追記に対応する補足事項】

2025年7月9日9時現在、執筆中です。本日中に書き終わります。

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