【中間管理職のAI活用】自動車メーカー中間管理職が防衛省調達のイロハを知るためにChatGPT 5を活用する
自衛隊装甲車の後継に、今回初めて、従来の防衛省御用達の企業の特注車両ではなく、民生用車両を検討していることが報じられました。
これはどういうことでしょうか?
政府が調達する方法の基礎知識。武器調達の場合は?
以前に日本に限らず世界各国の政府がインフラ案件調達のために行なっている「公開入札」について調べたことがあります。通例、文明国の民主主義国家では、税金を使って何らかの調達(購買)を行う際には、公平を記すため、公開入札ないし競争入札が行われます。より良い条件、より良い価格を提示した事業者が競り勝ちます。事業者選定の過程もある程度までは公開されるのが普通です。
これに対して、税金を使う調達/購買でありながら、政府や省庁などが特定の事業者を名指しで(競争入札を経ないで)行う調達が「随意契約」です。今年農水省が政府備蓄米を随意契約でドシドシ出荷したのは、競争入札をやっていると最低でも半年はかかるからです。政府や省庁が行う競争入札とはそれだけ手間暇がかかります。
新興国で民主主義が整備されていない国では、政府が集めた税金によって行う調達/購買が、往々にして首相や大統領の一族の企業による随意契約となります。これによって私腹が肥やされます。世界共通語としてこれは"Corruption"(腐敗)と呼ばれています。世界は広いのでCorruptionの度合を計測する指数を発表しているNPO団体があったりして、アフリカやアジアや南米にはCorruptionのひどい国が多いことがわかります。
一般的に先進国の防衛官庁が武器車両を調達する際には、広く事業者から見積/提案を募る競争入札が行われる訳ではなく(それは武器弾薬の仕様が政府の安全保障に極めて重大な重要性を持つため)、ごく少数の事業者のみを集めて武器車両の仕様が開示され、特注品の受注として見積が提出されて、随意契約が決まります。(以下で言う指名競争入札) 安全保障に関わるだけに手続等が公開されることはなく、一般企業がそこに参入するには高いハードルがありました。
それが今回の報道では、民生品を製造販売するトヨタ自動車といすゞ自動車の市販車両を軍事用に改造して調達される可能性が出てきたということです。
さて、これまでが前置きです。
防衛省の装備品調達に関する調査を行うには?
謎に包まれた日本の防衛省の調達ですが、民間企業がここに営業をかけたいと思ったとします。今後はドローン製品、AI搭載ロボット等が軍事用途で調達されることになります。既存の企業だけでは製造納入できません。今から調達の際にお声がけされる企業としての資格を得るために、営業攻勢をかけたいと考えた...。
そういう時に何が必要になるでしょうか?中間管理職の立場で考えて見て下さい。
通例、そういう部門に「調査費」の予算があることは、まずないです。
予算がない中で、防衛省の調達がどうなっているか調べなければなりません。インターネットでググっても得られる資料はごくわずか。部下に頼もうにも普通の社員はこうした調査能力を持っていません。外部の調査会社に依頼すると安くても100万円。通例300万円。納期は最低で3〜4週間かかります。
そういう際にビズリーチ! ChatGPT 5の優れた情報探索機能、優れた報告書作成機能が役立ちます。
ChatGPT 5を使って防衛省調達に関する調査報告書を作成する3つのステップ
ChatGPT 5(有料版)を使って、どういう風に進めればいいか?ステップバイステップで記します。PCは自前のPCで、インターネット回線は個人名義で使っている回線でやって下さい。会社から支給されているPCで、会社の回線で行うと、情シス部門から怒られます。
ステップ1:自分が置かれている状況をできるだけ詳しくChatGPT 5に伝える。一問一答式の対話としてこれを進める。
・NHKの報道で防衛省自衛隊が装甲車両を民生品に装甲を施して調達する方針であることが伝えられたこと。ニュースのURL。
・自分が防衛省の調達について知っている知識。少なくても良い。
・自分の会社が行っている車両関係の事業。社名を出す必要はない。
これに対してChatGPT 5が反応して、あなたの置かれた立場を正確に認識します。この認識があることで以降の報告書作成の精度が上がります。
ステップ2:自分が必要としている報告書の内容についてできるだけ詳しくChatGPT 5に伝えます。特に重要なのは、読む人が誰であるか?社長であるのか事業部長であるのか?決裁権はあるのかないのか?予算は持っているのかどうか?などなど。社長その他の実名を出す必要がないのはもちろんです。また会社が部外秘としている情報を入れる必要がないことももちろんです。ChatGPTが「どういうレベル感のどういう報告書を誰向けに作成すればいいのか?」がわかればいい訳です。
仮に社長向けの報告書として作成すると、新規プロジェクトの本格的な提案を伴う、つまり予算措置を必要とする、かなりシリアスな内容の報告書が出来上がります。仮にこれを事業部長に提出しても、予算がない決定権がないなどで、もらってもありがた迷惑の報告書になります。オーバースペックな報告書です。誰が読む報告書であるのか?明確にChatGPT 5に伝えることが肝心です。
ステップ3:ChatGPTの対話として行ってきたステップ1とステップ2のやり取りによって、ある程度の長さのスレッドになっているはずです。このスレッド全体が「プロンプト」になります。
それで、あなたが入れるべき指示は、
「以上に基づいた報告書を作成して下さい。A4 5ページ程度の分量で。」だけです。これでChatGPT 5は万事を了解して調査報告書用の調査を行い、報告書生成に至ります。
ChatGPT 5(有料版)が作成した調査報告書の例
さて、こうした手順で作成した報告書のモデル版を以下に掲げます。これ自体も貴重な情報になるはずです。全てインターネットに公開されている資料をまとめて作られています。
今泉注:出来上がった報告書は「A4換算で約5ページ分」をうたっている割には文字数が少ない。ChatGPT 5になってから長文の1万字〜2万字の調査報告書を得ることは困難になった。(また実はそう言う長文のテキスト主体の調査報告書は、今や誰も読まない。)代わって、情報の密度が高い箇条書き式の、エグゼクティブサマリー式の"報告書"をよく作成するようになった。企業の中の実務家にとっては程よいテキスト量であり、かつ情報密度も高いのでありがたい。実際、以下にある情報は、専門の調査会社が調べても、これだけの情報量&密度にまとめることはかなり難しいと思われる内容になっている。(レベル感からすると特急2週間納品で400万円。情報取得にはコストがかかる)これが得られるまで、事前の準備時間も含めて小1時間程度でした。
了解しました。ご提示いただいた文脈に沿って、「日本の防衛省における装備品調達の基礎知識」調査報告書(自動車メーカー特装品部門・事業部長向け)を作成しました。A4換算で約5ページ分を想定し、見出しと解説を整理しています。
日本の防衛省における装備品調達の基礎知識
― 自動車メーカー特装品部門 事業部長向け調査報告書 ―
1. はじめに
近年、防衛省は従来の「防衛専用特注車両」調達から一歩踏み出し、民生車両を基盤とした改造型の装備調達を検討し始めています。2025年9月のNHK報道(トヨタ・いすゞの市販車ベースで自衛隊装甲車を検討)に象徴されるように、防衛調達の開放性が高まりつつあります。
本報告書は、自動車メーカー特装品部門の事業部長を想定読者とし、今後の営業戦略に必要となる「防衛調達の仕組みと参入の勘所」を整理したものです。
2. 日本の防衛調達制度の全体像
2.1 調達を担う組織
-
防衛装備庁(ATLA: Acquisition, Technology & Logistics Agency)
2015年に発足した防衛省の外局。防衛装備品の研究開発・調達・ライフサイクル管理を一元化。 -
防衛省装備政策局/各自衛隊補給本部
実際の契約・仕様策定に関与。
2.2 契約形態の基本
-
一般競争入札
公共調達の原則。公告→入札→落札。価格競争力が重視される。 -
指名競争入札
技術的適格性を持つと認められた少数企業に限定して入札を実施。 -
随意契約
安全保障上の秘匿性や特殊技術が求められる場合に利用。国内大手防衛メーカー(三菱重工、川崎重工など)が主。
※防衛装備品は秘匿性が高く、随意契約・指名競争入札が中心。
3. 民生品導入の背景と意味
3.1 背景
-
防衛予算の制約:コスト削減が至上命題。
-
技術の民生主導化:自動車、ドローン、AI、通信などは民間の進歩が速い。
-
国際潮流:米軍やNATOでも**Commercial off-the-shelf(COTS)**採用が拡大。
3.2 意味
-
新規参入のハードル低下:自動車・ロボティクス企業が調達候補になり得る。
-
二重用途(Dual-Use)市場:民生品+軍事改造の需要増加。
-
競合構造の変化:従来の防衛専業大手に加え、民間メーカーが競争に参加。
4. 調達プロセスの実際
4.1 基本フロー
-
要求定義(自衛隊内部)
→ 任務上の必要性(例:装甲車両の更新)。 -
装備庁での仕様策定
→ 民生車両改造の場合は、基本仕様+防護性能要求。 -
入札・見積依頼
→ 指名競争か随意契約で候補選定。 -
契約・納入
→ 防衛省と直接契約(一次契約者)、または大手防衛産業の下請け(二次契約者)。
4.2 特徴
-
**秘密保持契約(NDA)**必須。
-
防衛装備品等の取引適格業者への登録が前提(防衛装備庁が管理)。
-
入札公告は「防衛装備庁 調達情報サイト」に掲載されるが、高度な案件は非公開で限定業者に案内される。
5. 自動車メーカーが参入する際の留意点
5.1 必要条件
-
防衛調達適格業者登録(企業情報・財務体力・品質保証体制の提出)。
-
品質保証(QMS)体制:ISO9001に加え、防衛庁独自の規格(防衛省品質管理基準:DSQMS)。
-
セキュリティ要件:情報保全、工場入構規制。
5.2 強みとなる要素
-
市販車ベースによるコスト競争力。
-
整備・補給網の全国展開(民間ディーラー網を活用可能)。
-
EV・水素車技術:次世代動力システムとして防衛ニーズ高。
5.3 想定される障壁
-
防弾・防爆改造など防衛仕様の技術実績が乏しい。
-
調達案件は政治的判断の影響が強い。
-
既存防衛大手との協力/下請け参入が現実的第一歩。
6. 今後の重点領域(特装品部門の視点)
-
装甲車後継:市販SUV/トラック改造案件。
-
無人化技術:車両遠隔操縦、AI搭載ロボット。
-
ドローン物流:災害対応・補給任務。
-
電動化/水素化:次期防衛車両の環境対応要求。
7. 実務ステップ(事業部長向けチェックリスト)
-
調達適格業者登録に向けた社内体制整備。
-
DSQMS準拠の品質保証部門を準備。
-
防衛産業大手とのコンソーシアム形成(三菱重工、川崎重工など)。
-
展示会・シンポジウム参加(DSEI Japan、防衛装備庁主催イベント)。
-
営業アプローチ開始:防衛装備庁や陸自補給本部への情報提供活動。
8. まとめ
-
従来の「防衛専業大手中心の随意契約」から、民生品ベースの調達への転換が進行中。
-
自動車メーカー特装品部門にとって、防衛市場参入のチャンス拡大。
-
ただし、防衛特有の品質・秘匿・政治リスクを理解し、**段階的参入(下請け→共同開発→一次契約)**が現実的戦略。
✔︎ 本報告書は「基礎知識編」です。次の段階としては、実際の調達公告の調査/既存契約企業の分析/参入シナリオ別ROI試算などをChatGPT 5に依頼していくと、さらに経営判断に耐える資料が整います。
ご希望であれば、次の拡張版も用意できます:
-
「トヨタ・いすゞ案件」の詳細シナリオ分析
-
「自動車メーカー特装品部門が3年で防衛調達参入するロードマップ」
ご要望に合わせて追加調査しましょうか?
【セミナー告知】
SSKセミナー - 新社会システム総合研究所
AI を活用した海外市場調査と情報収集ノウハウ
〜ニッチ市場から規制・地政学リスクまでを迅速に把握する最新手法〜
2025年11月 5日(水) 10:00~11:30
会 場 : 会場受講はなしでライブ配信、および、アーカイブ配信(2週間、何度でもご視聴可)
開催日:2025年11月 5日(水) 10:00~11:30
受講料:1名につき 27,500円(税込)
申込と詳細はSSKセミナーのページをご参照下さい。
https://www.ssk21.co.jp/S0000103.php?gpage=25519
講義内容
企業が海外事業を展開するうえで、信頼性の高い市場調査や規制情報の把握は欠かせません。しかし、従来の有料データベースや専門調査会社への依存はコスト・時間の両面で大きな負担となってきました。
本セミナーでは、生成AI を用いた新しい海外市場調査のアプローチを紹介します。具体的には、ニッチ市場の流通構造の把握、金融レポートや調査資料の要点抽出、現地語による情報収集と翻訳要約、M&A候補企業や投資動向の探索、EU 規制の要点整理、業界や国ごとのトレンドモニタリング、さらに防衛・地政学リスクの動向把握など、多岐にわたるユースケースを取り上げます。
各テーマごとに情報源の選定、生成AI を活用した効率的な調査手順、出典確認の方法を具体的に解説し、参加者は終了後すぐに自らの業務へ応用できる知見を得ることができます。経営企画・海外事業・新規事業・調査部門など、日常的に海外情報を扱う方に最適の内容です。
1.イントロダクション
・海外市場調査における生成AI 活用の可能性
・無料版ChatGPT・Gemini の特徴と制約
2.ユースケース別の活用法
・ニッチ市場調査(インドの豆腐流通状況)
・海外金融市場レポートの調査(ドイツ証取の自動車セクター値動き)
・現地語による情報収集と翻訳要約(台湾華語によるTSMC 給与水準)
・M&A 候補企業の探索(ドイツのロボティクス企業買収候補)
・EU 規制の要点把握(EU サイバーレジリエンス法の概要)
・各国・各業界の動向トラッキング(特定国特定業界の情報収集)
・防衛・戦争リスクに関する情報収集(例:ドローン戦術米中比較)
3.まとめと留意点
・情報の信頼性・出典確認の重要性
・無料版AI でできること/できないこと
・実務への応用と今後の展望
4.質疑応答
従来、調査会社に発注すると100万円〜500万円かかっていた海外市場調査を、必要な時に、必要とする人が、直接手を動かして調査する事ができるようになるノウハウを伝授します。
調査のコスト削減ができる意味も大きいですが、業務の現場で必要が出てきた都度、フレッシュな海外情報を手元に入手できること。また、追加の情報ニーズがあればそれもすぐに入手できるという俊敏性が、過去には得られなかったものです。
これにより海外事業に関する意思決定が飛躍的に精度の高いものになります。
ふるってご参加下さい。