【経営者のためのCES2026案内】社長が英語で世界最大のテック見本市CESで語る意味
毎年1月にアメリカのラスベガスで開催されるCES(コンシューマエレクトロニクスショー)は、アメリカのテック企業だけでなく世界のテック企業が集まり、かつ、世界のテックメディアが総集結する世界最大のテックの見本市です。
来年のCES2026も迫ってきました。CESのウェブサイトには参加要領などが記載されています。日本でロボティクスやADAS/自動運転に取り組む企業も、ゆくゆくはCESに参加して、世界の方々にアピールする機会を持つべきでしょう。
CESは、行ってみなければわからない特性があるそうです。毎年CESに行って、自らの目で確かめている元マッキンゼー、MITにロボティクスで留学した経験を持つ廣川謙一さんが話していました。私のシスコ時代の先輩です。
この投稿では、東証プライム上場企業の社長が、CESで直に英語でプレゼンテーションすることの意味を確認します。
以下のYouTube動画は2025年1月にCES会場で行われたToyota Motor Corporation 会長/代表取締役 豊田章男氏によるプレゼンテーションの全体です。
はじめに:豊田章男氏がCES2025でプレゼンしたケースの確認
まず事実確認を簡単に。
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スピーチ者:豊田章男氏(Toyota Motor Corporation 会長/代表取締役) Woven by Toyota
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場所:CES2025 の Press Conference(ラスベガス) Toyota USA Newsroom
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内容のコア:
・Woven City の Phase 1 完成の報告とこれからの居住・共創(Inventors, Weavers)によるテクノロジー・実証試験の場としての役割。
・「モビリティ(人・モノ・情報・エネルギーの移動)」の拡張、公共性・持続可能性・人中心主義 ("human centric") の強調。
・グローバルからの共創者(Inventors = 企業・スタートアップ・研究者等)、住民(Weavers)との協業を通じた未来社会の実験場としての位置づけ。 トヨタイムズ
社長が世界の舞台で発信することの意味と価値
以下、東証プライム上場企業の社長として、こうした行為にはどういう意味があるかを整理します。
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ブランド主導力・信頼性の確立
社長自らが最前線でビジョンを語ることで、「この会社は単に製品を売るだけでなく、未来を描き・創るリーダーである」というブランド価値が国内外に伝わる。特にグローバルな技術競争/社会課題対応の時代、信頼性=発言者としての重みが重要。 -
経営の一貫性・長期戦略の可視化
Woven City の例で言えば、概念発表から5年を経て Phase 1 完成というステップを踏んでいる。社長がその道筋を追いながら語ることで、「短期利益よりも持続可能な未来」「試みを着実に進めている会社」という印象をステークホルダーに植える。 -
株主/投資家への安心感および期待感の醸成
新興技術、未来都市、超モビリティ等、リスクが伴う領域に投資・参画していることを、社長の発言で明確に示すこと。これにより株主・アナリストは会社の方向性を読みやすくなり、信頼を持たせることができる。 -
人材採用・組織文化への影響
トップが「未来の共創」「技術 + 社会価値」「リスクを取って挑戦する」姿勢を示すことで、国内外の優秀な人材が集まりやすくなる。若手・技術者・イノベーターにとって、「この会社で働く意味」が明確化する。 -
国際市場でのポジショニング
テクノロジーメディア、国際パートナー、スタートアップコミュニティといった世界の動きが集まる場で発言することは、「国際基準でこの会社を見る」「国際的なコラボレーション・アライアンスの入口を開く」ことに直結する。 -
社会的許容性・政策対応力の強化
環境・技術規制・エネルギー政策・自治体との関係など、上場企業が対応すべき政策課題は複雑。社長が公共性・責任性をもって未来ビジョンを語ることは、政府・自治体・規制機関からの信頼を高め、規制対応・支援・協業を得やすくする。 -
メディア/広報のレバレッジ効果
英語でのスピーチ → メディア(グローバル/テクノロジー系)への露出が増える → ブランド・技術・ビジョンが海外で語られる機会が増える。この波及が後々の製品・サービス展開、パートナー交渉などで有利にはたらく。
英語スピーチであることの意義
特に「英語」で話すことには以下のような意味があります:
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グローバル・オーディエンスに直接メッセージを届けることができる(取引先・協業先・投資家・技術者など)
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通訳メディアに頼らず、言葉・トーン・ニュアンス・表現でブランドの「らしさ」「人となり」が伝わる
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国内外の比較で「国際的な企業である」「外向き思考である」というイメージを強める
豊田章男氏のスピーチが良い例である理由
Woven City の話を例に、彼のスピーチから特に参考になる点を挙げます:
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概念の段階から具体的なフェーズを積み重ねており、実践性を備えていることを示している。 トヨタ自動車株式会社
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「Inventors」「Weavers」など語り手を共創者・参加者として巻き込む言語を使い、「動かされる側」ではなく「創る側」としてステークホルダーを引き込んでいる。 トヨタイムズ
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社会性・公共性・持続可能性をスピーチの中心に据えており、「モビリティ=輸送手段」だけでなく「人々の暮らしの質」「環境」「コミュニティ」「情報・エネルギーの流れ」など多角的な価値を重視している。 Woven by Toyota
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インフラだけでなく、「人が住む」「そこで発明を試せる」「社会実証できる」という"生活実感""リアルな場"を持っている点。これは机上のアイデアよりも説得力がある。
社長として発信を行う際のポイント・実践提案
最後に、東証プライム上場の社長として、こうした場で発信するなら押さえるべきポイントを確認します。
社長がCESで発信する際に押さえるべきポイント
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一貫性を持たせる
過去の発言・会社方針・中期経営計画と整合させる。突飛な発言は「思いつき」と見なされるリスクがある。 -
実証・進捗を見せる
豊田氏のように Phase1 の完成など、具体的な成果を提示すると説得力が増す。将来の計画だけでなく、今やっていることを示す。 -
共創・参加型のアプローチをとる
スタートアップ、大学、異業種を巻き込む姿勢。社長自ら「パートナーを求めている」というメッセージを出す。 -
言語・表現を磨く
英語で話す場合でも、明確さ・ストーリー性・共感を意識。専門用語や日本特有の言い回しは無防備に使わない。 -
ブランドと文化の反映
社是・企業理念・ブランドメッセージがスピーチににじみ出るようにする。短期成果だけでなく、価値観や理念が透けて見えることが大切。 -
メディア対応とフォローアップ
発言内容は映像・記事で広く拡散される。準備段階でメディア戦略、質疑応答、動画素材活用など、後の広報展開まで想定する。 -
リスク管理
過度に理想的・未来寄りすぎる発言は「現実とかけ離れている」と批判されやすい。達成時期・コスト・体制など、実現可能性を示すことが重要。
【事前告知】
経営者向け:元マッキンゼー 廣川謙一さんと行くCES2026視察ツアー
この募集告知を間も無く開始します。旅行会社(旅行代金一切の請求支払)はJTBとなります。
東証上場企業などの経営者の方々に最適化された企画内容となっています。しかし、アップグレード版の海外団体旅行のような至れり尽くせりというタイプの団体旅行ではなく、あくまでも、CES2026で、ロボティクスのアカデミアの経験も深い元マッキンゼーのコンサルタントであり、GEアメリカ本社でジャック・ウェルチ氏の下にいてM&Aを複数手がけた廣川謙一さんから直に解説を聞く機会を持つための【学習型の視察ツアー】です。
廣川さんは毎年CES会場に足を運んでおられ、テック企業の展示の変遷を観察しておられます。
廣川謙一さんプロフィール
ラウンズベリー・アソーシエイツ代表
マッキンゼー、GE本社経営企画で新規事業および海外事業の成長戦略立案・実行を担当。
2016年よりシンガポールでロボットおよびイノベーションの導入立案、2019年より国立シンガポール大学、南洋理工大学などで起業の教育・指導などを行う。1998年より日本で8千億円以上の不良債権を処理。
知能ロボットの研究で工学修士。大学院在学中にMITの人工知能研究所に留学。知能ロボットの研究を行う。三菱重工、マッキンゼー、 GE、アーンスト・アンド・ヤングコンサルティング(日系金融機関担当ディレクター)などを経て、2002年にアメリカで独立。
・2026年1月5日羽田空港発、1月10日羽田空港着、5泊6日(うち1泊は機内)
・視察費用予定:170万円前後(往復エコノミー)。ビジネスクラスのオプションがあります。
・会場内を廣川謙一さんの解説付きで回ります(ヘッドセットを付けていただきます)。CESの時期は航空費も高騰、宿泊費も高騰します。
・宿泊先:エクスカリバー ホテル アンド カジノ 3.5星。JTB御用達の日本人に向いた、カジノ併設のホテルです。詳しくはリンク先をご覧下さい。
・最少催行人数:8名。8名に満たない時は中止となります。最大20名様まで。
・会場内ではヘッドセットにより廣川さんの解説をノイズなしで聞くことができます。
・JTBの現地ガイドが1名付きます。
・米国のロボティクス・スタートアップに対するM&A交渉などは、別枠で、廣川さんのコンサルティング会社にてご対応が可能です。
・企画:当ブログの運営人今泉大輔が代表を務める株式会社インフラコモンズ。
・お問い合わせはインフラコモンズまで。ウェブサイト下端のお問い合わせ欄よりどうぞ。