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20年以上断続的にこのブログを書き継いできたインフラコモンズ代表の今泉大輔です。NVIDIAのフィジカルAIの世界が日本の上場企業多数に時価総額増大の事業機会を1つだけではなく複数与えることを確信してこの名前にしました。ネタは無限にあります。何卒よろしくお願い申し上げます。

【中国には台数で勝てなくなった!】Unitree「G1データ収集プラットフォーム」の衝撃

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以下は、簡単に要旨をChatGPT 5.1に告げて、現象面で今日早朝に明らかになったこと(Unitreeの発表)をChatGPT的に語ってもらいました。彼の考えていること、わかりますか?

彼の以下の論は、ロボティクス、NVIDIAのロボット開発用技術スタック、フィジカルAI全般に関する私と彼との過去8ヶ月間の議論を踏まえて出てきています。なのである意味私の分身が書いている論考だとも言えます。


-- 世界モデルの覇権が"台数"で決まる時代、日本はどう戦うのか?

2025年11月、中国Unitreeが人型ロボットG1向けに
「データ収集・学習・世界モデルを統合したプラットフォーム」 を発表した。

このニュースに、日本のロボット界が異常な反応を示している。
なぜこれほど話題なのか?

今回の発表は単なる「新しいロボットの発表」ではない。

結論から言えば、これは"ロボット版iPhone時代"の到来を告げる、産業構造の激変シグナルである。

しかもその中心にいるのはNVIDIAではなく、
安価ロボットで世界を席巻する中国Unitreeだ。

■ 1. 今回の発表の本質:世界モデルを含む"全部入り"

Unitreeが打ち出したのは、G1向けのフルスタック学習プラットフォームだ。

内容は驚くほど充実している。

● データ収集ツール

  • ハンドデバイス

  • カメラセット

  • 力覚/ビジョンデータ取得GUI

● 学習ツール(模倣学習・行動生成)

  • デモ取り込み

  • ポリシー学習

  • シミュレーション連携

● 世界モデル「UnifoLM-WMA-0」

  • Vision-Language-Action統合

  • 物体理解・行動予測を一体化

● 台車ユニット(Mobile Chassis)

  • G1をモバイルマニピュレーター化する拡張

特筆すべきは、
「ハード+データ収集+学習+世界モデル」が1社で完結する構造
をUnitreeが一気に整えた点である。

これはNVIDIA GR00Tが目指す方向性と完全に重なる。

つまり今回の発表は:

"中国発のGR00Tエコシステム"が始まった瞬間

である。

■ 2. なぜ日本のロボット界がざわついているのか?

今回、日本の研究者・企業が過剰に反応した理由は単純だ。

中国が
「安価な量産ロボット × 世界モデル × 統合学習環境」
という"必勝構え"をついに取ったからだ。

これを分析すると、日本の研究基盤との巨大なギャップが浮き彫りになる。

■ 3. 世界モデルの勝敗は「台数」で決まる

世界モデル(World Model)の精度は、
どれだけ多様な実機データを集められるか で決まる。

  • 1台

  • 5台

  • 100台

  • 1万台

では性能に天文学的な差が出る。

NVIDIAも、Figureや1Xも、Teslaも、そして中国勢も例外ではない。

世界モデルの覇権=台数の覇権

という構造だ。

■ 4. 中国:1万台クラスのデータ収集が"現実"になる

Unitree G1は異常な価格破壊で知られる。
そして今回のフルスタック環境により、研究者・企業が買わない理由がなくなる。

中国の大学・研究所・高専・企業・政府は、
100台単位で一斉導入する文化と資金力を持つ。

たとえば:

  • 100大学 × 各100台 → 1万台

  • 産業実証 → 数千台

  • 政府導入 → 数万台もあり得る

これは誇張ではない。
既に四足ロボットでは同じ現象が起きている。

つまり中国は

"世界モデルを学習させるための物理データ生成装置"を
国内に数万台規模で構築できる

ということだ。

■ 5. 日本:研究室は「1〜5台の壁」を超えられない

日本の大学・研究所の研究費は限られている。

  • 年間200〜500万円

  • 高くても1000万円が上限

人型ロボットを20台買う研究室など存在しない

産業界も状況は同じで、多くて5〜10台が限界だ。

つまり日本は:

世界モデルに必要な「多様な実機データ」を確保できない

構造的な弱点を抱えている。

これが今回の発表に対する
"危機感の源泉"
である。

■ 6. 台数格差は、最終的に「性能格差」を生む

世界モデルは初期性能で勝負が決まる。
大量データで先に訓練した国・企業が圧倒的優位に立つ。

そしてその後は、

  • 改良

  • 微調整

  • 下流タスク適応

が可能になり、後発は永遠に追いつけなくなる。

これはAIモデル全体で見られた構図だが、
ロボットAIはさらに強烈に"先行者利益"が働く。

■ 7. 日本企業への示唆:いま、何をすべきか

● ① "台数では勝てない"戦略を受け入れること

まず、数で勝つ発想を捨てる。

● ② 日本独自の「産業タスクデータ」で勝負

  • 精密組立

  • 物流機器

  • 自動車部品

  • 半導体装置

これらは世界で日本だけが持っている固有データだ。

タスク特化の世界モデル で勝負すべき。

● ③ NVIDIA GR00T × Unitree G1 を即導入し、学習環境を整える

量産ロボットと世界モデルで最も"近道"なのはここ。

● ④ 「産業ロボット版GR00T」を日本企業連合で構築

単独企業では規模が不足する。
共同で世界モデル基盤を作る必要がある。

■ 8. フィジカルAIの覇権争いが始まった

ここからの勝敗はこう決まる:

  • アメリカ:GR00Tエコシステム

  • 中国:Unitree × 世界モデル × 台数攻勢

  • 日本:産業タスク特化で生き残れるか

Unitreeの今回の発表は、
この三極構造がはっきりと形を成し始めた瞬間である。

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