ランサムウェアの損失額に直結する最重要KPI「MTTR」。MTTRを劇的に下げるのがゼロトラスト【ランサムウェア被害に遭わない米国最新DX】
ランサムウェアを含むサイバーセキュリティ被害では、「障害が発生してから、復旧して通常業務に戻るまでに何日かかるか」という時間が、極めて大きな意味を持ちます。
なぜなら、その間は業務が止まり、止まった日数分の売上がそのまま失われてしまうからです。
米国・英国を中心とする先進企業や政府機関では、この「システムが停止してから復旧するまでの時間」をサイバーセキュリティKPIとして扱っており、
「MTTR(Mean Time To Recovery)」 と呼ばれています。
IT運用では MTTR=Mean Time To Repair という定義もありますが、
サイバー領域では 「復旧までの時間」=Recovery として使われるのが一般的 です。
たとえば、現在のシステムが MTTR=20日 かかっているなら、業務停止は20日間続きます。
これを MTTR=10日 に短縮できれば、1日あたりの損失額 × 10日分 にまで損害を圧縮できます。
つまり、「MTTRを短縮する」こと自体が、経営課題であり、事業継続のKPIになるということです。
経営が MTTR を明確な指標として掲げることで、復旧力を高める投資が、具体的で測定可能な目標に変わります。
MTTRとは何か?
MTTR(復旧平均時間) は、システムやサービスが障害・攻撃を受けてから「正常稼働に戻るまで」にかかる平均時間を表す指標です。
読み方は エムティーティーアール。
なぜサイバーセキュリティでMTTRが重要なのか?
ランサムウェア被害では、
「侵入されたかどうか」よりも「止まっていた時間」 が損失額を決めます。
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出荷停止
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受注処理停止
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生産ライン停止
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顧客対応・コールセンター業務停止
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売上計上が止まる
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株価下落
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信用失墜
これらの損失は、止まった時間×事業の売上高レート で指数的に膨らみます。
だから各国のサイバー標準では、
「MTTRを短くできる会社は強い」
「MTTRを短縮する投資は、サイバー防衛の核心」
と位置づけられます。
例えば:MTTRがこう違うと損失が激変します
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MTTR = 72時間(3日) → 損害 200〜600億円
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MTTR = 7日 → 損害 1,000億円以上
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MTTR = 14日 → 数千億円規模
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MTTR = 30日 → 企業存続の危機
※過去の大会社の事案の実際の数字を基に算出した一般的なイメージ。
MTTR を構成する4つの意味(どれもMTTRと呼ぶ)
MTTRには複数の種類がありますが、いずれも「復旧にかかった時間」を示す指標です。
| MTTRの種類 | 意味 |
|---|---|
| Mean Time To Recovery | 正常稼働に戻るまでの時間(セキュリティで最重要) |
| Mean Time To Repair | 故障箇所の修理にかかった時間 |
| Mean Time To Respond | インシデントへの最初の対応までの時間 |
| Mean Time To Restore | システム・データを復元するまでの時間 |
日本企業のランサムウェア対策で最重要なのは
Recovery(復旧) と Respond(初動) です。
ゼロトラストでMTTRが劇的に短縮する理由
ゼロトラスト・アーキテクチャでは:
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侵入を前提とした設計
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重要資産(Protect Surface)を囲い込む
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最小権限(Least Privilege)
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マイクロセグメント化
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AIによる自動隔離・自動修復
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ログの一元管理
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バックアップの独立構造化
これらによって 被害拡大を止める時間/復旧する時間が半分以下になる ことが多いと考えられます。
米国政府機関では「MTTRを短くできるゼロトラスト」を基準として推奨しています。
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