【CES2026視察】中国Booster Roboticsの子供の身長サイズのK1を見るだけでも価値がある。中国ロボット企業の発想の大胆さ
調べてみると、ヒューマノイド(ヒト型ロボット)の出展が数社あります。
CES2026公式サイト:出展企業が検索できるページ
特定できたのは以下の5社です。
Beijing Innovation Center of Humanoid Robotics
物流系のユースケースで知られるDigitのAgility Robotics 1社だけがアメリカで、他は全部中国のロボット会社です。アメリカで開催されるCESですが、ここは割り切って、中国のロボット技術の最先端を体感できる場として楽しみましょう。
以下の5社の中では、ほとんど動画が世に出ていないBooster RoboticsのK1が最も注目に値します。
K1は明らかに「子どもの中に入って一緒に遊ぶためのヒト型ロボット」です。身長が意図的に小学生低学年の身長で作ってあります。また価格もUnitree R1の5,900ドルに合わせて5,900ドルで設定しています。アメリカだけでなく世界の先進諸国のホームユースとして爆発的な浸透を狙っているのかも知れません。
日本のロボット関係者はK1の展示を見るだけでも、いい意味で衝撃に打たれ、ラスベガスまではるばる来たかいがあると思うでしょう。
以下ではCES2026のヒト型ロボ各社の出展内容をAIで予測して見ました
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1. 米国Agility Robotics
物流倉庫向けヒューマノイド「Digit」を開発。Fordなどが採用し、実用レベルの"働くロボット"として世界的に注目。
予測内容:
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商用物流・倉庫向けヒューマノイド「Digit+」の量産仕様展示。具体的には、手首操作・棚から部品取出し・台車牽引などの完全無人作業フローデモ。
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「人+ロボ協働」モデルの提示:人が横で作業している中、安全柵なしでヒューマノイドが隣接作業する状況を実演。
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サブスク/サービスモデル発表:機械+操作ソフト+保守を包括する"ロボット運用サービス"として、倉庫/物流現場向けプライシング付き。
2. 中国Beijing Innovation Center of Humanoid Robotics Ltd(北京人形机器人创新中心有限公司)
中国政府主導のヒューマノイド開発拠点。国家レベルで産学連携を進め、人型ロボットの標準化を牽引する。
予測内容:
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中国市場向け「屋内サービスヒューマノイド」の披露(例:ホテル・病院向け受付ロボット)。
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「多脚+二足混合」タイプヒューマノイド:階段・段差を踏破できる改良型を展示。
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ロボットを使った"インフラ検査"用途(橋梁・トンネル・地下)へ展開する技術プラットフォームを提案。
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開催地:ラスベガス/開催時期:2026年1月
旅行実施:株式会社 JTB ビジネスソリューション事業本部 第六事業部
企画:株式会社インフラコモンズ
監修:ラウンズベリー・アソーシエイツ
3. 中国Booster Robotics
高可動関節と軽量構造で知られる次世代ヒューマノイド開発企業。俊敏な動作やダンスなど"見せるロボット"で注目。最近、マイケルジャクソンのダンスとそっくりな動きをする小柄なヒト型ロボ"Booster K1 robot"をXで発表して話題になっている。
予測内容:
- 小柄で愛らしいBooster K1 Robotの展示が世界中の人達の注目を集めることは必至。
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高ダイナミック動作(跳躍・回転)ヒューマノイドを披露し、スポーツ/エンタメ用途を打ち出す。CESらしい"見せるロボット"としてのブランド化。
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協働ドローン+ヒューマノイドという"ロボットチーム作戦"デモ。
4. 中国Unitree Robotics
四足歩行ロボット「Go2」で知られるようになった会社。近年は低価格ヒューマノイド「G1」で世界市場進出を試み、最新の「R1」は5,900ドルという劇的な低価格で話題をさらった。
予測内容:
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先行モデル「G1」「H1」から発展した小型で安価な量産ヒューマノイド「R1」をCES 2026で大々的に展示。
5. 中国EngineAI (Shenzhen Zhongqing Robotics Technology)
サービス業向け対話型ヒューマノイドを開発。音声認識と視線制御を統合し、受付・案内ロボットとして実装段階。この半年で急激に機能を高度化。
予測内容:
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中国発のスタートアップ的ヒューマノイドを、「対話+受付+案内」用途で提示。音声・視線・ジェスチャーを用いたUI統合型ヒューマノイド。
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ビジネス用途(銀行・展示会・ホテル)向けライセンスモデル提示。
なぜBooster Roboticsの「K1」は"低身長設計"で世界を驚かせるのか
ロボティクスの専門家の目から見ても、Booster Roboticsの「K1」が採用した子どもの身長スケール(約100〜120cm前後)という設計は、単なるデザイン上の特徴ではありません。そこには、運動制御・安全性・市場適合性のすべてを同時に解決する設計哲学が凝縮されています。
第一に、動力学的安定性の向上です。低重心・短い脚長は、転倒リスクと関節トルクの両方を劇的に減らします。重力中心が下がることで、アクチュエータ出力を抑えたまま滑らかな動作が可能になります。これは、コスト構造に直結する要素です。モーターや減速機を小型化できるため、価格を5,900ドルという「家庭用ヒューマノイドの心理的価格帯」に収めることができました。
第二に、ヒューマンインタラクションの安全性です。K1は人間の子どもと同じ空間に入ることを前提としており、重量や関節力を抑え、顔の高さが子どもの視点に一致します。視線合わせの自然さは、AI対話モデルの没入感を高める重要な要素です。安全・心理・UXの観点からも、この身長スケールが最適化されているのです。
第三に、AIトレーニングと行動生成の効率性です。低身長ヒューマノイドでは、歩容パターンや動作生成のデータセットが制約の少ない環境(家庭や室内)で収集しやすく、Sim2Realの転移コストを下げられます。Boosterは、学習コストを構造的に削減できることを熟知しています。
そして最後に、市場適合性。家庭のリビングに違和感なく存在できるサイズ感、棚や机下を通過できる可動範囲、そして「親しみやすいフォルム」。このすべてが、ヒューマノイドを研究所から家庭へと送り出す鍵になります。
東大〜MIT留学中にロボティクスを研究しておられた廣川謙一さんは現在もロボティクス関連の活動をしておられ、昨日オンラインミーティングでお話しした時には、米コネチカット州のご自宅からはるばるシンガポールに飛んで、ROSCon 2025に参加する準備をしておられました。
ROSconは世界規模のロボット展示会。廣川さんにはエンジニア目線もあり、今回はご自身がROSで開発した"ある物"をプレゼンするために持ち込んでいるそうです。また、ここ数年はシンガポールで産業系のロボット導入案件を連続的に手がけておられます。
【廣川謙一さんプロフィール】
ラウンズベリー・アソーシエイツ代表
マッキンゼー、GE本社経営企画で新規事業および海外事業の成長戦略立案・実行を担当。
2016年よりシンガポールでロボットおよびイノベーションの導入立案、2019年より国立シンガポール大学、南洋理工大学などで起業の教育・指導などを行う。1998年より日本で8千億円以上の不良債権を処理。
知能ロボットの研究で工学修士。大学院在学中にMITの人工知能研究所に留学。知能ロボットの研究を行う。三菱重工、マッキンゼー、 GE、アーンスト・アンド・ヤングコンサルティング(日系金融機関担当ディレクター)などを経て、2002年にアメリカで独立。