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株式会社インフラコモンズ代表取締役の今泉大輔が、現在進行形で取り組んでいるコンシューマ向けITサービス、バイオマス燃料取引の他、これまで関わってきたデータ経営、海外起業、イノベーション、再エネなどの話題について書いて行きます。

[メモ] GEイメルト氏の新諮問機関で米国が「パッケージ型インフラ輸出」の競合になる可能性

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1月21日に米オバマ大統領が新たな経済諮問機関「雇用と競争力に関する大統領評議会」を設置し、議長にGEのCEOイメルト氏を起用するというニュースが流れました。
これを見てすぐに、同諮問委員会がこれから大統領に提出する報告書においては、日本で言うところの「パッケージ型インフラ輸出」が提言の柱になるのではないかという思いがよぎりました。単なるカンと言えばカンなのですが。

米国では2000年代前半に「競争力に関する評議会」の議長にIBMのパルミサーノCEOが就き、2004年末に報告書"Innovate America"を提出して、政府にイノベーションを促進すべきだという提言をしました。この当時、IBMに限らず米国の産業界ではイノベーションが大きなテーマでしたから、このような内容になったのもうなづけるところです。また、IBM自体がイノベーションに注力していました。

この流れで行くと、現在、イメルトCEOのGEが注力しているものは何か?それが新経済諮問機関の最終報告書の提言の柱になるのではないかと思えてきます。

弊ブログでかなり前に、オバマ大統領が訪中した際に取りまとめられたエネルギー関連政策の米中間合意についてご紹介したことがあります。

オバマ大統領&胡錦濤主席によるクリーンエネルギー政策合意でわかったこと(1)
オバマ大統領&胡錦濤主席によるクリーンエネルギー政策合意でわかったこと(2)

この時、関連の文書を読み込んでいてわかったのは、GEは相当な資金を投じて米議会に対するロビー活動を行っており、自社に優位のある政策を実現させる力量を持っている企業なのだということでした。この時の米中間合意では、最終的にGEが恩恵を受ける枠組みがいくつも並行で走っています。中国政府が相手の政策合意においてGEの権益を反映させられるのですから、すごいと言えばすごいです。(しかしこのへん、パッケージ型インフラ輸出的であると言えば、そうも言えます。)

また、オバマ政権が経済復興の切り札として打ち出した米国再生・再投資法における巨額のスマートグリッド関連助成金についても、多くの電力会社に助成金が割り当てられた訳ですが、助成金対象になった電力会社の6割程度はGEの顧客であったということもあります。(これなどは単純に同社のシェアが大きかったということでしょうが。)

加えてGEにおいて最近見逃せないのは、インフラ投資そのものを、ビジネスドメインの中心に据えつつあるということです。特に、再生可能エネルギー分野において、その動きが顕著です。この関連では、やはり中国が将来における巨大な市場になってくるわけですが、そこにおける積極的な投資が注目されます。

[ニュースの背景]GEが中国のスマートグリッド関連企業などに20億ドルを投資(上)
[ニュースの背景]GEが中国のスマートグリッド関連企業などに20億ドルを投資(下)

これらを勘案すると、新諮問委員会の議長となったイメルトCEOは、かなりの確度でもって「インフラ輸出」を主軸に打ち出してくることが予想されます。そしてまた、諮問委員会の位置づけが国家の産業戦略を論じるということですから、提言は国家を挙げた「インフラ輸出」を振興すべきということになり、それはすなわち、日本で言うところの「パッケージ型インフラ輸出」ということになるのではないかと思うのです。日本にとって米国がこの分野における競合になる可能性があります。

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