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20年以上断続的にこのブログを書き継いできたインフラコモンズ代表の今泉大輔です。NVIDIAのフィジカルAIの世界が日本の上場企業多数に時価総額増大の事業機会を1つだけではなく複数与えることを確信してこの名前にしました。ネタは無限にあります。何卒よろしくお願い申し上げます。

クラウドもAIもすでに履修済み --中国IT大学生の実力とは?【正式告知】「上海・北京トップ大学新卒IT高度人材獲得ツアー」を9月下旬に実施

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なぜ今、中国IT大学生に注目すべきか?

日本のIT業界はいま、慢性的な人材不足に直面しています。特に以下の3領域では、将来的なボトルネックが顕在化しています。

  • DX推進に伴うクラウド人材

  • 次世代車両(SDV)に関わるソフトウェア人材

  • DevOps、セキュリティ、AI活用といった先端技術を扱える人材

経済産業省の予測によれば、2030年には最大79万人のIT人材が不足すると言われており、企業の競争力や事業の持続性に直結する問題です。

一方、視野を海外に広げれば、今まさに"行き場を失っている優秀な若手IT人材"が存在しています。それが中国の大学で育ったIT系新卒人材です。

視点①|中国のIT教育がフォーカスする分野

中国の上位大学では、すでに現代日本企業が求めるITスキルを体系的に教えています。以下は代表的な教育領域です。

● クラウド教育

  • Alibaba Cloud(Aliyun)を基盤に、分散アーキテクチャやKubernetes基礎を学ぶ実践演習

  • AWS認定資格の学内対策講座を開講している大学も増加中

● AI・機械学習

  • 深層学習(PyTorch, TensorFlow)やモデル最適化の演習がカリキュラムに組み込まれている

  • 清華大学・中山大学ではAI倫理や社会実装にまで言及

● 組込み × 制御工学

  • Python/C++による自律制御演習(SLAM、物体検出など)

  • ROS(Robot Operating System)ベースの開発課題も一般的

● DevOps・セキュリティ・データサイエンス

  • Git, Jenkins, Docker, Kubernetesなどを用いたCI/CD実習

  • ハッキング・脆弱性診断のシナリオ演習を提供する大学も

つまり、彼らは"日本企業が3年かけて育てる人材像"を卒業時点でほぼ完成形で持っているのです。

視点②|中国の新卒人材が日本企業に貢献できる領域

日本語能力と職場文化の理解を兼ね備えた学生も多く、以下の業界では即戦力に近い形で活躍可能です

● 自動車業界(SDV開発部門)

  • Simulinkでの制御モデル設計、CAN通信プロトコル、OTAアップデート構造の理解

  • C/C++をベースにしたECU開発や、AIベースのADASアルゴリズム実装経験あり

● 事業会社のIT部門

  • クラウド移行(オンプレ→クラウド)のプロジェクトでTerraformやAnsibleを用いたIaC(Infrastructure as Code)構築

  • モダンなクラウド運用スキルを持つ若手が必要な現場にマッチ

● SIer / ソフトウェア企業

  • プロジェクト型開発経験、チーム開発ツール(GitHub, Jira等)への習熟

  • 若手人材獲得競争の中で、「即戦力育成型新卒」としての採用候補

視点③|清華・上海交通などで行われている実践教育

中国のトップ大学では、単なる座学ではなく"実務さながら"の教育が行われています。

● 開発演習はオープンソースが前提

  • GitHubでのコード提出が評価対象

  • Docker/Kubernetesを活用したマイクロサービス構築

  • ペアプログラミング・コードレビューまで演習に含まれる

● ハッカソンと企業連携プロジェクト

  • Huawei、Tencent、Baiduなどと連携した学内ハッカソン

  • 実際の開発現場に近いプロジェクト型授業(PoCベース)

● 日本との対比:現場即応型 vs 理論偏重

  • 日本の大学では理論が重視され、現場導入までにギャップがある

  • 中国の大学では**「就職してすぐ使えるか?」を前提に教育設計**

彼らは「学んだことが現場でそのまま使える」環境で4年間を過ごしているのです。

結論|日本企業が今、検討すべきこと

これだけの実力を備えながら、中国では今、若者が就職できない"就職氷河期"が進行中です。彼らにとっては海外就職が現実的な選択肢になりつつあり、日本企業にとってはまさに人材確保の好機です。

  • 中国IT系大学と接点を持つ視察

  • 現地人材紹介会社との提携

  • "即戦力に育成済みの新卒"という認識での採用

これらを通じて、日本企業は新たな人材戦略の選択肢を手に入れることができます

今、アクションを起こすかどうかで、3年後の開発体制は大きく変わってくるかもしれません。


【正式告知/最終視察内容決定】

JTB上海・北京トップ大学新卒IT高度人材獲得ツアー

私たちインフラコモンズ株式会社では、先日ご紹介の「シリコンバレー最先端ヒューマノイド企業視察ツアー」に続いて、中国・上海および北京のIT人材教育に注力するトップ大学群を訪問し、日本企業が各大学の優秀なIT系人材――新卒のみならず、修士・博士課程の高度人材まで含めて――とつながるための視察ツアーを実施します。

【視察日程】

◉9月22日月曜日〜9月26日金曜日 申込締切8月26日火曜日

【視察設計のポイント】

  • IT人材教育を積極的に行なっている上海と北京のトップ大学における新卒/修士/博士課程人材窓口を訪問し、御社と各大学とのパスが構築できる機会を目指します。
  • ベテランの日本人中国語通訳が付きます。
  • 旅行会社はJTBになります。参加申込はJTBの予約申込ページOASYSから行っていただきます。8月上旬に開通したURLを告知、正式なお申し込みができるようになります。
  • 月曜出発、金曜日帰国。最少催行人数10名。最大20名(20名になった時点で締め切ります)
  • 中国における視察コーディネート会社:CARETTA WORKS。視察実施後の個別企業様と各大学との交渉等を個別のコンサルティングサービスとして請け負うことも可能です。
  • 視察代金は80万円(航空サーチャージおよび空港使用料別)

【対象となる企業】

  • 日本の大手IT企業。特にAIやクラウド人材を求めている大手IT企業

  • 日本の自動車メーカー及びティア1企業でSDV(Software Defined Vehicle)開発人材を求めている企業、及び、ADAS開発人材を求めている企業

  • 日本の大手企業において、業務部門内でアプリケーションを内製するチームの充実を図りたいとお考えの企業
  • 日本のIT人材企業で中国IT人材企業とのパイプを作りたいとお考えの企業

【視察スケジュール】

【Day 1】東京 → 上海

  • 午前:東京(羽田/成田)発

  • 午後:上海浦東空港着

  • 夕方以降:自由行動/休憩→歓迎会・オリエンテーション

  • 宿泊:上海市内ホテル

【Day 2】上海市内訪問(午前+午後で2大学) → 夜に北京へ移動

  • 上海交通大学、復旦大学の2校のIT新卒人材にアクセス可能な窓口を訪問

  • 夜便:上海 → 北京移動(例:19〜21時台便)

  • 宿泊:北京市内ホテル

【Day 3】北京訪問(午前+午後で2大学)

  • 清華大学、北京大学、北京航空航天大学、北京郵電大学、北京理工大学のいずれかのうち、2校のIT新卒人材にアクセス可能な窓口を訪問

  • 宿泊:北京市内ホテル

【Day 4】北京訪問(午前+午後で2大学)

  • 清華大学、北京大学、北京航空航天大学、北京郵電大学、北京理工大学のいずれかのうち、2校のIT新卒人材にアクセス可能な窓口を訪問

  • 宿泊:北京市内ホテル

【Day 5】北京 → 東京

  • 午前:自由時間/チェックアウト

  • 午後:北京首都空港または大興空港へ送迎

  • 夜便:北京発 → 東京着

【資料請求および旅行について】

 株式会社JTB  
 https://www.jtbcorp.jp/jp/
 ビジネスソリューション事業本部 第六事業部 営業第二課内 JTB事務局
 TEL: 03-6737-9362
 MAIL: jtbdesk_bs6@jtb.com
 営業時間:月~金/09:30~17:30 (土日祝/年末年始 休業)
 担当: 稲葉・野田
 総合旅行業務取扱管理者: 島田 翔


お問い合わせは、株式会社インフラコモンズ (ホームページ下端の問い合わせ欄よりお送りください)まで

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