オルタナティブ・ブログ > 経営者が読むNVIDIAのフィジカルAI / ADAS業界日報 by 今泉大輔 >

20年以上断続的にこのブログを書き継いできたインフラコモンズ代表の今泉大輔です。NVIDIAのフィジカルAIの世界が日本の上場企業多数に時価総額増大の事業機会を1つだけではなく複数与えることを確信してこの名前にしました。ネタは無限にあります。何卒よろしくお願い申し上げます。

トヨタ、新工場発表×豊田自動織機再編は「空飛ぶクルマ」量産への地ならしか──eVTOL戦略の深層を読む

»

musubuassets_cinematic_shot_of_Toyota_e-VTOL_flying_on_Tokyo__43f3d3cd-292e-4cd2-8749-7ab9a7beb5af_3.png

トヨタ自動車は、2030年代初頭の稼働を予定する国内新組立工場の建設を発表した。製造車種は未定とされ、国内生産能力の維持が主目的と説明されている。一方、グループ中核の豊田自動織機(TICO)については、非公開化を含む再編構想が進行している。これら二つの動きが、トヨタが出資する米Joby Aviationとの連携によるeVTOL(電動垂直離着陸機)事業に結び付く可能性があるとの仮説が一部で浮上している(今泉注:私の仮説)。本稿では、その仮説の妥当性を肯定・否定の両面から検討する。

*本稿の作成では最新版のChatGPT 5を実験的に使用しています。後半の論拠も併せてお読み下さい。

現状分析

2025年3月期の連結売上高は約36兆円、営業利益は1.8兆円規模と推定される。米国の関税措置により、通期営業利益見通しは約9.5十億ドルの減額修正を余儀なくされ、短期的には株価・ROEともに下方圧力を受けている。

事業構造は、自動車組立を基盤としつつ、BEV、MaaS、ロボティクス、eモビリティ領域への多角化を進めている。2010年代後半以降は「モビリティ企業」への転換を標榜し、2020年に米Joby Aviationへ出資。以降、追加出資や製造協力の深化、2024年には日本国内でのeVTOL初飛行支援に関与した。

競合各社も次世代モビリティ投資を進めているが、Jobyとのパートナーシップはトヨタ固有の資産である。市場ポジションは先行優位性を持ち、財務耐性も相対的に高い。

背景・構造的要因

豊田章男会長は、Joby初出資時に「陸に加え空へ自由な移動を」という構想を明言しており、長期的なeVTOL事業参入の方向性を示していた。2024年11月の国内初飛行は、規制整備や社会受容を見据えた実証段階の一環と位置付けられる。

TICO再編は、認証不正問題の収束とガバナンス強化を主目的としつつも、生産拠点の機能再配置を可能にする柔軟性を高める効果がある。eVTOL部材の生産や品質保証といった航空分野特有の要件への適応力向上にもつながり得る。

外部環境として、米FAAの型式証明取得を主軸とした国際的な認証スキーム、日本の国土交通省による制度整備、さらにはカーボンニュートラル政策などが、eVTOL事業の市場成立に影響を与える。

現行戦略の評価

現段階でトヨタは、eVTOL量産を国内新工場で行うと明言していない。既存の発表は、Jobyとの製造連携、追加出資、飛行試験支援にとどまる。強みは量産技術、品質保証、サプライチェーン管理能力であり、TICO再編による資源再配置が可能になれば、航空品質の部材・モジュール供給能力を獲得できる。

一方で、短期的には関税影響による利益圧迫、eVTOL市場の収益化までの不確実性、国内規制整備の進捗遅延といった制約が存在する。他社(例:ホンダ)も研究開発を進めるが、量産前提の生産体制構築には至っていない。

展望と打ち手

短期(1〜3年)では、米国でのFAA認証取得と量産立ち上げ支援を優先し、国内では安全性評価・社会実証データの蓄積を進める必要がある。
中期(3〜7年)では、TICOおよび新工場の一部ラインをeVTOL部材やモジュールの生産に転用できる設計とし、国内供給網を形成する。
長期(7〜10年)では、国内最終組立やMRO(整備・修理・オーバーホール)拠点化を検討し、海外輸出も視野に入れる。

施策としては、複合材加工・高信頼モーター製造・航空品質管理体制の整備、国内外規制当局との並行調整、航空部品サプライヤーとの資本提携が挙げられる。2030年代前半にeVTOL関連売上が数千億円規模に達すれば、資本市場におけるROE・PBR改善要因となる。

結論

国内新工場およびTICO再編がeVTOL事業量産の直接的基盤になると断定することはできない。しかし、Jobyとの連携深化、製造拠点の柔軟化、航空品質への適応準備という観点から、将来的な布石である可能性は否定できない。短中期の焦点は、米国での商用化と国内の制度整備であり、その進捗が国内生産適用の可否を左右する。


ChatGPT 5が生成した素材としての論拠

仮説:新工場+豊田自動織機の再編="空飛ぶクルマ"量産の布石?

肯定材料(つながる理由)

  • Jobyとの"製造パートナー"関係を明確化
    24年10月にトヨタは追加5億ドル出資を発表。製造・品質・コスト管理のノウハウ提供を改めて明言し、25年5月の続報では**「優先的製造パートナー」権限や日本での運航権の可能性**に触れる報道も。量産工程でトヨタの生産技術を深く組み込む設計です。Toyota USA NewsroomReutersZag Daily

  • 日本での初飛行と"国内実装"の地ならし
    24年11月、Jobyの機体が日本で初飛行。トヨタ側の首脳同士の"深い信頼関係"を強調し、国内受容に向けた社会実装のプロセスが動いています。トヨタイムズ

  • 豊田章男の"空へ拡張するモビリティ"観
    20年のJoby初出資時に**「自動車メーカーからモビリティ企業へ」「陸に加え空へ自由な移動を」**と明言。中長期での空モビリティ参入はトップメッセージと整合します。テックエクスプローラー

  • 新工場は"車種未定"かつ稼働は2030年代初頭
    トヨタは国内初の新組立工場計画を発表も、生産モデルは未定。2030年代の需要地図を見据えた"将来枠"で、eVTOLのサプライチェーン要素(電動パワーユニット・複合材加工・最終組立の一部)を取り込む余地は理屈として残ります。Reuters

  • 豊田自動織機(TICO)を巡るグループ再編の"再配置"余地
    25年にかけてTICOの非公開化・グループ再編案が進展。認証不正後の信頼回復と"ものづくり中枢"の統合管理強化は、新領域(航空級品質)への転用布石と読むことは可能です。Reuters+1toyota-industries.com

否定材料(弱点・反証の芽)

  • 新工場は"自動車工場"と明言、国内3百万台体制維持が主眼
    発表は国内生産能力維持(輸出含む)が主目的。需要減の日本でeVTOL量産をいきなり据えるのは設備投資の経済性が合いにくい。まずは米国・FAA主導で量産・運航が先行するのが自然。Reuters

  • 関税ショック下での守りの投資配分
    25年は米関税で9.5十億ドル影響、通期見通しも下方修正。短中期は自動車側の損益・サプライ網再最適化が最優先で、eVTOLの国内量産に大きな資本を割きにくい局面。Reuters+1

  • TICO再編は"防衛的・ガバナンス"色が濃い
    再編は認証不正の後始末+持合い解消への対応という側面が大きい。eVTOL前提の機能移管と断じるにはエビデンス不足。Reuters+1

  • 規制・認証はまず米国が主戦場
    Jobyの型式証明はFAAが先導。日本の本格運航は米国商用開始→国交省/JCABでの制度整備の順が有力で、日本での"量産・最終組立"の優先度は二の次になりやすい(足元の投資・発表も米側が中心)。Reuters

  • 豊田章男の発信は"方向性の宣言"止まり
    章男氏は空モビリティの意義を語ってきましたが、**"国内新工場でeVTOLを作る"**といった具体指示の一次情報は現時点で見当たりません(投資・協業の枠組み提示に留まる)。テックエクスプローラー

私見(バランス判定)

  • 短期(〜2027):主戦場は米国。JobyのFAA認証・米国量産をトヨタの生産技術で下支え。日本は実証・整備・運航準備。

  • 中期(2028-2032)サブアッセンブリや部材の日本内製(高信頼モーター、減速機、複合材、品質保証)をTICO/グループ工場で担う可能性は十分。新工場のラインの一部転用・柔軟生産枠も選択肢

  • 長期(2030年代前半〜)日本国内での最終組立"の一部"やMRO(整備拠点)は現実的。ただし"工場の主目的がeVTOL"と断じるのは時期尚早。まずは自動車の収益防衛と米国eVTOL商用立ち上げが先。

要するに、「布石」仮説は"半分アリ"
直接"eVTOL最終組立の国内専用新工場"ではなく、Jobyの米国量産→日本実装を見据えた部材/工程の内製化・品質中枢の再配置という意味で、新工場とTICO再編が"将来の受け皿"になる可能性は十分あります。



【SDV開発人材の育成も行っている中国トップ大学を視察!産学連携は中国のお家芸。人材獲得のきっかけづくりに】

JTB上海・北京トップ大学新卒IT高度人材獲得ツアー

私たちインフラコモンズ株式会社では、先日ご紹介の「シリコンバレー最先端ヒューマノイド企業視察ツアー」に続いて、中国・上海および北京のIT人材教育に注力するトップ大学群を訪問し、日本企業が各大学の優秀なIT系人材――新卒のみならず、修士・博士課程の高度人材まで含めて――とつながるための視察ツアーを実施します。

【視察日程】

◉9月22日月曜日〜9月26日金曜日 申込締切8月26日火曜日

【視察設計のポイント】

  • IT人材教育を積極的に行なっている上海と北京のトップ大学における新卒/修士/博士課程人材窓口を訪問し、御社と各大学とのパスが構築できる機会を目指します。
  • ベテランの日本人中国語通訳が付きます。
  • 旅行会社はJTBになります。参加申込はJTBの予約申込ページOASYSから行っていただきます。8月上旬に開通したURLを告知、正式なお申し込みができるようになります。
  • 月曜出発、金曜日帰国。最少催行人数10名。最大20名(20名になった時点で締め切ります)
  • 中国における視察コーディネート会社:CARETTA WORKS。視察実施後の個別企業様と各大学との交渉等を個別のコンサルティングサービスとして請け負うことも可能です。
  • 視察代金は80万円(航空サーチャージおよび空港使用料別)

【対象となる企業】

  • 日本の大手IT企業。特にAIやクラウド人材を求めている大手IT企業

  • 日本の自動車メーカー及びティア1企業でSDV(Software Defined Vehicle)開発人材を求めている企業、及び、ADAS開発人材を求めている企業

  • 日本の大手企業において、業務部門内でアプリケーションを内製するチームの充実を図りたいとお考えの企業
  • 日本のIT人材企業で中国IT人材企業とのパイプを作りたいとお考えの企業

【視察スケジュール】

【Day 1】東京 → 上海

  • 午前:東京(羽田/成田)発

  • 午後:上海浦東空港着

  • 夕方以降:自由行動/休憩→歓迎会・オリエンテーション

  • 宿泊:上海市内ホテル

【Day 2】上海市内訪問(午前+午後で2大学) → 夜に北京へ移動

  • 上海交通大学、復旦大学の2校のIT新卒人材にアクセス可能な窓口を訪問

  • 夜便:上海 → 北京移動(例:19〜21時台便)

  • 宿泊:北京市内ホテル

【Day 3】北京訪問(午前+午後で2大学)

  • 清華大学、北京大学、北京航空航天大学、北京郵電大学、北京理工大学のいずれかのうち、2校のIT新卒人材にアクセス可能な窓口を訪問

  • 宿泊:北京市内ホテル

【Day 4】北京訪問(午前+午後で2大学)

  • 清華大学、北京大学、北京航空航天大学、北京郵電大学、北京理工大学のいずれかのうち、2校のIT新卒人材にアクセス可能な窓口を訪問

  • 宿泊:北京市内ホテル

【Day 5】北京 → 東京

  • 午前:自由時間/チェックアウト

  • 午後:北京首都空港または大興空港へ送迎

  • 夜便:北京発 → 東京着

【資料請求および旅行について】

 株式会社JTB  
 https://www.jtbcorp.jp/jp/
 ビジネスソリューション事業本部 第六事業部 営業第二課内 JTB事務局
 TEL: 03-6737-9362
 MAIL: jtbdesk_bs6@jtb.com
 営業時間:月~金/09:30~17:30 (土日祝/年末年始 休業)
 担当: 稲葉・野田
 総合旅行業務取扱管理者: 島田 翔


お問い合わせは、株式会社インフラコモンズ (ホームページ下端の問い合わせ欄よりお送りください)まで


Comment(0)