オープン版カンバンガイドが公開されました
こんにちは。
8月1日にカンバンガイドの2025年版が公開されたとお伝えしました。
このたび、オープン版カンバンガイドの日本語翻訳版も公開に至りしましたのでお知らせします。
オープン版カンバンガイドは、ソープンソースコミュニティによって運営されています。
先のカンバンガイドと今回のオープン版カンバンガイドの違いも含めてお伝えします。
2つのカンバンガイド
カンバンガイドは、アジャイルコミュニティによって編纂されている「カンバン」についてのガイドになります。2025年7月に発表され、サイトがリニューアルしたタイミングで2つのガイドが登場しました。
- カンバンガイド(The Kanban Guide): 最小限のガイド。主要メンバーで更新をする(フィードバックは受け付けています)。
- オープン版カンバンガイド(Open Guide to Kanban): カンバンガイドをベースにしてより広い知見を含み、柔軟性のある実践的な拡張ガイド。オープンソースコミュニティであり、フィードバックを受け付け、継続更新ドキュメント(Living Document)として頻繁にアップデートしていきます。
読んでいただく順番としては、まず最小セットであるカンバンガイドです。必要最小限をキャッチアップいただけます。そして、その背後の理論や、最小限から実践への橋渡しになる事項は、オープン版カンバンガイドを紐解いていくことになります。また、カンバンの実践に際して、本筋からずれてきてしまっているなと思った際は、カンバンガイドに戻ってみるのも有効です。
どちらも日本語翻訳版がありますので、ぜひご活用ください。
オンライン閲覧とPDFのダウンロードが可能です。
(余談)カンバンややこしい
カンバンガイドを紹介しておいて避けては通らない「カンバンってなに」問題について少し触れておきたいと思います。
よく勘違いされますが、トヨタの「かんばん方式」と今回テーマにしているカンバンは別物と捉えた方がいいです。よくかんばん方式のデジタル版とか、ソフトウェア開発向けとか言及されていますが、厳密にはそういう関係性は認められていないはずです(※トヨタのスケジューリング方式などの影響は受けています)。
デビッド・アンダーソン氏の書籍『カンバン
』において、カンバンは制約理論(TOC)のドラム・バッファ・ロープ(DBR)に基づいたものであることが述べられています。また、「カンバン(Kanban)」という名称は、リーン思考への注目でトヨタの用語を用いることが、その文脈で親しみがあるので、「カンバン」を使うこととしたといった旨が述べられています(※私のキヲクを頼りに述べていますので、気になる方は書籍でご確認ください)。なお、本文ではなく紹介文などではかんばん方式との関係を言及していたりしますが、ぜひ本文を(も)読んで理解を深めてください。なお、ここからさらにややこしくて、カンバン(Kanban)においてもKanban MethodとKanbanがあります。
先に述べたデビッド・アンダーソン氏のカンバンは、「カンバンメソッド(Kanban Method)」として知られているもので、主にKanban Universityという団体があります。
また、今回のテーマである「カンバンガイド」は、主にProKanbanという団体のベースとなっているガイドであり、こちらはメソッドとしてというよりは、コミュニティで実践されているカンバンという仕組み(カンバンシステム)をまとめて最小限を定義しているものです。その点でオープン版カンバンガイドは、カンバンガイドをベースとしていますが、よりオープンに、そのコミュニティで実践しているカンバンの要素がより広く記載されています(Kanban Universityのガイドも参照されています)。