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AIも「自民党単独過半数獲得」シナリオを予測。「ベイズ確率的統合」続編(2026/1/29版)

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2026年1月29日、第51回衆議院議員総選挙は公示から数日が経過し、いよいよ中盤戦へと突入しました。 連日、新聞やテレビからは「自民堅調」「中道伸び悩み」といった情勢報道が流れてきますが、一方でSNSを開けばまったく異なる「熱狂」や「怒り」が渦巻いています。

「一体、どの情報が本当の民意を映しているのか?」

そんな疑問を抱く方も多いのではないでしょうか。 前回(1/22版)に引き続き、AIと統計学を駆使した最新の選挙予測モデル「ベイズ確率的統合(Bayesian Probabilistic Integration)」を用いて、1月29日時点での選挙情勢を詳細に分析しました。

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そもそもこの手法が何を目指しているのか、そして今回の分析で何が見えてきたのかについて、イントロダクションとして解説したいと思います。

「ベイズ確率的統合」とは何か?:不確実性の海を渡る羅針盤

この「ベイズ確率的統合」という手法は、従来の選挙予測とは根本的にアプローチが異なります。

これまでの選挙予測は、主に新聞社などが実施する電話調査(世論調査)の数字をそのまま「正解」として扱ってきました。しかし、固定電話の保有率が低下し、SNSでの情報拡散が投票行動を左右する現代において、単一のデータソースに頼ることは、片目を閉じて運転するようなものです。

ベイズ確率的統合は、「確率は新しい証拠(データ)が得られるたびに更新される」というベイズ統計学の考え方に基づき、多様で異質なデータを一つのモデルに統合(Integration)します。

具体的には、以下の要素をインプットとして投入しています。

  1. 世論調査データ(Traditional): 読売、朝日、毎日など各社の調査結果。ただし、各社のバイアス(偏り)を補正して取り込みます。

  2. 経済指標(Market Vote): 日経平均株価や為替レート。市場は「誰が勝つか」を織り込んで動くため、株価は現政権への強力な信任投票データとなります。

  3. デジタル・センチメント(Digital Pulse): X(旧Twitter)、YouTube、TikTokでの検索数やネガティブ/ポジティブの感情比率。特に若年層や無党派層の「空気」を読み取ります。

  4. 過去の選挙行動データ(Priors): 過去の選挙における組織票の動きや、連立解消時の票の流出パターンなど。

これらを数学的に統合することで、ノイズ(一時的な騒ぎ)を除去し、「現時点で最も蓋然性の高い未来」を確率分布として導き出すことができるのです。 この手法の最大のメリットは、「矛盾する情報」を扱える点にあります。例えば、「A新聞は自民圧勝と報じているが、B新聞は支持率急落と報じている」という場合でも、それぞれの信頼度や先行指標としての性質を計算に入れ、統合的な結論を導くことが可能です。

誰がこの分析を必要としているのか?

この「ベイズ確率的統合」による分析は、単なる興味本位の予測ゲームではありません。以下のような方々にとって、極めて実践的なツールとなります。

  • マスメディア・ジャーナリストの方々: 表面的な支持率の数字を追うだけでなく、その背後にある構造的な変化(例:なぜスキャンダルがあっても支持率が下がらないのか、あるいは、どの層が離反しているのか)をデータに基づいて深掘りする際の羅針盤として活用できます。

  • 各党の選挙対策本部・候補者陣営の方々: 限られた選挙期間中、「どこにリソース(資金・人員・時間)を投下すべきか」という意思決定は死活問題です。このモデルを使えば、自身の選挙区における「浮動票の風向き」や、特定のネガティブキャンペーンが実際にどれだけのダメージ(または無風)を与えているかを定量的に把握し、戦略を修正することができます。

  • ビジネスリーダー・投資家の方々: 政治の安定性は経済に直結します。選挙結果のシナリオ(自民単独過半数か、連立か、政権交代か)ごとの確率を知ることは、事業計画や投資判断におけるリスクヘッジに不可欠です。

今回の調査(1/29版)の結論:高市一強の死角

さて、今回の分析(1月29日時点)で導き出された結論について、少しだけ触れておきましょう。 詳細な報告書は後述しますが、AIが弾き出したメインシナリオは「自民党による単独過半数の獲得」です。

これは自民党の組織力が盤石だからではありません。高市早苗首相個人の「ブランド力」と、野党再編(中道改革連合)の構造的な不全、そして野党乱立による「漁夫の利」が重なった結果です。株価が5万3000円台を維持していることも、現政権への強力な追い風として計算されています。

しかし、死角がないわけではありません。 毎日新聞の調査で示された「支持率の急落」は、ベイズモデル上ではノイズではなく、都市部無党派層における「スキャンダルへの嫌悪感」を示す先行指標(Leading Indicator)として検知されました。 また、デジタル空間では参政党などの新興勢力が、既存メディアの観測範囲外で爆発的な広がりを見せており、これが選挙結果にサプライズをもたらす可能性が高まっています。

「安定」に見える水面下で、地殻変動は確実に起きています。

なお、この「ベイズ確率的統合」を用いた詳細な分析レポートの作成や、自社ビジネス・選挙戦略への応用にご関心をお持ちの方は、インフラコモンズまでお問い合わせください。

お問い合わせはこちら: https://infracommons.com/ (お問合せ欄よりご連絡ください)


1. 序論:不確実性の海を航海する羅針盤としてのベイズ推定

2026年1月29日、第51回衆議院議員総選挙の選挙戦は序盤の激しい攻防を終え、中盤戦へと差し掛かろうとしている。本報告書は、従来の「経験則」や単一の世論調査(スナップショット)に依存する選挙予測の限界を突破し、多様かつ異質な情報源――世論調査、経済指標、SNSトレンド、過去の選挙行動データ――を数学的に統合する「ベイズ確率的統合(Bayesian Probabilistic Integration)」の手法を用いて、現時点での最も蓋然性の高い選挙結果を予測・分析するものである。

今回の選挙は、日本の戦後政治史における「特異点」として記憶されることになるだろう。高市早苗首相による「電撃解散」、四半世紀にわたり日本政治の基軸であった自公連立の解消、そして立憲民主党と公明党による歴史的な「中道改革連合(略称:中道)」の結成という、構造的な地殻変動の中で行われているからである。これらの要素は、過去の選挙データに基づく回帰分析を無効化するほどのインパクトを持っている。

我々のモデルは、これらの変動要因を「不確実性(Uncertainty)」として処理し、日々更新される新たなデータ(尤度)によって、事前確率(Priors)を事後確率(Posteriors)へと更新し続けている。1月29日現在、複数のメディアから序盤情勢調査が発表された。読売新聞は自民党の単独過半数の勢いを報じ、一方で毎日新聞は内閣支持率の急落を伝えている。一見矛盾するこれらのシグナルをどのように解釈し、統合すべきか。本報告書は、その問いに対する数理的かつ包括的な解を提供する。

1.1 分析の枠組み:ベイズ更新のプロセスと「異種データ統合」

本分析における「信念の更新(Belief Updating)」プロセスは、単なる平均値の算出ではない。情報の「信頼度」と「鮮度」に重み付けを行い、ノイズを除去してシグナルを抽出する作業である。具体的には以下のプロセスを経ている。

  1. 事前分布(Priors)の設定: 解散直前(1月23日時点)の議席数および政党支持率をベースラインとする。ここでは、高市内閣の高い支持率(約70%)と、野党再編(中道改革連合結成)による不透明感を初期条件として設定した。特に、公明党の支持母体である創価学会票の動きについては、過去の「自公連立」時代の投票行動を事前確率として設定しつつ、分散を大きく取ることで不確実性を表現している。

  2. 尤度(Likelihoods)の入力と重み付け: 1月27日の公示以降に得られた以下のデータを「証拠」としてモデルに投入する。

    • メディア情勢調査: 読売新聞、日本経済新聞、共同通信、毎日新聞等の序盤情勢データ。各社の調査手法(RDD、インターネット調査)のバイアスを補正係数として組み込む。

    • 経済指標(マーケットの投票): 日経平均株価の変動(1月28日終値53,358円)や為替レートの動向を、現政権への「信任係数」として換算する。

    • デジタル・センチメント(情動の波): SNS(X, YouTube, TikTok)における検索数、エンゲージメント率、ネガティブ/ポジティブ比率。特に、若年層や無党派層の投票行動の先行指標として重視する。 (今泉注:マスメディアの世論調査では全く拾うことができない動向であり、近年の選挙では大きな影響力を持つようになった。衆院選2026のXの動向に関する実験的調査はこちら。TicTokの実験的調査はこちら。)

    • イベントリスク(衝撃係数): 高市首相の親族(長男・山本建氏)のスキャンダルと出馬断念が、特定地域(福井など)および都市部無党派層に与える心理的影響を数値化する。

  3. 事後分布(Posteriors)の算出: 上記を統合し、現時点での各党獲得議席数の確率分布を算出する。これにより、「A党がX議席獲得する確率はY%」という確率的な予測が可能となる。


2. マクロ環境分析:高市政権の「盾」と「アキレス腱」

選挙結果を左右する最大の変数は、個別の候補者の資質以上に、有権者の投票行動を全体として規定するマクロ環境(「風」)である。ベイズモデルにおいては、これを各選挙区の「基礎票(Base Vote)」を変動させる外部要因(Global Parameters)として扱う。

2.1 「高市プレミアム」の耐久性と構造的脆弱性

高市早苗首相の個人人気は、依然として自民党にとって最強の武器(盾)であることは疑いない。しかし、1月29日時点での各社世論調査データを統合・分析すると、その岩盤と思われた支持構造に、微細だが無視できない「亀裂」が生じていることが検知された。

支持率データの「乖離」が示す意味

現在、メディア各社の世論調査結果には有意なばらつきが見られる。

  • 高位安定群: 読売新聞(1月23-25日調査)では支持率69%、産経・FNN(1月24-25日)では70.8%と、依然として驚異的な7割台を維持している。これは歴代政権の中でも小泉純一郎内閣や第二次安倍内閣の発足直後に匹敵する水準であり、自民党候補者にとって強力な「追い風」となっている。特に、従来の自民党が苦手としていた若年層や女性層からの支持が厚いことが特徴である

  • 急落の兆候(毎日ショック): 一方で、毎日新聞(1月24-25日)の調査では、支持率が前回比10ポイント減の57%へと急落した。不支持率も7ポイント上昇し29%となっている。ベイズモデルにおいて、他社と大きく乖離したこのデータポイントは「異常値(Outlier)」として棄却すべきか、あるいは「先行指標(Leading Indicator)」として採用すべきかが問われる。

「スキャンダル」という尤度因子の影響

分析の結果、毎日新聞の急落データは、ノイズではなく「感度の高い先行指標」である可能性が高いと判断される。その主因は、解散直前に週刊文春等が報じた高市首相の長男・山本建氏(福井2区)の出馬断念と、それにまつわる「世襲ビジネス」「利益誘導」疑惑である。 これまで高市首相は、「初の女性首相」「しがらみのない改革者」というイメージ(ナラティブ)で支持を集めてきた。しかし、このスキャンダルは「古い自民党的な世襲と利権」という、彼女のブランドイメージと最も矛盾する要素を含んでいる。特に、政治倫理に敏感な都市部の無党派層や、これまで「刷新感」で支持していた浮動票が、このニュースに敏感に反応し、支持を保留(または撤回)し始めている可能性が高い。モデルでは、このトレンドを「リスク係数の上昇」として組み込み、特に都市部選挙区での自民党得票率の下方修正圧力として反映させた。

2.2 「サナエノミクス」への期待と市場(マーケット)の投票行動

経済指標は、現職政権への信任投票としての側面を持つ今回の選挙において、極めて強力な予測因子となる。株価は「未来の経済状態」を織り込んで動くため、市場参加者が選挙結果をどう予測し、どう評価しているかの集団知(Collective Intelligence)を反映するからである。

株価の政治的含意と「5万3000円」の重み

日経平均株価は1月29日時点で5万3000円台を推移している。1月中旬には一時5万4000円台という史上最高値を更新した。 この株価水準は、市場が以下のシナリオをメインとして織り込んでいることを強く示唆する。 (今泉注:このような市場の反応も従来の世論調査では全くカバーされない。しかし浮動票の投票動向などある程度の影響力はあり、これをカバーする方法論が開発されるべきである。)

  1. 政権継続の確信: 自民党を中心とする政権が継続し、政治的安定が保たれること。

  2. 「サナエノミクス」への期待: 高市首相が掲げる「責任ある積極財政」や「戦略的財政出動」による成長戦略が実行に移されること

  3. 「選挙は買い」のアノマリー: 過去のデータにおいて、衆議院解散から投開票日までは株価が上昇しやすいというアノマリーが、今回も機能している

投資家層の支持とリスク

この株高は、自民党にとって強力な援護射撃となっている。特に、新NISAなどで資産形成に関心を持つ若年層・現役世代にとって、株価上昇は「政権の成果」としてダイレクトに体感される。ベイズモデルにおいても、株価と内閣支持率の相関係数は高く設定されており、株高が続く限り、スキャンダルによる支持率低下はある程度相殺される構造になっている。 しかし、リスク要因も存在する。食料品消費税ゼロなどを巡る財源論争により、国債金利が上昇傾向にあることだ。もし選挙期間中に「悪い金利上昇」や急激な円安、あるいは株価の急落が発生すれば、この「経済的期待」は一瞬で「失望」へと反転し、事後確率を劇的に変化させるボラティリティを秘めている。現状、市場は「自民単独過半数」を好感しているが、過度な楽観は禁物である。

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3. 野党再編の誤算:「中道改革連合」の構造的欠陥

今回の選挙の最大の注目点は、立憲民主党と公明党の合流による「中道改革連合(略称:中道)」の結成であった。これは、自民党一強体制に対抗するための「野党再編」の切り札として期待されたが、序盤情勢のデータは、この試みが重大な構造的欠陥を抱えていることを残酷なまでに示している。

3.1 「1+1 < 2」の数理:シナジーの欠如

ベイズモデルの単純なシミュレーション(事前分布)では、立憲民主党の基礎票と公明党の組織票(創価学会票)が単純合算されれば、多くの小選挙区で自民党候補を逆転し、政権交代に迫る勢力となるはずであった。しかし、現実のデータ(尤度)は「1+1 < 2」、あるいは「1+1 < 1」となっているケースさえあることを示唆している。

公明党支持層(F票)の「迷走」と「離反」

モデル修正の最大の要因は、「公明党支持層の投票先」である。

  • 予測値: 当初、モデルは公明票の約80%が中道改革連合の候補に流れると想定していた。

  • 実測値(推計): 読売新聞等の序盤情勢データや各地区の取材情報を統合すると、その歩留まりは50〜60%程度、地域によってはそれ以下にとどまっていると推測される

  • 離反の構造: 「平和の党」を掲げてきた公明党支持層にとって、憲法観や安全保障政策で異なる立憲民主党系候補に投票することへの心理的抵抗感(認知的不協和)は想像以上に大きい。また、長年選挙協力を続けてきた自民党候補への「情」や、人間関係のしがらみも残っている。その結果、公明票の相当数が「棄権」するか、あるいは「自民党」へ回帰、または「維新」へ流出している現象が起きている。

「水と油」の現場:地方組織のサボタージュ

上層部での合意とは裏腹に、地方組織レベルでの軋轢が深刻である。現場の公明党員や学会員からは「なぜ昨日まで批判していた立憲を応援しなければならないのか」という困惑と反発の声がSNS上でも散見される選挙区によっては、実質的な「サボタージュ(選挙運動の放棄)」や、比例は公明系(中道の名簿上位)に入れるが小選挙区は自民に入れる「分離投票(Split Ticket Voting)」が発生しており、これが接戦区での中道候補の伸び悩みを招いている。

3.2 ブランディングの失敗と「野合」批判

「中道改革連合」という新党名や、「生活者ファースト」というスローガンが、有権者に十分に浸透していない。

  • 期待度の低さ: 読売新聞の調査によれば、中道改革連合への期待は22%にとどまり、「期待しない」の69%を大きく下回っている。これは、新党結成が「理念の共有」ではなく「選挙目当ての数合わせ(野合)」と見透かされていることを示している。

  • リベラル層の離反: 一方で、旧立憲民主党を支持していたリベラル層の一部も、保守色の強い公明党との合流に反発し、共産党やれいわ新選組、あるいは社民党へと支持を変える動きが見られる。中道は「右(公明保守層)」と「左(立憲リベラル層)」の両端から支持を削り取られる「ドーナツ化現象」に陥っている可能性がある。


4. 情勢分析:各党の獲得議席予測シミュレーション

以上のマクロ環境、経済指標、野党再編の摩擦係数などをベイズモデルに入力し、10,000回のモンテカルロ・シミュレーションを実施した。1月29日時点での、各党の獲得議席予測(中央値および変動幅)は以下の通りである。

4.1 予測サマリー表 (2026年1月29日時点)

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注: 「中道改革連合」の公示前議席は、立憲民主党と公明党の合計値とする。

4.2 党派別詳細分析

【自由民主党】: 「高市人気」と「敵失」による単独過半数への回帰

予測: 245議席 (単独過半数 233 をクリア)

解散時点では「与党(自民+維新)で過半数(233)」が勝敗ラインとされていたが、序盤情勢はそのラインを自民党単独でクリアする可能性が高いことを示している。これは自民党の実力というよりは、高市個人の人気と、野党側の自滅的構造による「漁夫の利」である。

  • 勝因の構造:

    1. 比例の復調: 前回(2024年)衆院選で59議席にとどまった比例代表において、今回は72議席(2021年大勝時の水準)まで回復する勢いを見せている。無党派層が高市首相の「顔」と「刷新感」を見て比例票を投じている。

    2. 小選挙区での野党分裂: 中道改革連合の成立にもかかわらず、国民民主党や参政党、維新が独自候補を擁立したことで、実質的な野党共闘が崩壊している選挙区が多い。野党候補が3人以上乱立する選挙区では、自民党候補が得票率40%前後でも当選するケース(相対多数)が多発すると予測される。

    3. 公明票の代替: 公明党の推薦がなくなった影響は確かにあるが、それを上回る「保守無党派層」の回帰が起きている。かつて自民党を離れていた岩盤保守層が、高市氏の総裁就任により戻ってきている。

【中道改革連合】: 構造的欠陥による敗北の予兆

予測: 135議席 (公示前 167 から大幅減)

立憲と公明の合流は、数字上の足し算にはならず、むしろ引き算の結果を招いている。

  • 選挙区での苦戦: 接戦が予想された選挙区でも、公明票の上積みが期待値の半分以下にとどまり、自民党候補に競り負けるシミュレーション結果が多数出ている。特に、旧立憲のベテラン議員が地盤とする選挙区でも、公明党支持層の反発により苦戦を強いられている

  • 比例の低迷: 比例代表での得票率が伸び悩んでおり、立憲・公明が別々に戦った場合よりも議席総数が減る「負のシナジー」が観測されている

【日本維新の会】: 「全国政党化」の壁と埋没

予測: 28議席 (公示前 34 から減少)

自民党との連立政権入りは、維新にとって「諸刃の剣」となった。

  • アイデンティティの喪失: 与党入りしたことで、最大の武器であった「既得権益と戦う改革政党」というエッジが失われた。高市自民党が右派・改革色の強い政策を打ち出しているため、維新の独自性が見えにくくなっている

  • 大阪と地方の格差: 本拠地・大阪では依然として強いが、前回躍進した兵庫や関東などの他地域では、自民党に支持を奪い返され、議席を減らす見通しである

【参政党】: デジタル空間を制する「台風の目」

予測: 14議席 (公示前 2 から 7倍増)

今回の選挙で最大のサプライズ(ダークホース)となるのが、参政党の躍進である。週刊文春の予測でも「議席7倍増」と報じられているが、ベイズモデルもこのトレンドを強く支持している。

  • 「隠れ参政党」支持層: 既存の世論調査(特に固定電話調査)では捕捉しきれない支持層が、ネット上で強固なネットワークを形成している。YouTubeやTikTokでの動画再生数やエンゲージメント率において、参政党は自民党と並ぶ、あるいは凌駕する勢いを見せている

  • 保守の受け皿: 高市政権を支持しつつも、自民党の組織的体質や特定の政策(LGBT法案、外国人政策など)に不満を持つ層、あるいはパンデミック後の社会情勢に不安を持つ層が、比例代表で参政党を選択する行動変容が見られる。全国の比例ブロックで議席を獲得し、10議席以上を確保する可能性が高い


5. 地域別詳細情勢分析:勝敗を分ける「激戦区」の深層

ベイズモデルによって算出された、主要な地域ブロックおよび注目選挙区の情勢分析は以下の通りである。

5.1 首都圏(東京・南関東):中道連合の「墓場」となるか

東京・南関東(神奈川・千葉・埼玉)は、無党派層が多く、本来であれば「野党再編」の風が最も吹きやすい地域である。しかし、今回は逆風が吹いている。

  • 東京ブロック: 自民党は比例東京ブロックで前回5議席から8議席へと大幅増の勢いを見せている。小選挙区でも、石原宏高氏(東京3区)、平将明氏(東京4区)、木原誠二氏(東京20区)ら知名度のある自民ベテランが、中道候補を寄せ付けず安定した戦いを進めている。

    • 注目区:東京18区(武蔵野市・小金井市) 自民・福田かおる氏と中道(旧立憲)・松下玲子氏の激戦区。本来リベラルが強い地域だが、中道側の公明票の上積みが限定的(バーター不全)であり、福田氏が自民支持層を8割固めてやや優勢に立っている

    • 東京24区(八王子市) 「裏金」問題の象徴とされた萩生田光一氏(自民)に対し、中道や他野党が包囲網を敷くが、萩生田氏は地元組織をフル回転させ、猛烈な追い上げを見せている。情勢は横一線だが、野党票の分散により萩生田氏が逃げ切る確率が高まっている。

  • 南関東ブロック: 千葉・神奈川でも自民が堅調。中道改革連合は、旧立憲の地盤である地域でも公明票のバーターが機能せず、接戦を取りこぼす可能性が高い。比例南関東では自民が9議席(前回7議席から増)をうかがう勢いである

5.2 関西(近畿):維新と自民の「仁義なき戦い」

連立与党同士(自民・維新)でありながら、選挙区調整を行わなかった関西は、骨肉の争い(Fratricidal War)と化している。

  • 大阪ブロック: 維新の牙城は揺るがないが、以前ほどの「無敵」感はない。公明党が小選挙区から完全撤退した空白区において、自民党が維新候補に肉薄するケースが出てきている。維新は「大阪以外での退潮」を食い止めるため、大阪での完勝が至上命題だが、数議席を自民や中道に奪われる可能性がある。

    • 大阪1区: 維新・井上英孝氏が優勢だが、自民・大西洋平氏も食い下がっている

  • 兵庫ブロック: 維新の退潮が最も著しいのが兵庫県である。兵庫県知事選を巡る混乱の記憶や、維新の国政での「埋没」が影響している。

    • 兵庫1区・8区: 前回、維新が接戦を演じた選挙区でも、自民党候補がリードを広げている。兵庫全体で維新は議席を減らす公算が大きい。

5.3 地方(北海道・東北・北信越):保守回帰とスキャンダルの余波

  • 北海道ブロック: 旧立憲民主党が伝統的に強い地盤を持つ北海道だが、ここでも中道改革連合は伸び悩んでいる。

    • 北海道5区: 自民・和田義明氏と中道・池田真紀氏が横一線の激戦。高市首相が28日に応援に入り「私なりの筋を通す」と訴えたことが奏功し、自民が競り勝つ公算が高まっている

  • 北陸信越ブロック(保守王国と震源地): 全体としては「保守王国」が健在で、自民が議席を独占する勢いである。しかし、今回のスキャンダルの「震源地」である福井県だけは別様の様相を呈している。

    • 福井2区: 高市首相の長男・山本建氏が出馬を断念した選挙区。自民党本部は前維新の斉木武志氏の推薦を決めたが、地元保守分裂の傷跡は深く、情勢は極めて流動的(カオス)である。この混乱が周辺県にどう波及するかがリスク要因である。


6. ベイズ的シナリオ分析:未来の分岐点

本モデルでは、残りの選挙期間における変数の動きによって、以下の3つのシナリオを確率的に評価した。

シナリオA:自民党単独過半数(確率:65%)

  • 条件: 投票率が低調(53%前後)で推移し、組織票がモノを言う展開。高市内閣の支持率が50%台後半〜60%台で下げ止まり、株価も5万3000円台を維持する。

  • 結果: 自民党が233議席以上(240〜250議席)を獲得。与党計で絶対安定多数(261議席)を超える。

  • 意味: 高市首相の権力基盤は盤石となり、「サナエノミクス」や憲法改正などの独自色が強い政策が強力に推進される。維新との連立は維持されるものの、維新の発言力は低下し、自民党内での高市一強体制が確立する。中道改革連合は敗北の責任論から早期に分裂含みの混乱に陥る。

シナリオB:与党過半数維持・自民単独割れ(確率:30%)

  • 条件: 選挙戦終盤でスキャンダル(親族問題や裏金問題)が蒸し返され、都市部の無党派層が中道改革連合や参政党に流れる。または、公明票の「自民離れ」が予想以上に深刻化する。

  • 結果: 自民党が210〜230議席程度にとどまり、維新(25〜30議席)と合わせて過半数を維持する。

  • 意味: 高市首相の求心力は低下し、政権運営において維新の協力が不可欠となる。維新はキャスティングボートを握り、政策決定(特に身を切る改革や規制緩和)において強い影響力を行使する。政局はやや不安定化する。

シナリオC:与党過半数割れ(確率:5%)

  • 条件: 「ブラックスワン」イベントの発生。投票日直前に経済ショック(株価大暴落・円急騰)や、政権を揺るがす致命的な新事実(決定的な汚職証拠など)の発覚が起きる。投票率が急上昇し、政権批判票が爆発する。

  • 結果: 自民・維新合わせても233議席に届かず。

  • 意味: 高市首相は公約通り「即刻退陣」。政界は大混乱に陥り、中道改革連合を中心とした連立模索や、自民党内の政権交代(石破氏等の再登板)、あるいは維新を含めた大連立など、極めて流動的な局面(カオス)に突入する。


7. 結論:高市一強の影に潜む「もろさ」と「分断」

2026年1月29日時点のベイズ確率的統合分析が導き出した結論は、 「自民党の単独過半数獲得による高市長期政権の確立」 が最も蓋然性の高い未来であるということだ。

読売新聞や日経新聞が報じる「自民の勢い」は、単なる一時的な風ではなく、野党の構造的な自壊(中道の不全、維新の埋没、野党乱立)と、高市首相個人の強力なブランド力(初の女性首相、経済重視)に支えられた強固なものである。中道改革連合という野党の乾坤一擲の「賭け」は、理念の不一致と組織の拒絶反応により、少なくとも今回の選挙においては失敗に終わる可能性が極めて高い。

しかし、この勝利は国民全員が諸手を挙げて祝福する「熱狂の勝利」ではなく、社会の深い「分断」を内包した勝利となるだろう。 デジタル空間では、参政党に象徴されるような、既存の自民党では飽き足らない層、あるいはグローバリズムや現状の政治システムに強い不満を持つ層のマグマが溜まっており、彼らが10議席以上を獲得して国会での発言権を持つことは、今後の日本政治に新たな火種をもたらすことになる。

また、毎日新聞が捉えた支持率の急落は、高市首相の足元が決して盤石ではないことを警告している。親族のスキャンダルに対する有権者の目は厳しく、もし選挙後にさらなる疑惑が噴出すれば、たとえ選挙で圧勝したとしても、その後の政権運営は一気にレイムダック化するリスク(テールリスク)を孕んでいる。

有権者にとって、残り10日間の選挙戦は、単に政党を選ぶだけでなく、日本の民主主義が「安定した保守」を選ぶのか、それとも「リスクを伴う改革」や「新たな極右の台頭」を許容するのかを選択する、極めて重い意味を持つ時間となる。我々のモデルは、今のところ「安定(自民勝利)」を指し示しているが、確率は常に更新され続けるものである。

以上

引用文献

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