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20年以上断続的にこのブログを書き継いできたインフラコモンズ代表の今泉大輔です。NVIDIAのフィジカルAIの世界が日本の上場企業多数に時価総額増大の事業機会を1つだけではなく複数与えることを確信してこの名前にしました。ネタは無限にあります。何卒よろしくお願い申し上げます。

Appleの時価総額が激減する可能性。NVIDIAの猛烈なAIサーバー需要(特にメモリ)があるから。その図式を大解説

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ハイテク産業における「王権交代」が、誰の目にも明らかな形で数字に表れようとしています。

かつて、世界中のサプライチェーンはAppleのために動いていました。最先端のプロセスノード、最高のディスプレイ、そして大量のメモリ。これらをAppleが優先的に確保し、残りを他社が分け合うのが「スマホの時代」のルールでした。

しかし、最新の報道とサプライチェーンの動向を突き合わせると、そのルールが完全に崩壊したことがわかります。Appleは今、新たな王者であるNVIDIA(およびAIデータセンター需要)によって、リソースを「駆逐」される側に回っています。

今回は、iPhone 18に関する最新レポートを端緒に、Appleが直面している構造的な危機と、それが招くであろう時価総額の毀損について解説します。

iPhone 18「価格据え置き」の裏にある苦渋の決断

米国の著名アナリスト、ミンチー・クオ氏による衝撃的なレポートが出ました。

Apple Report Drops iPhone 18 Bombshell The latest report from analyst Ming-Chi Kuo indicates that Apple will not raise prices for the iPhone 18, despite facing higher costs for memory and other components driven by AI demand. 出典:TheStreet (Yahoo Finance) https://finance.yahoo.com/news/apple-report-drops-iphone-18-190300399.html

著名アナリストのミンチー・クオ氏による最新レポートによると、AppleはAI需要の高まりを背景に、メモリをはじめとする各種部品コストが上昇しているにもかかわらず、iPhone 18の価格を引き上げない方針だという。出典:TheStreet(Yahoo Finance)

記事によれば、AIデータセンターの爆発的な需要増により、DRAMなどのメモリ価格が高騰しているにもかかわらず、AppleはiPhone 18の価格を据え置く方針だといいます。

これを「ユーザー思いの良心的な対応」と捉えるのは間違いです。これは、値上げをしてシェアを失うことを恐れた、Appleの「防衛戦」に他なりません。

TSMCの「VIP席」はAppleからNVIDIAへ

この背景にあるのは、半導体業界におけるパワーバランスの決定的な逆転です。

長らく、TSMC(世界最大の半導体製造受託会社。台湾に本社)にとっての最大顧客(トップクライアント)はAppleでした。しかし、報道ベースでも既知の通り、現在はその地位がNVIDIAに入れ替わっています。

TSMCやSK Hynixといったサプライヤーにとって、現在の優先順位は明確です。

  • 優先度・高: NVIDIA H100/BlackwellなどのAIデータセンター向けチップ(高マージン・長期的需要)

  • 優先度・中: コンシューマー向けデバイス(Apple iPhoneなど)

AIデータセンターという巨大なブラックホールが、最先端のパッケージング技術(CoWoS)やHBM(広帯域メモリ)、そして電力インフラまでも吸い込んでいます。かつて「ハイテクの王者」としてリソースを独占していたAppleは、今やNVIDIAが作り出す「AIエコノミー」の脇で、残ったリソースを奪い合わなければならない立場に追いやられています。(今泉注:米国AIデータセンターの投資額は約7〜12百万ドル/MW程度。標準サイズのAIデータセンターで30MW規模。投資額100のうち80がAIサーバーに回る。つまりAIサーバー/NVIDIA AI半導体の利益率はめちゃくちゃ高い。コンシューマ製品であるiPhoneの利益率がいくら高くてもAIサーバーには及ばない。その利益率がメモリ逼迫等で削られていく。)

(結果として、ウォーレン・バフェットが長らくAppleの最大の投資家だったが、彼がAppleを高く評価していた「経済的な堀」(Economic Moat)がAppleから失われ、投資家が離反する可能性が出てくる。)

関連投稿:

【NISA成長投資枠】ウォーレン・バフェットがAppleを評価する最大のポイント"Economic moats"(経済的な堀)を理解するための英文プロンプト

構造的な利益率圧迫と、時価総額の「毀損」シナリオ

ここから導き出される結論は、Appleにとって極めて深刻です。

iPhone 18で「コスト増を価格転嫁できない」という事実は、一時的な現象ではありません。AIデータセンターの拡大はまだ初期段階であり、メモリや製造ラインの逼迫は、今後数年でさらに加速します。

つまり、Appleは今後恒常的に以下のサイクルに陥る可能性があります。

  1. 原価の高騰: AI特需により、半導体・メモリ調達コストが構造的に上昇し続ける。

  2. 価格決定権の喪失: スマホ市場の成熟化により、コスト増を消費者に転嫁(値上げ)すればシェアを失う。

  3. 利益率の低下: 結果として、ハードウェアの粗利率(Gross Margin)を削り続けるしかない。

これは、Appleの「純利益(Net Income)」が構造的に悪化トレンドに入ることを意味します。

株式市場において、Appleの高い時価総額は「圧倒的なブランド力による高収益体質」と「自社株買い余力」によって支えられてきました。しかし、利益の源泉であるハードウェアのマージンがNVIDIA由来のインフレによって圧迫され続ければ、その前提が崩れます。

利益成長が見込めない巨大企業に対し、市場は現在の高いPER(株価収益率)を許容し続けるでしょうか?

私の見立てでは、このまま「AIインフラ(NVIDIA)」によるリソースの駆逐が進めば、Appleの業績は圧迫され続け、結果として時価総額が大きく毀損される(株価の適正水準が切り下がる)調整局面が訪れる可能性が高いと考えます。

「B2Cの王者」が「B2B(AIインフラ)の王者」に敗北する。私たちは今、産業史に残るヘゲモニーの移動を目撃しているのかもしれません。

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