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株式会社インフラコモンズ代表取締役の今泉大輔が、現在進行形で取り組んでいるコンシューマ向けITサービス、バイオマス燃料取引の他、これまで関わってきたデータ経営、海外起業、イノベーション、再エネなどの話題について書いて行きます。

[新春夢想] 関西空港の営業権をPPPで海外資本に譲渡

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Kansaiairport
Courtesy of Stéfan

あけましておめでとうございます。
お正月なので夢のある話を。

以前、シリアルイノベーションという名前でこのブログをやっていた際に、「新春夢想」と称して「広域東アジア市場における2008日本準富裕層水準実現プロジェクト」を書いたことがありました。これは、その後、麻生政権の時に発表された「アジア経済倍増計画」とほぼ同じ発想に基づいた「夢想」でした。

麻生内閣総理大臣講演「新たな成長に向けて」
(最後の方に「アジア経済倍増計画」があります)

手前味噌ですが、お正月らしい夢のある話を書いてみたところ、それに近い政策が政府筋から出てきたということでありました(^^;。

あくまで素人発想ということでお許しください。

■モデルとしてのブリズベーン港営業権譲渡

オーストラリアがブリズベーン港の99年分の営業権をインフラファンドに売ったという話題を取り上げたことがあります。正確に言えば、地方自治体であるクイーンズランド州がPublic-Private Partnership(PPP、官民連携)の枠組みを作り、国内外のインフラファンド等に条件を競わせて落札者を決めたということであります。

クリーンズランド州では、単に高値を提示したコンソーシアムに売却したわけではなく、ブリズベーン港の営業がしっかりとできるノウハウを持っているコンソーシアムに、ここならばブリズベーン港をよく運営してくれるだろうと判断して、営業権を譲り渡しました。それにより、米ドルで21億ドルのキャッシュを得ました。

このモデルは、日本の国や自治体などが保有する港湾や空港に流用できると思います。

米国のPPPは大胆です。出典が確かめられませんが、自治体が有料道路の営業権を、その有料道路の年間売上の50年〜60年以上の価格を提示したインフラファンドに譲渡したという例がありました(後日、出典がわかったら、リンクします)。

これは、世界には、希少価値のあるインフラであれば、積極的に投資するプレイヤーがいるということを示しています。

■関西空港の収益モデル刷新を海外インフラファンドに競わせる

しばらく前まで、関西空港と伊丹空港の統合が議論されていました。最終的な目的は、1兆円を超える関西空港の有利子負債の圧縮です。

関西空港の現況については、少し古いですが、国土交通省が2006年10月から2007年3月にかけて開催した「今後の国際拠点空港のあり方に関する懇談会」の中で用いられた国交省作成の「我が国の国際拠点空港の現状について」というよい資料があります。これによると、関西空港の有利子負債は1兆2,000億円。その後、返済が進んで、現在は1兆300億円台だとする報道があります。とはいえ、現在の返済ペースでは完済までに数十年かかります。

こうしたファイナンスの課題については、ファイナンスのプロに任せる。すなわち、インフラ投資に手慣れた海外のインフラファンドに任せるという発想があるかと思います。

具体的にどういうことかと言うと、インフラファンド側に、関西空港の新しい収益モデルを考えさせて(それには追加投資のアイディアも含まれます)、中長期にわたるフリーキャッシュフローの最大化を実現してもらい、それが原資となって、回り回って関空の有利子負債圧縮が進むという流れになります。

関空のオーナーである国および出資者にあっては、営業権を落札したインフラファンドから一時にまとまったキャッシュが入ります。それが営業収益の何十年分になるかは、競争入札なので、やってみないとわかりません。仮に50年分だとすれば、関空の営業収益を年間1,000億円だとすると5兆円になります。

インフラファンドが負担したこの5兆円は、彼らの責任において、プロジェクトファイナンスや出資によってファイナンシングを行うことになります。そして彼らのファイナンシングを埋め合わせて行くのが、彼らが発案したところの新しい収益モデルが生じさせるキャッシュフローです。

素人発想ですが、おそらく、現在の関空の経営では収益モデルを新しくする、言い換えれば、営業収益を抜本的に増大させるために、新機軸の追加投資を行うということができにくいのではないかと思います。

そこで、海外のインフラファンドにその知恵出しを競わせるのです。こういう追加投資をすれば、関空の収益モデルはこのように刷新できる。だから、われわれに営業権を譲渡してほしい。そのような提案を競わせることにすれば、このPPP案件は非常に大きな意味を持ちます。(国際的なPPP案件では、応札するインフラファンド側にファイナンスのプロ、収益モデル設計のプロがアドバイザーとして付きます。そうしたプロには、空港PPP案件をいくつも手がけている専門家がいたりしますので、必ずや、うまい形の提案を作り上げると思うのです。それにより、そういったキャッシュフローの増大が可能になります。)

お正月の夢のようなお話ということで、これより先の細部については書きませんが、十分に現実味のある話だと思いませんか?

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