IT業界人が今日から使えるChatGPTのノウハウ その1 :AWSの障害に対処する英文ドキュメントを何とかする
おかげさまで、6月度もブロガーベスト30の一位にならせていただきまして、誠に感謝でございます。
少しばかりの返礼をと思いまして、IT業界の方々に、今日からすぐ使っていただける便利なChatGPTの活用ノウハウをシェアさせていただきます。1本の投稿に圧縮して書こうと思いましたが、個々のノウハウがそれなりに長い説明を必要とするので、1投稿につき1ノウハウで何回かに分けて書きます。
ChatGPTはコンピュータサイエンスの「全部」が頭に入っているスーパーな人
ChatGPTはそもそもシリコンバレーのIT業界の中心で開発されたLLMであるため、ITのことは、フォン・ノイマンのコンピュータの発明から、最先端の量子コンピュータのアプリケーションに至るまで、全てを知り尽くしています。関連の書籍、マニュアル、歴史文書、Webページ、PDFなどなどを全部読み込んで、頭に入っている「人」だと思って下さい。ITで知らないものはない「スーパーな人」だと思って接すると、色々な事柄が切り拓かれて行きます。
私は日本でAmazon Web Service(AWS)を最も最初の時期に使用したユーザーの1人です。使用料が課金されるクレジットカードを紐付けたアカウントを作成して、当時、ホスティングをしてもらっていたサーバーの全部の内容をAWSに移しました。2010年でした。毎月のサーバー費用削減のためです。(具体的な移行作業は、オフショアで開発していたインドのチームに全て依頼しました。)
英語で書かれたAWSのドキュメントもあちこち読んだと思います。昔話はその辺にして、ChatGPTが活用できるノウハウを記します。
今起こっているAWSの障害に対処するための英文ドキュメントを取得する方法
ChatGPTは、AWSの運用に関しても、知らない事柄はないという前提で、毎日出てくる困りごとの解決を彼にお願いすることができます。以降は技術的な誤りがないように、私が書くことは遠慮して、彼(ChatGPT 4o)に書いてもらいました。
依頼内容:
今、これこれこのような障害がある。どのドキュメントを見ればいいか?をあなたの力で突き止める方法を教えてください。
とても良いテーマです。
AWS、Azure、GCPなどの「公式ドキュメント」は膨大なので、**「自分の障害にピンポイントで関係するドキュメントを探し当てる」**のは非常に重要なスキルです。
ChatGPTを活用するとき、ただ質問するのではなく、**「ChatGPTに調査させる」**意識で使うと格段に役立ちます。
以下に、**「どのドキュメントを読めばいいかをChatGPTに突き止めさせる方法」**を日本語でどう聞けばいいか、段階的に解説します。
✔︎ ① まず「障害内容を具体的に伝える」
ChatGPTは入力が抽象的だと曖昧な答えしか返せません。
なので、最初に障害の背景を詳しく書きます。
【障害内容】
- AWS EC2のWindowsインスタンスで、突然RDP接続ができなくなった
- セキュリティグループは確認済み
- インスタンスステータスは「running」
- ログイン試行時に「CredSSP encryption oracle remediation error」が出る
✔︎ ② ChatGPTへの依頼の型(テンプレ)
障害内容を説明したうえで、以下のように指示します:
上記の障害に対して、AWS公式ドキュメントの中で読むべきページやトピックを特定してください。
できればURLを提示してください。
また、そのドキュメントがなぜ関係あるのかを日本語で説明してください。
⇨ これだけでChatGPTは
✔︎ 検索的に知識から関連トピックをリスト
✔︎ 公式ドキュメントのページを推薦(あるいはURLを生成する)
✔︎ なぜそれが関係あるのかを説明
✔︎ ③ 「ChatGPTが(その画面を)ブラウジングできない環境」の場合
ブラウジングなしでも、ChatGPTはAWSドキュメントの構造を知っています。
次のように聞くと有効です。
【障害内容説明】
...(ここに自分の障害を書く)...【お願い】
AWS公式ドキュメントの中で読むべきトピック名をできるだけ具体的に教えてください。
章タイトル、キーワード、サービスガイド名などを示してください。
すると:
-
「EC2 User Guide for Windows Instances > Troubleshooting RDP Connection Issues」
-
「CredSSP encryption oracle remediation の公式説明」
など、目次レベルやキーワードを提案してくれます。
✔︎ ④ 「ドキュメントを渡して範囲を絞らせる」方法
例えば自分でAWSの公式ドキュメントから関連しそうな長文をコピペして
【障害説明】
...【ドキュメント抜粋】
...この中で私の障害に関係ある部分を特定し、日本語で説明してください。
という使い方も可能です。
「どの章を読めばいいか」を絞り込んで返してくれます。
✔︎ ⑤ さらに一歩進んだ使い方
ChatGPTに「調査計画」を作らせる。
【障害内容】
...この障害の原因を特定するために、AWS公式ドキュメントでどんなキーワードやトピックを順に調べればいいか、調査ステップを日本語で箇条書きにしてください。
これでChatGPTは:
-
まずSecurity Group設定
-
次にWindows RDPログの確認
-
公式ドキュメント「CredSSP Remediation」ページ
といった調査フローを提案してくれます。
✔︎ まとめ:ChatGPTへのスーパーな依頼文
最後に超汎用テンプレを示します⬇︎
【私の障害説明】
...(できるだけ詳しく)...【お願い】
① この障害の解決に役立つAWS公式ドキュメントのページやトピックを特定してください。
② なぜそのドキュメントが関係あるのか日本語で説明してください。
③ 可能ならURLも示してください。
④ 公式ドキュメント内でどんなキーワードで検索すると良いかも提案してください。
こう頼むと、ChatGPTは
✔︎ 読むべきドキュメント
✔︎ 理由
✔︎ 検索キーワード
✔︎ 具体的URL候補
まで揃えて返してくれます。
必要に応じて:
-
「英語を日本語に要約して」
-
「コード例も含めて説明して」
も後追いで指示すればOK。
✔︎ さらに必要なら
「実際の障害例を教えてくれれば、そのケース専用の具体プロンプトを一緒に作ります」ので、いつでも遠慮なくどうぞ!
と、こういう具合に、AWSの障害に対する対処方法の一から十までをChatGPTに解明してもらうことができます。しかも、そのステップバイステップのやり方も、彼に教えてもらうことができます。
AWSの超達人がそこにいると思って、日本語で聞けば何でも教えてくれます。これはAzureでも、Googleクラウドでも全く同じです。
クラウド関連の英語のドキュメントの壁はなくなったものとして、色々に対処していくことができます。