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2011年を振り返る

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"2010年を振り返る"を行いましたので、2011年も同様に十大ニュースを上げて振り返ってみます。ついでに"2011年を勝手に予想してみる"をしていますが、答え合わせはしたくはありませんね...

■10.スパコン市場の移り変わり

NVIDIAのCUDA搭載ARMデベロッパーキットは面白そう
Top500 CPUアーキテクチャの推移の考察(2011.11)
Top500 CPUアーキテクチャの推移の考察(2011.06)
IntelのMICは成功するのか

Top500の現在のトップは京スパコンで、2012.6まではトップに立て続けられると言われています。2012.11は厳しいようですが。

京スパコンのCPUのSPARC64 VIIIfxの後継製品が出ていますが、IBMのBlueGene/Qは消費電力あたりの性能が大変高いようなのでエクサフロップ級のスパコンを作るにはBlueGene/Qか富士通が製造するSPARC64系のスパコンに特化したCPUでしかいけないのかなと思ったりしています。

ただし、Top500にランキングを見ているとNVIDIAのGPUを搭載したシステムが増えていることとNVIDIAが低消費電力&低性能のARMにCUDAチップを接続したスパコンのシステムを作ろうとしているので、将来のスパコンのトレンドはまた確定していないのでしょう。

AMDのGPUとIntelのMICはNVIDIAを追随しているためGPU活用システムの方が汎用性が高いため生き残れるのかなとも思いますが。

■9.webOSの失敗

NokiaとHPの選択の違い
HPのwebOS端末撤退に思うこと
webOSのオープンソース化の感想

webOSの製品群を発売する前はHPの選択(Palmの買収)は悪くないと思っていましたが、TouchPadの売り上げが思わしくない状況になったらすぐに撤退したのは早いというか、計画性が無いというか、長期ビジョンで行えないシステムがどうかなと思ったりしました。

webOSの撤退が2011年で最も残念なニュースでした。

AppleのApple TVを撤退しないところはもう少し見習ったほうがいいように思えますが、強いCEOで無ければ取締役会からの非難を跳ね除けることが出来ないのでしょう。

ついでにwebOSをどこかに売却したほうがいいのではないかと思っていましたが、オープンソース化になってしまったのでMicrosoftとかの政治的取引以外には使われない感じがします。

■8.スマートフォンの出荷台数増大

PC・サーバ・携帯電話・スマートフォンの出荷台数推移(3Q'11)~スマートフォン以外低成長率~
スマートフォン市場(3Q'11)~Android 50%超え~

ほぼ2011年にはスマートフォンの出荷台数はPCを超えそうです(現時点では4Q'11の数字は見えていないので分かりませんが、ほぼ確定でしょう)。NokiaのWindows Phoneへの鞍替えによりAndroidのシェアは大幅に増えました。

GoogleのMotorola Mobility買収やAppleとAndroid陣営の特許訴訟が多発していることを考えると今後の展開はどうなるのか心配ではありますが、スマートフォン全盛時代突入しているのでAndroidがWindowsよりも重要なOSになるかも知れません。

けど、スマートフォンの電池が切れるのが早いところは改善して欲しいものですが。

■7.Sandy Bridgeのチップセット失敗と回復

Intelのチップセット問題は、リコール対応後の方が重要では?
2011年半導体売り上げに見える将来の競争分野

Intelは久々に大きな失策をやらかしましたが、半導体売り上げを見る限りは影響は軽微だったのでしょう。このあたりは、ライバルの不在とかノートPC市場の優位的な存在感もあるため、もっと大きな失敗をしない限りは危うい立場にはならないのでしょう。

ただし、HDDの製造問題がでてPCの売り上げが良くない警鐘が鳴り響いていますが、じゃ、SSDでと言える所がIntelの強みかも知れません。ライバルは2012年以降ARMしかいなさそうです。

■6.AmazonのKindle Fire出荷

AmazonのKindle Fireは成功するのか
Amazonのスマートフォンの可能性

AmazonのKindle Fireがなかなか売れていると言われています。どこかのODMそのままとか非難されていますが、自社のコンテンツとあわせたビジネスモデルは、他のAndroidタブレット陣営の苦戦している状況から、メディアタブレットはAmazonとAppleしか勝者はないのかも知れないと思ったりもします。

また、Amazonはスマートフォンへの進出すると噂が出ていますし、次はKindle FireはAmazon側が設計した製品が出てくると言われているため、Amazonのモバイル戦略には今後も目が離せそうにありません。

AmazonのKindleの戦略は正しかったと思うので、今後モデルケースとして他社は参考にされると思いますが、全てのメーカができる戦略でも無いため続くメーカは多くないかも知れません。既に行っているSonyのPSとの連携とかNintendoのDSと連携が取れるスマートフォンを作ったら成功するのではないかと思ったりもしましたが、どうなんでしょうかね。

■5.PC売れなくなっている

Ultrabookは普及するのか
PC出荷台数(3Q'11)~Lenovo遂に2位浮上~
PC・サーバ・携帯電話・スマートフォンの出荷台数推移(3Q'11)~スマートフォン以外低成長率~
Gartnerの2011年PC出荷台数予測がさらに下方修正
LenovoとNECの提携で思うこと

PCの出荷台数の伸びはあまり芳しくはありません。スマートフォンに2011年に抜かれるのは割りと予想できましたが、ここまで伸びないとは予想できませんでした。HDDの製造の停滞やIntelのチップセットミスの問題もありましたが、メディアタブレットの登場も大きいのでしょう。

UlrabookでIntelやPC陣営は巻き返しを狙っていますが、少し難しい気がします。確かにクラムシェル型のデバイスは必要ですが、ハイパフォーマンスである必要性はそろそろなくなってきた感じがしますし、コンテンツビューアーとして用いる場合はメディアタブレットの手軽さはPCは太刀打ちできません。

ライバルには勝つには同じ土俵でも勝てる状況にするか、それともまったく違う土俵で戦うしかありませんが、価格を考えると同じ土俵で勝てる可能性は皆無なのでぜんぜん別の方向で勝負して欲しいものです。

3Q'11でLenovoが2位に浮上したのはかなり意外でした。2011年中には3位ぐらいはあるかと思ったのですが、DellゃAcerの調子の悪さはかなりのものなのでしょう。ただしAcerは低価格製品をメディアタブレットにシフトしたのでPCの出荷台数だけで勝負する時代ではないのかも知れませんが。

■4.ブラウザシェア

Javascriptベンチを取ってみた(Dec 26,2011)~Firefox 9/Chrome 16/Opera 11.60登場~

2011/11の時点ではまだまだIEのシェアは大きいですが、年々落ちていることを考えるとそれだけ影響力が低くなっていると言えるのでしょう。

Net ApplicationsのデータではFirefoxはまだChromeに抜かれていませんが、時間の問題に見えます。ただしFirefoxは微妙な低下だけでChromeのシェアの多くはIEから奪っているようなので、Firefoxの地位はそれほど落ちていないような気がします。

モバイルブラウザの影響力は年々上がっているので、競争の激化は下のほう大きいのでしょうね。

■3.NokiaのWindows Phone採用

NokiaとHPの選択の違い

NokiaはIntelと組んだり(MeeGo)、Symbianをサポートしていたりしていましたが、Microsfotと組んでWindows Phoneを採用を発表しました。私はAndroid版でも出すのかと思っていたので、2011年で最も驚いたのはこの提携です。

この提携が成功するのかどうか分かりませんが、中庸な選択をしていては最終的にジリ貧になることは明白なので極端な選択は正しいと思います。ただし、Windows Phoneの選択が正しいのか分かりません。GoogleはこのあたりもっとうまくNokiaに働きかけていたほうが良かったのかも知れませんね。

■2.ARMの台頭

ARMはどこに向かうのか
ARMの一番の良いところは省電力ではない
ARM陣営がにぎやかに見えるが...
HPの超低消費電力ARMサーバ計画(Redstone)の可能性

ARM版Windows 8の発表があり、今後の展開が面白そうなARM陣営です。2011年はCortex-A9系CPUの製造が多く行われましたが、28nm世代がほとんど無いためバッテリ駆動時間が短いの問題ですが、そのうち解決するでしょう。

また、64bitのARM命令やARM系サーバの開発なども行われ始めたので、ARM系チップがスマートフォン・メディアタブレットのみに収まりそうにありません。

IntelやAMDもARM系チップ製造の噂が絶えないので、ARM系関係のニュースをウォッチは楽しく仕方ありませんでした。

■1.ジョブズ逝去

"スティーブ・ジョブズ II"の感想
ジョブズ氏CEO辞任に思うこと
"ジョブズ・ウェイ"の感想

2011年でも最も惜しまれた亡くなれたのはAppleの創業者にして、復活させたスティーブ・ジョブズ氏でしょう。残念ですが、何度も病気が再発させていたためこの時期が来るのはいつかあるとは思われていましたが。

今後Appleの製品群でどのような影響がでるか分かりません。例えば、iPhone/iPadはサイズに関していろいろと噂が流れていましたがその都度製品が発表されませんでした。今後Appleの製品群はどのように変化するのでしょうか。偉大なCEOがいる時代と変わらず、ユーザの引っ張るような製品を出すのでしょうか。それとも復活前のAppleの様に混乱した時代に戻るのでしょうか。

偉大なビジョナリーを失った影響はどの程度なのか今後はっきりするはずです。

■まとめ

メディアタブレットの出荷台数が伸びやんでいる割には、PCの出荷台数も増えていないので両者お互いに市場を食い合っている感じがしています。Appleでさえそのようなことなので、もしかするとPCメーカやメディアタブレットメーカはもっと大変なのかも知れません。

HPやNokiaの選択が正しいのか今は論じることは難しいかも知れませんが、極端な決断を早く行うほうが効果は絶大になるのでいいと思いますが、それが成功かどうかはすぐに見えないところが辛いところです。

偉大なビジョナリーが死去したことはかなり大きな影響があると思われますが、今後のAppleの動向が気になります。製品群にブレがないことを優先するのか、それともジョブズ氏がいなくなったことで才能を開花する人たちが多くいるかは2012年以降にならないと分かりません。

2011年は日本では大変な年でしたが、IT市場も一部以外は混迷していたので(PCとかメディアタブレットとか)、2012年は良い年になって欲しいものです。

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