AMDの省電力&GPU搭載サーバCPUであるKyotoの将来性
"AMD、初のSoC型/GPU内蔵サーバー向けプロセッサ「Opteron X2150」 "
AMDから省電力CPUであるKabiniをサーバ向けにアレンジしたKyotoがOpteron X2150として発表されました(GPUをdisableしたバージョンも出ています)。Kyotoは成功するのでしょうか?
省電力CPUをサーバとして将来性があると言われています。IntelのAtom系サーバとして"インテル、サーバ向けの新Atomプロセッサ「Avoton」をリリースへ"にある通り販売を予定しています。
HPが省電力CPUを高集積したサーバである"HP Moonshot System"を発表しています。また、AMDがSeaMicroを買収してマイクロサーバの将来を買っていたり、ARM系のサーバに特化したSoCメーカも出てきています。
WEBサーバなどのシングルスレッドの高速性よりも消費電力あたりのスループットさえよければいい分野が流行なので、サーバ向け省電力CPUは現時点では一定の市場がありそうですし、将来的にも少なくないシェアを取るのではないかと予想されます。
Top500でも一番問題なのは消費電力です。このため、モバイルにも搭載できるほどの省電力タイプのCPUをサーバに活用するのは正しい方向だと思います。Kyotoの省電力CPUコアは十分武器になるでしょう。
あとKyotoにはもう一つ特徴があります。GPUを搭載しているところはどうでしょうか。
現在サーバ市場でGPUを活用しているケースはありますが、一般的な用途では少ないのではないかと思われます。サーバメーカやAWSでもGPU搭載オプションはあります。
このため、供給側は十分だと思われますが、需要がどの程度あるものでしょうか。正確な数字を知らないためなんとも言えませんが、Top500ではGPUを活用したケースは多くなりなり始めていますし、クラウドゲームサーバで活用されるシーンは多くなる可能性があります。需要は少しはあると思われますが、分野が特価されすぎているため、現時点では一般的でない可能性があります。
ただ、現在のx86やARM系を見ていると既にヘテロジニアルマルチコアに対応が済んでいます。GPUをゲーム以外に活用するのはいつかだけです。OpenCL、HSAやCUDAなどの開発環境が少しずつ良くなってきています。
最近のCPUはシングルスレッドの向上は微々たるものです。このため、マルチコア・マルチスレッド対応してスループット至上主義に趣旨替えしましたが、それでもコアを搭載するには限界があります。このため、GPUを搭載しましたが、使いかってがCPUと違うためそれはそれで大変でした。ですが、半導体の性能屋上は今後は難しくなります。GPUを使う方向に進まざるを得ないでしょう。銀の弾丸はもうないのですから。
あと、予想ですがKyotoはAMDが進めているhUMA(CPUとGPUが同じメモリを活用できること)に対応していると思うのです。GPUがGCNですし、サーバも出荷するためhUMAに対応しなければGPUの活用も進みません。hUMAのONは政治的思惑なのか秋ぐらいに発表になると思いますが。
そうなるとAMDのKyotoは案外面白結果を出すのではないかと思うのです。モバイルでも活用できる省電力CPUは昨今トレンドにあっていますし、GPUを使った需要を掘り出すことができればライバルに先行できます。価格が安価なため試しに導入してみようということもできるかもしれません。
AMDの本命のサーバCPU(GPU搭載版も含めて)はこの後でしょうから、Kyotoは先駆者的に意味合いとしても面白と考えています。