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ARM陣営がにぎやかに見えるが...

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NVIDIAからTegra 2の後継機種(Kal-El)及びARM系のロードマップが発表されました。

Kal-Elは、Tegra 2の5倍速く、CoremarkでCore 2 Duo T7200(2GHz)並のデータが出ています。Core 2 Duo T7200は、2006年半ばで出荷された標準的なモバイル用のCore 2 Duoです。4年半前ですが十分な速度を持っています。それを手のひらで実現するのですから良い時代になったものです。

また、それ以降のロードマップも2012年に出荷されるWayneはTegra 2の10倍、2013年のLoganが30倍、2014年のStarkが75倍となっています。NIVIDAが提示するロードマップは、ムーアの法則(2年で2倍)を超えたペースで性能アップされる非常に魅力的です。

ですが、疑問があります。

Coremarkはマルチスレッドベンチマークだと思われますが、2コアのCore 2 Duoと4コアの
2コアとKal-Elとほぼ同じならば、シングルスレッドの性能が半分であることを示しています。モバイルアプリでマルチスレッドアプリがどの程度普及しているか分かりませんが、既にマルチコアが普及したPC市場を後追いすると予想するとゲーム以外でマルチコアを活用するケースが多くないかも知れません(動画のエンコードもマルチコアを使うアプリとして有名ですが、さすがにモバイルデバイスで動画エンコードするとは思えません)。

さらに、Tegra 2のCoremarkの結果は5,840です。Coremark比ならばKal-El/Tegra 2=1.94のため約2倍です。また、Tegra 2のGPUはULP GeForceが8コアで、Kal-Elは12コアになります(コア自体はTegra 2から変わるらしいですが)。

Tegra 2は40nmで製造されています。Kal-Elが既にサンプル出荷していることを考えると40nmでしょう。

ここまで数字を並べるとKal-ElはTegra 2のパフォーマンス比5倍はどこから来ているのでしょうか?Performaceとは、何を意味しているのでしょうか?Core 2 Duoのラインがありますが何を基準としたラインなのでしょうか?

Coremarkで図れる性能ではないことは確かです。消費電力あたりの性能でもないでしょう。それならば指標に記載されているはずです。同じプロセスルールであるため、消費電力あたりの性能向上はできるとは思えません。

GPUメーカのため、最もアピールであるGPUが関係したパフェーマン比だと予想できます。ですが、GPUコア数こそ記載がありますが中身に関しては公開されていないため分かりません。

このため、ロードマップのパフォーマンス比は、CPUの性能比とGPUの性能比でもかけた数字でしょうか。そう見ると、かなり微妙に思えます。もう少し明確な情報が提供されることを期待します。また、そうなるとCore 2 DuoもチップセットのGPUは見るべくものがないレベルのため、Kal-Elよりも低い箇所にラインがあっても仕方がありません。

それでもAndroid 3.0のリファレンスとしてTegra 2が採用されているようですので、その野心的なチャレンジはもっと高く評価されてもいいと思います(Honeycombタブレット市場を席巻したNVIDIA)。

ARM系チップの有力なプレイヤーであるQualcommも、MWCで28nmで製造するチップ群を発表しました。ただしNVIDIAと違ってサンプル出荷でとどまり製品の出荷はもう少し後です(デュアルコアが2Q'11にサンプル出荷、それ以外が2012年初頭にサンプル出荷)。これは、28nmで製造する(GFだよね?)ためでしょう。

これを挽回したいはずです。

ラインナップが見ていて面白いのが、デュアルコアのMSM8960はGPUが既存にプラスアルファAdreno 225で、シングルコアとクアッドコアのAdreno 305/320は世代的に新しいように見えます。普通は、少しずつランクアップしていくのに、真ん中の製品だけGPUの性能が低そうです。

なぜこのようなちぐはぐなラインナップなのでしょうか。予想でしかありませんが、Snapdragonは、2010年中は製造が遅れたこともあり良いことがありませんでした。このため、GPUをアップデートしたときのリスクを減らした製品をまず出して、それから高性能品をだすのではないかと思われます。Tick-Tack戦略っぽい方法ではないかと思われます。

ARM陣営の有力なプレイヤーであるTIはOMAP 5(Cortex-A15世代)を2011年末にサンプル、2012年後半に出荷をアナウンスしています。OMAP 4(Cortex-A9世代)が2011年後半に出荷が予定されています。

ARM系の開発は非常に活発になってきたように思えます(ニュースで単に取り上げられるようになっただけだと思いますが)。特に、NVIDIAのKal-Elが性能が高そうですが最初はタブレットでしょう。消費電力がどの程度なのかわかりませんが(消費電力あたりの性能は低下すると噂もあります)、Tegra 2と同じプロセス世代(40nm)ならばスマートフォンに入れるのは難しそうに思えます。

それでもNVIDIAは2014年までのロードマップを公開したのは良いことだと思います。ロードマップ公開は、ライバルに戦略を変更の隙を与えてしまいますが、ユーザとしてはロードマップ(うそでも)を見ると興味がわきますし、そのロードマップが気に入れば、コミットメントするものです。NVIDIAがロードマップを公開するのは、GPUに関してはARM系メーカでは追随できない自信があるためでしょう。

ARM系は既にCortex-A15まで公開されているため、ARM系メーカにはNVIDIAの様にロードマップを公開してほしいものです(TIは実質そこまでのロードマップを公開していますが)。

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Comment(2)

コメント

TETSU

ほんと沢山出てきましたねぇ。でも携帯にそんなにCPUパワーは必要ないような・・ゲームぐらい?

個人的には、サーバー利用に期待してます。4コアで消費電力も低くCore 2 Duoなみ、それがApple TVに入っていたりしたら・・・何とかサーバーとして使えないかチャレンジする人が増えそうで(^^)
PS3よりも可能性を感じちゃいます。最近は特に消費電力と熱は大きな問題ですからね。

TETSUさん、コメントありがとうございます。
そうですね、携帯電話にCPUパワーはそれほど必要なくて(帯域の方がネックだと思います)、ゲームをやるのに使用されると思います。
私もARMにはサーバ(昨年から話もありますし)も面白いと思います。ここまでプレイヤーが広がるとPOWER系の組み込みとか、NGPとかどうなるのかなぁと。
今後もよろしくお願いいたします。

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