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ジョブズ氏CEO辞任に思うこと

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とうとう来るとき日が来ました。AppleのCEOをジョブズ氏が引退をすることになりました。ジョブズ氏の功績は、Appleの創業よりも復帰後のAppleの復活及びiPod/iPhone/iPadの作ったことの方が高いように思えます(功績は"シリコンバレーの生ける伝説・ジョブズとAppleの軌跡"の方が詳しいと思います)。

私はMacユーザなりたて程度のAppleユーザなのですが、いくつかのApple本・ジョブズ本を読んでいます。最近ではジョブズウェイを読みました(先週頭に読み終わっていたのですが...タイミングが悪いですが読書感想文は後ほど)。

復帰後のスケルトンiMacを見たときは、"いまどきブラウン管かよ"と思ったものですが、それでも成功することが出来ました。iPodの成功を皮切りに、電話の再発明したiPhone、まったく市場がなかったところからiPadを立ち上げて、会社名からコンピューターを省くほど様変わりさせた手腕を恐るべしです。

iPhoneはスマートフォン市場においてiPhone以前・以後に大きくチェンジさせたことを思えば、その役割は非常に大きいといえるでしょうし、メディアタブレットがiPad以外売れていないと言われる現状はAppleの戦略はうまいと思わざるを得ません。

ただし、今後のAppleにおいて気になるところは1つあります。

MacのARM採用によるiOSとMac OS Xとの関係です。

"加速する「MacでARM採用」の噂、議論の存在をIntelが認める"にあるとおり、AppleはIntelに対して省電力のCPU開発をプッシュしています。出来ないのならば、ARMを採用を示唆しているようです。

Intelは努力していますがCPU開発スパンを考えればそう簡単ではありません。また、現在のARMのチップはまだまだCore iシリーズと比べれば追いついたとはいえません(ラインナップによっては追いつく必要性はないかも知れませんが)。

iOSはMac OS X等の母艦を必要としなくなります。iOSの性能とA5(及びARMのロードマップ)の性能から、近いうちにMacBook AirやMac miniにARMが採用されそうです。そうなった場合、Mac OS XとiOSはどのように関係にするのでしょうか?

両プラットフォームでアプリが違うこと(CPUも違うしね)はユーザにはメリットがありません。Microsoftがx86とARM版のWindows 8(まだ仮名称?)を出しますが、アプリに関してはまだ明確なアナウンスはしていません(.Net Freameworkでやるのでしょう)。

2つのプラットフォームを持つメーカは、どこでも抱える問題ですがiOSのエコシステムを大きくなればどちらが母屋なのか分からなくなりますし、iOSがメインのユーザも出てくるでしょう(もうそういうユーザはもういるかも知れません)。

iOSとMac OS Xのエコシステムが逆転すればプラットフォームの統合(iOSはMac OS Xのサブシステムですが)することを念頭に置いたほうが良さそうな気がします。MacカテゴリにARMを搭載し始めるとこの問題はすぐに大きなことになると思われます。

この問題はジョブズ氏引退によってどうなるのでしょうか。

ジョブズ氏の評価は非常に高いものになっておりなかなかうまい表現が見当たりませんが、もし使い古された表現を用いるならば"IT業界が生んだ唯一の創造的天才"でしょうか。ドイツのローマ法学者であるテオドール・モムゼン氏のローマのカエサルを評価した表現そのままですが。

ローマのカエサルは共和制から帝政に政治体制を大きく変え、ローマの方針を180度変えました(広大な領土を持つのに生物による移動方法しか無い当時ならば、帝政にせざるを得なかったでしょう)。ジョブズ氏もMacintoshで大きくPCを変え(最初は成功したとはいえませんでしたが)、iPhone/iPadでコンピューターデバイスとUIに革命を起こしました。IT業界でも功績は並ぶものなしと言えます。

また、「指導者に求められる資質は、次の五つである。知性。説得力。肉体上の耐久力。自己制御の能力。持続する意志。カエサルだけが、この全てを持っていた。」と評価されていますがジョブズ氏はどうでしょうか。

56歳での引退は少し早すぎますがそれでもドックイヤーのIT業界で長期に激務のCEOを担っていたことを考えると十分だったと思います。知性、説得力(プレゼン等)、持続する意思は外から見ていても抜群にあると思います。説得力はプレゼンや他業種のトップを説得していることを考えると現在にIT業界では突出していますし、もうジョブズ氏レベルが出てくるとは思えません。

自己制御はジョブズ本を読むとMacintosh開発時はありそうに思えませんが、復帰後の建て直し時にライバルのMicrosoftから資金を引き出すことは自己制御できなければ出来ないことでしょう。このため、ジョブズ氏も十分に指導者に求められる資質は持ち合わせていたと思います。

ローマは人類史上まれにみる長期間持続した国家です。その長期間において広大な領土から多くの天才を輩出してきましたが、創造的天才と言えたのはたった1人でした。創造的天才とはその程度の確率でしかでてこないのではないかと思います。このため、IT業界がいつまで維持できるのか分かりませんが、この業界ではスティーブ・ジョブズ氏の様な天才をもう輩出できないのではないかと思えてなりません。

Comment(2)

コメント

TETSU

ジョブスの凄いところは、他の人の見えていないところを見ていたことだと個人的には思います。
当時の常識にもとらわれないところが凄い、後からみると当たり前だと思うことでもね。
例えば、コンピュータを箱に入れたとか(家電はみんな箱に入っているかららしい)新しい電源の開発は皆に反対されたが新しい人を雇って開発させるとか(それでファンレスのApple2が出来たらしい、五月蝿いのが嫌いだったという話ですが)

Macintoshの開発時の凄いところは、既に大会社の会長になっていたのに、現場のエンジニアと普通に話出来るところ。自社の製品の細かいところまで知っていて議論できる会社のトップがいるというのは凄いですね。しかも癖のあるエンジニアが沢山いたのに、それをまとめて製品を出させたところもね。
(スターエンジニアを集めて、結局製品にならなかったプロジェクトもシリコンバレーでは多いですから)

でも普通の経営となれば、それほどの人とも思えないので、ジョブスがいなくなってもAppleの経営自体には影響少ないでしょう。将来の製品については不明だが、全く新しいものを作るのではなく、今ある製品コンセプトを引き継いで拡張していく作業はジョブスでなくても大丈夫でしょう。

TETSUさん、コメントありがとうございます。
今後のAppleの製品がどのように変わってくるかが、ほんとう不透明ですね。
Appleが、"あのころは良かった"的なことになれば...

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