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IntelのMICは成功するのか

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Top500において、IntelはMIC(Many Integrated Core)に関して発表しているようです。SGI(SGI、インテルMIC技術の採用で2018年までにエクサスケールのスパコンを構築へ)は、これでExa FLOPSを目指すようです。K Computerは8.16 Peta FLOPSだったことを考えると途方もない数字に見えます。

ですが、Top500 June 2011のPDFを見る限りは、それほどおかしな数字ではありません。

(出展:Top500)

N=1(一番)がExa FLOPSに到達するのは、2019年ぐらいに見えます。このため、SGIの言い分はムーアの法則が維持する限りは到達できない数字には見えません。Intelは今のところ、2015年にプロセルルール10nmまでは作れる予定であることを発表しています。

このMICですが、成功するのでしょうか。まだ発売されていない製品に関して成否を論じるは無謀にも思えますが、考えてみます。

当初Intelは、LarrabeeでGPU及びHPC向けとして目指していましたが、性能が芳しくないのかGPUは放棄してHPC向けアクセラレーターとして再出発しています。現在のところKnight Ferryは、"SGEMMベンチマークで1TFlopsの浮動小数点演算性能(【Intel MIC】("Knights Corner”は2012年に、2018年にはExaflopへ)"と言われています。

MICは、x86なのでプログラムはGPGPUのOpenCLやC++ AMPよりも容易かも知れません。ですが、このようなHPC向けオンリーの製品はどの程度成功するものでしょうか。

例えば、HPC向けオンリーの製品として有名なPowerXCell 8iが登場したときに、消費電力あたりの性能が群を抜いていたため、今後はこのシステムが多くなるのではないかと言われました。ですが、システム数の増減は以下ように増えませんでした。

○PowerXCell 8i採用システム
・2008.06:3システム
・2008.11:7システム
・2009.06:4システム
・2009.11:6システム
・2010.06:6システム
・2010.11:6システム
・2011.06:5システム

PowerXCell 8iが初採用されたRoadrunnerが登場したのは2008.06ですが、それ以降採用システムはそれほど増えていません。また、現在のところ次製品に関してはアナウンスはありません。

それに比べて汎用的なGPUをGPGPUとして使用しているシステムはPowerXCell 8iよりも増加傾向にあります。

○GPU採用システム
・2008.11:1システム
・2009.06:1システム
・2009.11:1システム
・2010.06:4システム
・2010.11:11システム
・2011.06:14システム

両者の違いは何でしょうか?
価格でしょうか?性能でしょうか?プログラミングの環境でしょうか?それともバック(NVIDIAとIBM)の意思の違いでしょうか?

難しいところですが、やはり専用製品と汎用製品との違いが如実に出ているように思えます。GPUとして使用できるFermiは、出荷数を見込めるため価格競争も勝てます。これが専用と汎用製品の違いです。ただし、GPUをGPGPUとする場合は、若干不要な機能も盛り込まれているため、ダイサイズの効率は少し悪いかも知れません。

また、プログラミング環境を考えると汎用製品の方が裾野が広がる可能性があるため、その点でも有利でしょう。

では、Intelが進めているMICはどうでしょうか?GPUとして利用を放棄したため、専用製品と成りました。とは言え、Intelの場合は、MICをCPUに導入してヘテロジニアスマルチコア化も可能です。最初の製品は専用製品のため限定的なシェアで終わり、その成果をCPUにフィードバックすることで最終的な製品(CPU)でシェアを奪う戦略もとることが可能です(MICは今のままPCI-Expressのカードのままかも知れませんが)。

このため、MICはよほど低価格で売らない限り(ダイサイズを考慮に入れるとそれも難しいような気がします)限定的な成功で終わり、その後は別の形でシェアを奪う可能性があると予想しています。

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