Top500 CPUアーキテクチャの推移の考察(2011.06)
2011.06のTop500が公開されました。そこでTop500が公開しているCPUアーキテクチャ毎にRMaxの合計シェアの推移をグラフ化しました。
理研のK Computerが80%の出来で1位に登場したためSPARCのシェアが大幅に増えています。なんとK Computer登場だけで、RMaxのシェアが14%を到達するほどです。如何に現時点(2011.06)では突出しているか分かります。
上記の記事では、Fujitsuの方が以下の様に述べられています。
「できれば3000億円規模の事業にしたいと考えている。米IBMと肩を並べられるビジネスをしっかりとやっていく」
これが大切なことだと思います。NECの地球シミュレーションのCPUも最終的には上記のグラフのetcのカテゴリに埋没していますし、登場したときは注目されたPowerXCell 8iもRMaxシェアを年々低下しています。
2011.06の時点で、SPARCのシステムはTop500にたった2システム登録されていません。HPC分野でSPARCのエコシステムは大きいとは言えません。
Top500は性能的に突出することでRMaxシェアは拡大することがありますが、それが継続して成長することを保証しないことが過去の経緯から明らかです。
SPARC64 VIIIfxは確か海外のシステムでも採用された聞いたことがあります(検索で引っかからない...どこだったけな...)。今後採用システムが増えるといいですね。
2011.06からAcceleratorの項目があり、GPUやPowerXCell 8i等を採用しているシステムが一目でわかるようになりました。そこでGPUを採用したシステムはどのように増えているか調べてみました。2010.11以前はComputer名から類推です。
○GPU採用システム
・2008.11 1システム
・2009.06 1システム
・2009.11 1システム
・2010.06 4システム
・2010.11 11システム
・2011.06 14システム
○PowerXCell 8i採用システム
・2008.06 3システム
・2008.11 7システム
・2009.06 4システム
・2009.11 6システム
・2010.06 6システム
・2010.11 6システム
・2011.06 5システム
増えているように見えますが、大幅と言うほどではありません。ただし、PowerXCell 8i登場よりも良いペースで増えているように見えます。
Accelerator全盛時代はくるかどうか今のところは分かりません。AMDのLlanoの登場やNVIDIAがARMで開発を進めています。LlanoはまだOpteronを出さないため、HPCには採用されませんが、将来的にAMDがOpteron系にGPUを搭載するでしょう。NVIDIAは現時点ではモバイル向けARM系チップしか作っていませんが、将来的にHPC向けを作らないとは言えません。
そのように思うと、使いやすいスカラー系、性能/消費電力に優れているAccelerator、両方のいいところ取りのヘテロジニアスマルチコアと選択肢が多いような気がします。巨大な金額を積み込まないといけないHPCですが、最終的なシステムはどこに落ち着くのでしょうか。