2011年半導体売り上げに見える将来の競争分野
IHS iSuppliが発表している"2011年の世界半導体売上高ランキング、IntelがSamsungに大差を付けてトップに"を見ていて将来の順位は大きく変わりそうな感じがしました。
上位4位社とQualcommの5社で2003年から2011年までiSuppliの半導体売り上げのシェアをグラフ化してみました。
2010年にSamsungが追い上げましたが、Intelが2011年に差を広げました。Intel強いですね。
上位2強はやっぱり強いなと思わなくもないですが、TIとToshibaが2003年から2011年までシェアをほとんど伸ばしていません。前者は0.18%、後者が0.10%です。ですがQualcommがこの間1.9%もシェアを伸ばしています(同時期Intelは1%、Samsungは4%伸ばしています)。
5社は2011/2003比では以下になっています。
Intel:1.84倍
Samsung:3.02倍
TI:1.79倍
Toshiba:1.76倍
Qualcomm:4.20倍
Total:1.72倍
Intel、TI、Toshibaが市場程度の成長に甘んじていますがSamsungとQualcommは数倍の成長率を示しています。Qualcommは小さい規模からスタートしているため成長率は驚異的に見えてしまうものですが、2011/2010でも上位20社でもっとも成長率が高かったことを考えると無視できない状況でしょう。
Qualcommのメインである通信系とSnapdragonが好調だったと思われますが、2012年には新しいチップ(一部はすでに出ているようですが製品自体がない)がメインになったり、Windows 8のARM版が登場(2013年らしいですが)したりと2011年以上に好調を維持できるように思えます(同じことがNVIDIAとかTIにも言えますが)。
Intelは半導体業界の巨人で2011年はさらにその状況を見せつけた形になっていますが、"スマホ/タブレット分野で攻勢をかけるIntel、モバイル事業部門を再編成"を読む限りは決して安穏としているわけではなくARM陣営に対して行動を起こそうとしています(Atomの改良かそれともARMチップの製造か)。
Googleと協力してx86版Androidの開発にも着手しているため、モバイルデバイス市場でもIntelの影響は大きくなるのではないかと思われます。QualcommやTI等のARM陣営の主役がスマートフォン・メディアタブレットの市場拡大によるパイをやすやすと奪えないことになり、競争が激化しそうで一ユーザとしてはメリットのほうが多そうに思えます。
ただし、半導体売り上げのトータルとして2011/2010が1.9%増とかなり小さいことが気になります。2010年は2009年までの反動による売り上げが急に拡大したため市場成長よりも高くなったため相対的に低く見えるのか、それともPC等の半導体を使う製品が急に売り上げが低下したのかはわからりません(4Q'11がまだデータでていないので)。
半導体装置の投資が2012年は落ちるとも言われているため、その影響がIT業界全体にどのような影を落とすのか少し心配でありますが。