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株式会社インフラコモンズ代表取締役の今泉大輔が、現在進行形で取り組んでいるコンシューマ向けITサービス、バイオマス燃料取引の他、これまで関わってきたデータ経営、海外起業、イノベーション、再エネなどの話題について書いて行きます。

"Total Cost of Consumer"削減ソリューション

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以前よく女性誌で「着回し」に関する特集をやっていたのをへぇと思いながら眺めていました。あれはもう3年も前のことなのか

その時、伊勢丹なんかが「”頭のてっぺんから足の先までのコーディネートが1か月ラクにできるだけのアイテム一式を毎月定額で提供するサービス”を始めれば受けるだろうな」ということをぼんやり考えました。伊勢丹に限らず、ユニクロでもいいし、レナウンでもいいわけです。

必要なものはすべて1つの会社だけから買うことにする。しかも1年単位の契約を結んで、他の会社からは購入しないような縛りをかける。それによってトータルの購入費用は安くなる…。そういうサービスがあってもいいと思ったのです。
企業ではよくグロスで買うのと引き換えにディスカウントを要求するということをやりますが、あれの個人版です。買い物は全部1社にまとめてしまう。その代わりトータルではぐんと安くなるという形態。

この方式は、IT業界で言うTotal Cost of Ownership(総所有コスト)削減ソリューションをもじって「Total Cost of Consumer(消費者総支出)削減ソリューション」と呼ぶことができると思います。

生活する上でサステナリビティを気にしなければならなくなっている時代だし、小麦が30%も上がる時節なわけで、そろそろ「消費」というものを大きくシフトさせる何かが始まってもよい時期ではないかと考えます。

現在の「消費」は、米国あたりで原型ができた中間層におけるそれが世界の標準になっていると思います。歴史的に見れば比較的新しい生活スタイルです。
1つの家があり、家電や自動車なんかを一式揃え、1970年代的な生活水準を楽しむ…。
これはこれで楽しいわけですが、サステナビリティや小麦のことなんかを考えると、あまりそうも言っていられない。特に追い上げてきている国々において、同じような「消費」を数億人規模で充実させようとしている現在、別なモデルを生み出して、「これからの時代はやはりこっちではないか」とオルターナティブな道を示すことにはすごく意味があると思います。

それを理念として語ったり、本に書いて世論を喚起するのではなく、1つの企業が消費者に喜んで受け入れられるサービスとして具体化し、提供するのが、今日的なあり方ではないかと思います。先日書いた「iPodライクな製品が成立する余地はあと50もある」もこの関連の話題です。

小麦30%値上げのニュースに接して、そんなことを考えました。
日本の未来にとって小さからぬインパクトのあるこうしたニュースに接しても、縮小均衡では考えないというのが、イノベーションに拠って立つ側の思考です。

商品を単体で購入するのではなくて、1ヶ月ないし1年間に必要なすべてをまとめて買う。そうすることで安くなる。
これまでは買うのが当たり前だった製品について、サービスという形で提供を受ける。
個々の世帯が「所有」することで生じている社会規模のロスを、「共有」によって削減する。
そういう次代をにらんだ消費のスタイルが、企業の側から、1つの提案として行われてもいいんじゃないかと思います。色んな業種で展開可能です。また、1年といった短期ではなく、生涯において大きな削減効果を持つという枠で考えると、適用領域はかなり広がります。

例えば、食事1つとっても、食糧やエネルギーの持続的な活用を考えるなら、シェアドサービスとして提供される形態を思い浮かべることができます。よくデザインされた心地のいい施設があって、月会費を払えばそこでシェアドサービスとして食事を提供してもらうことができる。個別の世帯で調理や食器洗いをしたりする総支出と比べると、30%~40%程度は削減できるという風な。
(この種のことは、常識をまず取っ払って考えないと、先に進みません)

こういうシェアドサービス化が生活のさまざまな分野で進むと、おそらく、個人の生活にかかるコストを何割かは削減できるようになります。単純に言えば、毎月の支出が軽くなります。
そこで浮いた分をなるべく投資に回すようにすれば、そしてそれが数千万人規模で行われれば、投資が直接的間接的によき企業活動(=イノベーション)に回って、それによって本当に持続可能な社会というのが形を現してくる、ということもあるかと思うのです。

少子高齢化で先々の経済規模の縮小が必至と見られているこの日本においても、そうした消費者における総支出を削減できるソリューションが根付き、それが個人の投資を誘発すれば、これまでとは違う成長が可能になるかも知れません。
もっとも移行する過程で、企業関連の資源の再配置が必要になることは確かですが、何もしないシナリオよりはましだと思います。

こうした「共有」やシェアドサービス化には、すでに蓄積されているITの知見が流用できます。たぶんWeb2.0のメカニズムのリアルな生活への応用という側面も出てくるでしょう。

これを涙ぐましい節約トーンでやるのではなく、最高のブランド体験を構築する意気込みでやると、21世紀的な企業活動になると思います。

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