オルタナティブ・ブログ > 経営者が読むNVIDIAのフィジカルAI / ADAS業界日報 by 今泉大輔 >

20年以上断続的にこのブログを書き継いできたインフラコモンズ代表の今泉大輔です。NVIDIAのフィジカルAIの世界が日本の上場企業多数に時価総額増大の事業機会を1つだけではなく複数与えることを確信してこの名前にしました。ネタは無限にあります。何卒よろしくお願い申し上げます。

【SDV】日本の自動車メーカーの"SDV Readiness"(SDV対応度合)を客観的に知ることができる資料個々の要約【ChatGPT5ケーススタディ】

»

Alternative2025Aug26c.png

ChatGPT 5は巷間言われているようにダメなバージョンアップではなく、ダメ出ししている人達がLLMの基本的な使い方を知らないだけです...。(問題意識を言語化してLLMに伝えることができないので、意図したアウトプットが出せない...)

以下は「意図したアウトプットの見本」のような例です。平易なプロンプトで下にみる短いレポートが生成されました。このプロンプトに対してChatGPT 5は、ChatGPT 4o + Deep Reseachよりも深く長く考えていて、以下が出てきました。おそらく数百の情報源を見ていたと思います。

日本の自動車メーカーのSDV対応は米国、欧州、中国と比較すると、圧倒的に遅れています。そのことを知ることができる国内国外のニュース報道はありますか?比較した調査報告書などはありますか?米国系のコンサルティングファームのレポートに、そういうトピックを扱ったものはないですか?英文でも。

ChatGPT 4o時代であれば以下のような良質な情報がぎっしりと詰まったコンパクトなレポートを得るには、多段階のストラクチャードプロンプトを作成し、かつ出力形態を厳密に定義する必要がありました。そのような優秀な短レポートが自然文の平易なリクエストだけで、長考はするものの、スムーズに出てくるのはすごいです。ChatGPT 5はまだまだ潜在力を秘めています。

1) 国内報道(「遅れ」指摘とその背景)

  • SDVサミット登壇者の明言:「この1、2年で自動運転は大きく変化したが、SDVの実装で日本は遅れを取っている」。名古屋大学・高田教授(Open SDV Initiative)発言の要旨と、サードパーティー製アプリを載せる"オープンSDV"への標準化の遅れが課題として整理。デジタルクロス

  • 産業メディアの俯瞰:日本の自動車産業はハードに強く、デジタル化・ソフトウェアで遅れ。閉塞感の主因としてEV/SDV転換の鈍さを示す論考。モノイスト

  • 対立点(反論の存在):「"日本出遅れ論"は一面的」とし、用途特化(商用・狭域)や海外テック連携での巻き返し事例を挙げる解説もあり、議論は二層化。東洋経済オンライン

2) 海外報道(比較の文脈:日欧米中)

  • FT:トヨタ/フォルクスワーゲンはテスラや中国勢に比べソフトウェアで出遅れ、とデジタル指数(Gartner)を引きつつ指摘。フィナンシャル・タイムズ
    └ 同FTはトヨタの車載OS「Arene」が2026年RAV4で本格投入予定と報じ、巻き返しの動きもフォロー。フィナンシャル・タイムズ(併せてWoven by Toyota公式のArene展開リリースで一次確認可。Woven by Toyota

  • ロイター:日産×ホンダ次世代ソフト基盤の共同研究に着手=遅れの自覚と追随の証左。Reuters
    ホンダは25年5月にEV/ソフト投資を3割圧縮しHV重視へと報道(短期方針転換はSDV投資の重さも反映)。Reuters

  • 欧州の動き:VWがRivianと最大58億ドルのソフトJV=Cariadの遅れ是正が狙い。欧州も苦闘しつつ"外部取り込み"で挽回。Reuters+2Reuters+2

  • 中国の加速Huawei×JAC、SAIC×Huaweiなどスマートカー連合を各社が拡大。規制が「速すぎる展開」へブレーキをかける局面が出るほどのスピード感。Reuters+1フィナンシャル・タイムズ

  • 日本への"外資ソフト流入"Wayveが日本で開発拠点、日産の27年度技術へ採用報道=基盤を外部調達してでも前倒しする流れ。Reuters

3) 比較・調査レポート(英語中心/米系含む)

  • Deloitte「Software-defined vehicles: Global manufacturer readiness study」(2024/10):日・米・欧・韓のOEM160人超を調査。2030年に**"81%がSDV化"**と見通し、技術部門の自己評価と事業部の認識に大きなギャップを確認(戦略実装の遅れを示唆)。※国別"点数表"はないが日本企業を含む定量・構造論で比較に有用。Deloitte

  • BCG「Auto software revs up」(2024/11):SDV市場は2035年に約1.2兆ドルバリュープールの6割はサプライヤー/ソフト側へ移動="ソフト弱い伝統OEM"が収益劣後する構図を示す。BCG

  • McKinsey(MCFM):SDV/E/Eアーキの解説群(2025/1など)。価値の中心がソフトに移る中、組織・アーキの再設計を提言。日本固有の定量比較は薄いが、変革の到達点/ギャップ診断の枠組みとして使える。McKinsey & Company+1

  • AlixPartners「Global Automotive Outlook 2024」:"中国勢が新たな標準を形成"と明記。SDV/コネクテッドでグローバル競争軸が中国主導への見立て。alixpartners.com
    併せて**SDVエグゼクティブ調査(2024/1)"今後10年で普及"**を見込む声が多数。alixpartners.com

  • S&P Global MobilitySDVベンチマーキング枠組みを2025年公開。各社の機能成熟度を評価するための指標化を進める(地域横比較の基盤)。S&P Global

まとめ(端的な見取り図)

  • "遅れ"の根:ソフト人材・アーキ刷新・OTA前提の運営モデル(DevOps/機能安全/サイバー)への全社転換の遅さ。製品別縦割りや系列サプライ構造がプラットフォーム化を阻害。国内報道・会議発言に具体。デジタルクロスモノイスト

  • 世界の潮流米(テスラ/基盤ソフト企業)・中(Huawei連合/高速実装)が先頭、欧は外部連携で巻き返し。日本はOS内製+外部取り込みのハイブリッドで追走段階。Reuters+2Reuters+2

  • 反証・注:すべての領域で劣後ではなく、品質・安全・HV収益力など日本の強みも健在。ただSDV"収益化の作法"(データ/サブスク/UX)で後手のリスクが高い。ReutersDeloitte

Comment(0)