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20年以上断続的にこのブログを書き継いできたインフラコモンズ代表の今泉大輔です。NVIDIAのフィジカルAIの世界が日本の上場企業多数に時価総額増大の事業機会を1つだけではなく複数与えることを確信してこの名前にしました。ネタは無限にあります。何卒よろしくお願い申し上げます。

【サンプル調査報告書】ドイツ語資料で調査「ELV指令:ドイツの自動車廃棄・リサイクル最新動向」をリリース

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インフラコモンズ代表の今泉大輔です。

海外の産業調査をやっていた時期に、EUのEU指令の下にある通信関連の規制がどうなっているのか、業務として調べたことがあります。EU指令と各国法制度との関係は、わかっている人はわかっているのですが、何も下地がない人が制度の中に分け入っていくと、森が深すぎて迷子になるような所があります。英語の文献を読み、フランス語の文献を翻訳にかけ、時にはドイツ語の文献に当たらなければいけなくなることもあります。大変に苦労してクライアントの要望に応えました。

しかし今はビズリーチ!ChatGPT + ディープリサーチがあると当時の苦労もなんのその、目的とするテーマにダイレクトに入り込んで、ドイツ語資料でもフランス語資料でも全く問題にせず、「知りたい事柄そのものに切り込んでいくこと」ができます。

日経で報じられたEUにおける炭素繊維規制の動き

EUが自動車の製造に炭素繊維(カーボンファイバー)を使用することを禁止する動きが報じられています。日本は世界の炭素繊維市場で約半分を占める炭素繊維大国。東レ、三菱ケミカル、帝人の3社が世界シェア50%超を握っています。市場規模約4,000億円の大きな市場です。

日経:車の炭素繊維、EUが原則禁止を検討 東レや帝人に打撃も(2025/4/8)

日経:東レ株価大幅反落 「車の炭素繊維、EUが禁止検討」報道(2025/4/9)

日経:車向け炭素繊維に禁止案 ソニーも苦しんだ「鬼門」EU規制(2025/4/10)

EUで自動車における炭素繊維使用が禁止されば、約4,000億円の日本分約2,000億円が失われてしまう訳ですからことは重大です。

なぜ自動車における炭素繊維が問題なのか?

EUは、加盟国27カ国が集まって、あたかも1つの国のように機能させる枠組みですから、規制1つ決めるにしてもそのメカニズムは複雑です。特定の規制が実施される場合、EU大で「EU指令(EU Directive)」がEU議会で承認され、「いついつまでに、このEU指令に従う形で、各国では法制度を整備しなければならない」という命令に厳守することが各国政府に言い渡されます。

加盟各国はEU指令に基づいて、期限までにその国の議会で法制度を整備し、施行しなければなりません。期限が守れなければ罰則さえあるのがEU指令です。

今回、炭素繊維禁止が問題になっているEU指令(総称としてのEU指令。その下位に目的別指令があります)は、いわゆる「ELV指令」と呼ばれるもので「ELV」は「End-of-Life Vehicles」の略。つまり、自動車を廃車にする際のプロセスを定めた指令です。

なぜ炭素繊維が問題になっているかと言うと、これまでに調べたところでは大きく3点あります。

1. リサイクルの困難性

炭素繊維強化プラスチック(CFRP)は、樹脂と繊維が強固に結合しており、金属のように簡単に溶解・再成形することができません。そのため、再利用やリサイクルが難しく、廃棄物としての処理が課題となっています。

2. 有害物質の発生

CFRPを熱分解する際、高温(約700°C)で処理する必要があり、その過程で有害なガスが発生する可能性があります。また、処理中に微細な炭素繊維が空中に飛散し、作業者の健康や機械の安全性に影響を及ぼす懸念があります。

3. 環境への影響

CFRPの製造には多くのエネルギーが必要であり、例えば鋼の14倍のエネルギーを消費すると報告されています。また、廃棄時に適切な処理が行われない場合、土壌や水質への汚染リスクも指摘されています。

ということで、廃車プロセスにおいてはなかなか厄介な存在だということです。

ELV指令における炭素繊維禁止に関連した報告書をいくつか刊行します

いずれにしても日経新聞の関連報道だけでは全体像がわからない問題であり、プロフェッショナルによるきちんとした調査報告書が必要です。そこで、以下の2段構えで報告書を刊行して行きたいと考えています。

第一弾「EU指令の決定メカニズムとELV指令の構造・内容」

これは、EU指令の下にあるELV指令の位置付けがよく理解していただけるように、そもそも論を展開します。このそもそも論がよく理解できていることによって、どこの何をいじれば炭素繊維禁止の方向に行き、どこの何をいじれば炭素繊維禁止がなくなる...といった、可変要素としての炭素繊維禁止が理解できるような報告書を目指します。もちろん日本の関連業界の方々や経産省等の関連省庁の方々の便宜に供するためです。

このそもそも論がわかるためには、英語の文献はもとよりフランス語の文献、ドイツ語の文献も噛み砕く必要があると考えています。特にEUにおいてはドイツの自動車産業の存在感が大きいですから、ドイツ語資料の読み解きは大事です。一般的な日本のビジネスパーソンにとっては歯が立たない世界です。

第二弾:「ELV指令における炭素繊維禁止の動き、ドイツ語資料を中心に調査」(仮題)

第二弾は、炭素繊維禁止の議論そのものに入り込みます。ドイツ語資料を中心に(英語資料はもちろんのこと)、EU議会で何がどのように議論されているかを解きほぐして行きます。


ドイツ語資料で調べたドイツにおける廃車のプロセスをサンプル版として公開中

以上の報告書は、こちらのnoteで設けている報告書共有&販売サイトで、要約版を無料で、本編を数千円で販売する予定です。

【報告書/ケーススタディ】経営者が読むNVIDIAのフィジカルAI 業界日報

数千円という価格設定は、この種のEU規制報告書の水準からすれば激安ですが、各企業にいらっしゃる現場の方々が、欲しいと思った時に経費で落とせる水準で販売しようということで、この価格水準になりました。

noteで産業報告書を販売する際の利点として、報告書の中にテーマに関連したYouTube動画を埋め込めるということがあります。

百聞は一見にしかずです。以下のサンプル報告書を用意しましたので、産業報告書にYouTube動画が埋め込まれていることの利便性をご確認下さい。

【サンプル報告書】ドイツ語資料で調査「ELV指令:ドイツの自動車廃棄・リサイクル最新動向」13,000字+参考YouTube動画

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