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リサーチのプロとして長いこと歩んできた今泉大輔です。ChatGPT出現以降、Facebookで「ChatGPTとMidjourneyのビジネス活用を探って行く勉強会」を立ち上げ、「ビジネスパーソンにとってのAI」の観点で米国情報を収集して来ました。知的アウトプットの質と量を向上させるプロンプトの開発にも取り組んでいます。

AIデータセンターの電源についてChatGPTに専門的な質問をしたらGoogle検索より300倍...

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Bイスラエル2025Feb22.png

現在のChatGPTは、Google検索よりウルトラ・スーパー効率の良い検索ツールとして機能するようになっています。使っていて気づきました。

どういうことかと言うと、利用者の知りたいことを鋭く理解した上で、先回りして検索して、「あなたが知りたいことはこのリンクに書いてあります」と表示してくれるのです。質問が専門的であればあるほど、ChatGPTの検索性能は上がります。利用者の関心領域(専門)が絞り込まれているので、ChatGPTも検索すべき対象を絞り込めるからです。

例で見てみましょう。

新しい検索プロセス1:専門的な質問をする

CNBCYouTube.png

How The Massive Power Draw Of Generative AI Is Overtaxing Our Grid 生成AIの膨大な電力消費が電力網に過負荷をかけている

AIデータセンターに関するYouTube動画を見ていて、「米国におけるデータセンターの電力消費量が2030年に国全体の電力消費量の16%を占めるようになるというレポート」に言及していました。そこで、そういうレポートはあるのか?という質問をChatGPTにしました。

データセンター質問.png

こういうシンプルだけれども専門性のある質問をChatGPTにしてみるのが、新しい検索プロセスの一番目です。この専門性を含んだ質問の内容からChatGPTはどういう情報が必要とされているかを判断します。

ChatGPTから意味のある回答を引き出すためには、こちらも意味のある質問をしなければなりません。しかも誤解する余地のない明快なものを。

新しい検索プロセス2:ChatGPTがリンクを含んだ回答をする

質問に合致したレポートはないとChatGPTが断ってきました。その上で、代替できる資料をいくつか出してきました。しかもリンク付きで。

データセンター電力テキスト.png

このリンクを1つひとつクリックして確かめると、Google検索の一番目のページに表示される検索結果よりも、はるかに情報密度が高いページになっています。特に日本語の文献に混じって英語のWall Street Journalのわりと新しめの記事が含まれています。この記事は米国のAIデータセンターの電源問題をきめ細かく論じていて、大変に参考になりました。

ウィブル証券:AIデータセンターが電力需要を押し上げる:ゴールドマン・サックスがトレンドに乗る16銘柄を選定

axa-im.co.jp:強力な先導役:米国のデータセンター拡大が再生可能エネルギーの投資機会を促進

Wall Street Journal: Five Things to Know About AI's Thirst for Energy

この3本の記事を読むだけでも、AIデータセンターの電力消費に関する数多くの知見が頭に入ってきました。例えば、以下のことが明らかになりました。

・アメリカの電力関連会社(発電会社)がAIデータセンター関連銘柄と見なされている。
・原子力発電所に隣接したデータセンターというデータセンターの業態がある(Amazonが取り組み始めている)。
・PPA(Power Purchase Agreement)と呼ばれる電力会社とデータセンター運営会社との間で直接結ばれる長期の電力供給契約がある。(これは従来からある電力業界の慣行で、それがデータセンター業界にも浸透しています)
・AIデータセンターでは、サーバーの冷却に水が使われる場合があるが、その水の確保と排水とが課題になっている。

・WSJ記事によると、大規模なAIデータセンターを建設するには18か月〜2年。電源を再エネ発電所で賄うとすれば建設に3年以上。発電所とDCを繋ぐ新しい送電線の整備には10年以上必要になる。

・同、大規模なAIデータセンターの新設には原子力発電所1基分の1GW規模の発電所が必要。DCの建設期間内に原発の新設は間に合わない。現実的な選択は天然ガス(LNG)火力発電所か?

これらの知見は日本のAIデータセンターの先々を読み解く際にも有用なものです。

新しい検索プロセス3:ChatGPTの「情報源ボタン」でさらに有益なリンク多数に導かれる

ChatGPTを使った新しい検索で、さらにすごいのが「情報源ボタン」の存在。

情報源ボタン2.png

この「情報源ボタン」を押すと現れる専門性の高い資料群!内外の専門性の高い文献を毎日探して歩いて読み込み、咀嚼し、レポートに書いていた小職としては、涙ものの情報源ボタンです。

通例、以下のような専門性のある、かつ、はずれがない資料群を集めるためには、Google検索で丸1日はかかります。検索結果に出てくるページを1ページずつ中を開けていって、ざっと読んで、使えるか使えないかふるいにかける...。丸一日色々なサイトを経巡ってようやくと意味のある資料10本が手に入る。そういう具合です。

それが、たった一つの質問と、それに対する回答だけで、ものの1分としないうちに集まってくる!この効率は...。

丸一日の実働を5時間300分とすると、ChatGPTを使った新しい検索では、検索スピードが300倍になった!ということができるのです。

[情報源ボタンにリンクされていた資料群]

Property Data Bank:投資家が注目するデータセンター、しかし死角も

JETRO:米エネルギー調査会社が電力需給の将来予測を発表、送電網の整備が課題に

HATCH:AIの普及によって電力消費量が増える? 国内外のデータセンターの現状と各国の対策は?

シティグループ証券(経済産業省 第21回資源開発・燃料供給小委員会における発表資料):米国電力セクターの動向から考える日本のエネルギー一事情

資源エネルギー庁:電力需要について(2024年6月)

Data Center Cafe:米国のデータセンターの電力消費は2030年までに倍増 〜Newmarkレポート

地球環境戦略研究機関(IGES):デジタル化の進展による電力消費量の変化と1.5℃目標実現への示唆

これは十分に検索革命と言って良いです。

どういうことが起こっているかと言うと...。ChatGPTは、Googleよりもはるかに深く、資料の中身を読み込むのです。そうして意味あるものだけをセレクトします。質問が専門的なものであればあるほど、その文脈をしっかりと理解して、その文脈に合った専門性のある記事を拾ってくるのです。そうして「情報源ボタン」に並べます。それがわずかに1分!

検索革命が起こっています。この検索革命が、OpenAIのDeep Researchの超高性能のレポート作成を支えています。すごい時代になったものです。

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