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リサーチのプロとして長いこと歩んできた今泉大輔です。ChatGPT出現以降、Facebookで「ChatGPTとMidjourneyのビジネス活用を探って行く勉強会」を立ち上げ、「ビジネスパーソンにとってのAI」の観点で米国情報を収集して来ました。知的アウトプットの質と量を向上させるプロンプトの開発にも取り組んでいます。

1本100万円のインド市場調査を一晩でやらせるケース【経営者のChatGPTディープリサーチ】

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新規事業立ち上げに必要な多数の調査報告書をChatGPTディープリサーチに書かせることができる

経営者こそChatGPTのディープリサーチの最大の恩恵に被ることができる方々であるということに気づきました。

私自身もサイバーエージェントさんなどからご出資をいただいて、プロフェッショナルの時間を売り買いするサービス、今で言う「スポットコンサルティング」を立ち上げようとしていた時期がありました。2009年のことでした。自分で言うのもなんですが発想は良かったと思います。あれから10年を経て実際にそれと同じビジネスが回っているんですから。しかし私の場合は時間を売る方は沢山いても、時間を買う方がほとんど現れないという、バイヤー/セラージレンマと呼ばれる課題にぶち当たってしまいました。時間の売り手は沢山現れる、つまりお金を稼ぎたい方々は沢山現れるのですが、買い手=お金を支払う方々はいっこうに現れない難題に直面しました。結局キャッシュをほとんど稼げないまま、多くの方々にご迷惑をお掛けして終わってしまいました。

ChatGPTのディープリサーチがその時使えたとしたら、起業する前に、スタンフォードのビジネススクール教授並みに企業価値向上方策が頭に入っている彼に何回となく調査をさせて、あの事業はどう立ち上がるのか調べたことでしょう。

そうです。ChatGPTは、「ディープリサーチ」をしっかりと練り込まれたプロンプトで動かすならば、新規事業の開業前に必要な種々のマーケットリサーチ以外にも、以下の諸項目について米国ビジネススクールの専門家並みの報告書を書かせることができます。事業の知見が沢山詰まった「報告書を書かせることができる新機能」だと捉えていただければ間違いがありません。

事業案のSWOT分析
資金調達手法の検討
顧客対象の特定
事業初期段階のキャッシュ創出戦術

それ以外にも新サービスの「ネーミング」の検討や、ウェブ戦略のアドバイスなどをホイホイ気軽にChatGPTから教えてもらうことができます。

夜の接待の場で得たインド市場の豆腐の話を寝る前にディープリサーチさせる

ここからが本題です(笑。ChatGPTのディープリサーチは、上場企業の経営者の方こそが使いこなすことができます。あまりに高機能過ぎて一般的なオフィスワーカーの方々では使いこなせないでしょう。

例えば次のようなケースを想定します。

経営者だと、夜の接待の場で得た、まだ誰も知らない情報について、状況の概観を得るためにちょっとした調査をさせたいというケースはよくあると思います。海外事業調査の会社にいた時に、世界市場で展開するメーカーの社長直結の調査プロジェクトの話が来たことがありました。場合によっては一晩で調べて簡単なレポートを上げる...というような即応はできるか?と。

仮のケースとして、インドの大都市で日本の豆腐が売れ始めているという情報を得て、日本の豆腐製造機器メーカーがインドに進出する余地はあるのか?ファーストインプレッション的な調査レポートが欲しいとしましょう。今は夜です。寝る前にChatGPTディープリサーチにそれ用のプロンプトを仕込んでおいて、朝にはレポートが出来上がっているようにする...。
そういう場合は、筆者がプロのリサーチャーとして積んだ経験を元に、ChatGPTに工夫させた以下の4つのプロンプトのいずれかを使います。必ずChatGPTディープリサーチを使って下さい。
地名や商品名などを変えると、御社の調査のために使えます。

インドの大都市における豆腐の売れ行きを調査するプロンプト

インドの主要都市(デリー、ムンバイ、バンガロール、チェンナイなど)での豆腐の売れ行きについて、最新の市場動向を調査してください。具体的には以下の情報を含めてください。
豆腐の販売量や市場規模(可能であれば数値データ)
現在流通しているブランド(インド国内メーカー vs 日本メーカー)
豆腐の販売価格帯と競争状況
消費者の豆腐に対する認識や需要の変化(ベジタリアンや健康志向の影響など)
小売店(スーパー、デパート、オーガニック専門店など)での取り扱い状況

豆腐を食べる世帯の特性を分析するプロンプト

インドの大都市において、豆腐を購入・消費している世帯の特徴について調査してください。以下の点に注目してください。
豆腐を食べる主な消費者層(ベジタリアン、健康志向、富裕層、中間層など)
消費者の年齢層やライフスタイル(若年層 vs シニア層、独身 vs 家族世帯)
消費の動機(健康目的、料理のバリエーション、ダイエットなど)
外食 vs 自炊での豆腐の使用割合
SNSやメディアでの豆腐に関する話題性(口コミやトレンド)

豆腐の販路・流通チャネルを調査するプロンプト

インドの大都市で流通している豆腐の販路について調査してください。以下のポイントに注目してください。
豆腐が販売されている主なチャネル(スーパー、コンビニ、オンライン、飲食店など)
大手スーパーマーケット(Big Bazaar、Reliance Fresh、Nature's Basketなど)での取り扱い状況
オンライン食品販売(Amazon India、BigBasket、Swiggy Instamartなど)での流通状況
日本産豆腐 vs 現地産豆腐の競争状況
インド国内での豆腐の生産拠点や、輸入されている場合の主要供給国

日本の豆腐製造機器メーカーの参入余地を分析するプロンプト

日本の豆腐製造機器メーカーがインド市場に進出する可能性について、以下の点を調査してください。
インド国内の豆腐製造業者の規模(手作り vs 工場生産)
現地の豆腐製造設備の導入状況と日本製機器へのニーズ
日本の豆腐製造機器の強み(品質、コスト、技術)とインド市場での競争優位性
現地メーカーとの提携・合弁の可能性
豆腐製造における規制・許認可(食品安全基準、関税など)
過去に日本の食品加工機器がインド市場に成功・失敗した事例があれば、その要因

これらのどのプロンプトをChatGPTディープリサーチで走らせても(「ディープリサーチ」でないとプロンプトが要求する内容が高度過ぎてよく動きません)非常に優れたファーストインプレッション的報告書が出来上がります。以下の画像がそのサンプルです。またこの調査報告書の現物をウェブに置きました。以下のURLで中身をご覧いただけます。出典へのリンクも含んでいて大変に便利な報告書です。

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ムンバイにおける豆腐の販路調査報告 (ChatGPTディープリサーチが生成した報告書の現物)

この優れた報告書がたった一晩でできるのです。寝る前に「あ、あれを調べておこう」と思ったその内容が、適正なプロンプトがありさえすれば、ChatGPTディープリサーチで一晩...正確に言えば15分前後で、報告書が手元に来ます。しかもありがたいことにインド市場に関する調査が日本語で読めます。(ChatGPTの中では英語で調査報告書を書いています。それを出力する時に日本語にします)

これをもし海外市場調査の会社に発注したとすると、発注プロセスが最短でも1週間。金額は1本分の調査がおおむね100万円。それが一晩で、ChatGPT Plusコースの料金ひと月20ドルだけで入手できるのです。
すごい時代になったものです。

この関連の記事をこれから上げて行きますので、どうぞお付き合い下さいませ。

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