オルタナティブ・ブログ > インフラコモンズ今泉の多方面ブログ >

株式会社インフラコモンズ代表取締役の今泉大輔が、現在進行形で取り組んでいるコンシューマ向けITサービス、バイオマス燃料取引の他、これまで関わってきたデータ経営、海外起業、イノベーション、再エネなどの話題について書いて行きます。

東京五輪1日92万人の観客をどうやって運ぶ?

»

五輪の東京開催が決まって間もなく、日経朝刊で「五輪、東京に1000万人。交通網、1日92万人どう移動」という見出しの記事が出ました(9月10日付、電子版見出しは「五輪で東京に1000万人、過密都市ゆえの課題多く 」)。内容は、1日当たり92万人の来場者が見込まれるが、1日平均乗降客数850万人のメトロ+都営地下鉄だけでさばけるのか?というもの。この記事を読んですぐさま、「解決はskyTranしかないだろう」と思いました。

Skytranphoto01


SkyTranについて書きたい書きたいと思いながら時期を逸してきたので、この際に、ざさっと記します。

■都心から臨海地区に観客が集中する

この日経の記事を読んでいない方も多くいらっしゃると思うので、問題の基本部分を共有するという意味で一部を引用します。

20年の東京五輪の目玉は、選手村から半径8キロメートル圏内に33競技場のうち28競技場を配置するコンパクトさ。成熟した大都市ならではの利点だが、逆にいえば、観光客などが狭い地域に集中し、会場間の移動に使う短距離交通網に大きな負荷ががかかる。 東京都の予測によれば五輪期間中の1日当たりの会場来場者数は最大92万人。移動の核となりそうな東京メトロと都営地下鉄の乗降客数は1日当たり平均850万人だから、乗降客数が10%以上増える可能性がある。 さらに混雑しそうなのが、都心と臨海地区を結ぶ輸送網だ。20年の五輪では江東区の有明地区に8つの競技場が集中。都心と臨海地区を結ぶ新交通ゆりかもめとりんかい線だけでは輸送能力を超える可能性が高い。

日経新聞2013年9月10日記事「五輪、東京に1000万人。交通網、1日92万人どう移動」

東京五輪2020の特徴の1つが狭いエリアに大多数の競技場を配するコンパクトさにあることはつとに知られたことです。これはこれで大変によいとして、問題はそれぞれの会場に観客をどう運ぶか。8つの競技場が建設されることになる臨海地区には都心部からたくさんの人が集中することが予想されます。

■利用できる公共交通は多くない

Photo

現在、この地区で利用できる公共交通は、路線バスを除けば、新橋ー豊洲間のゆりかもめ、新木場ー大崎間のりんかい線、東京と千葉市近郊の蘇我を結ぶ京葉線、新木場から東京西北部の和光市に抜ける有楽町線の4路線。この4路線がどういう位置関係になっているのかを確認するために、Google Mapの機能を使って太線で記入してみました。赤がゆりかもめ、青がりんかい線、緑が京葉線、黄色が有楽町線です。便宜的にこの地域のところだけ太線にしています。
この地域に直接的に関わるのはゆりかもめとりんかい線だけで、京葉線と有楽町線は東北部をさっとかするだけ。輸送力としてはさほど期待できないと思われます。

さて、新都市交通ゆりかもめはどのくらいの輸送能力があるのか?また、地下鉄りんかい線はどのくらいか?

国交省が平成17年に刊行した「まちづくりと一体となったLRT導入計画ガイダンス」(第1章)によると、主な公共交通が1編成で運べる人員は以下のようになっています。意外と少ないと言えば少ない。1時間に10編成、すなわち6分に1本の間隔で発車させても、ゆりかもめが含まれる新都市交通システムでは3,000名しか運べません。地下鉄になってようやく1万4,000名。

1

同じ資料の第三章では1時間当たりの最大輸送力が記されていました。新交通システム等で1万人〜2万人。地下鉄で4万人〜5万人となっています。ラッシュアワーを経験している肌感覚から言うと、上の表よりはこちらの方に現実味がありそうです。

01

ということで、東京五輪2020の会期中にゆりかもめで1〜2万人/時程度、りんかい線で4〜5万人/時程度の輸送能力が期待できます。これでさばけるのか?

■おそらくはさばききれない

33競技場に均等に観客が行くと仮定して、8競技場がある臨海地区に来るのは約22万人。これが9時〜17時の8時間に均等にばらけたとして2.7万人。現実には競技が開く8時、9時台(行き)と競技が終わる16時、17時台(帰り)に集中するでしょうから、その時刻には毎時8万人といったところでしょうか?
これに加えて、臨海地区の晴海ふ頭公園近くに建設される選手村に集まる関係者が約2万人。

おそらくは、現状の地下鉄・新都市交通の各路線+自動車+バスだけでは間に合わなくなってしまうと思うんです。
また、現状のゆりかもめ、りんかい線、京葉線、有楽町線の駅だけではアクセスの用を満たさない競技場というのも出てくると思います。そこはバスで何とかカバーする…というのも20世紀的な感じがしすぎる解法で、それでいいのかという気もします。

そこでskyTranというわけなのですが、skyTranなんぞやを記すには本日時間切れ。一目見るだけでぱっと理解できる動画があるので、リンクをしておきます。なかなか目を見張るものがあります。


YouTube: SkyTran Presentation


YouTube: skyTran Universal Studios Concept

Comment(0)