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株式会社インフラコモンズ代表取締役の今泉大輔が、現在進行形で取り組んでいるコンシューマ向けITサービス、バイオマス燃料取引の他、これまで関わってきたデータ経営、海外起業、イノベーション、再エネなどの話題について書いて行きます。

太陽光発電の買取価格は最低でも60円/kWhにしないと誰も事業を始めない?

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昨日から太陽光発電の事業で採算が取れるにはどういう条件が必要か、あちこちを見ながら考えています。

まず、いくつか判明したこと。

・ドイツでは、太陽光発電の平均的な設備利用率(稼働率)はおおむね12%程度。(こちらこちら。その他にもモデルケースで12%を使っている例がある)
・日本での環境省の報告にあるモデル的な設定でも設備利用率は12%。こちら(低炭素社会づくりのためのエネルギーの低炭素化に向けた提言)のp57を参照。
経産省が再生可能エネルギーの買取価格について述べている資料によると、再生可能エネルギー発電事業の採算の妥当な目安は「20年間のIRRが8%以上」となっている。
・太陽光発電の採算の目安としては「投資回収10年」が使われることもある(=IRR 7.8%相当)。

なお、「20年間のIRRが8%以上」は、国交省が示しているPFI事業の採算性の目安にEquity IRRで10%程度というのがあり、これを実現するには標準的な想定において、IRR(厳密に言えばProject IRR)で8%が必要になるとのこと。詳細はこちら(低炭素社会づくりのためのエネルギーの低炭素化に向けた提言)のp29を参照。

以上のことから、太陽光発電事業の採算性を見る際には、設備利用率12%、20年間のIRRで8%が得られることを条件にしてもよいと思います。

これを基に買取価格がどの程度あれば採算が取れるのか、ラフに計算してみましょう。

昨日のように環境省の報告書からkW当たりの敷設コストは60.7万円
設備利用率12%(ということは年間の発電電力量はkWユニット当たり1,051kWh)。
営業年数20年間。

この想定で計算すると、kWh単価が60円になってようやくとIRRが8%を超えます。

この想定でも土地代は入っていません。耕作放棄地をゼロ円で借りられたり、自治体から遊休地を無償で提供されたりするケースはよいですが、そうではない場合には事業として成立しない可能性があります。また、人件費、メンテナンス費なども加味されていないわけですから。

買取価格は一概に安いとか高いとか言ってはいけませんね。

ちなみにこちらの環境省の資料(低炭素社会づくりのためのエネルギーの低炭素化に向けた提言)では、ごく普通に74円/kWhという数字を使っています(p57)。条件はやや違いますが。

Report

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追記

少し前に 環境省は太陽光発電がペイするとは見ていない と書きましたが、その背景には、上で引用した報告書(低炭素社会づくりのためのエネルギーの低炭素化に向けた提言)の存在があるわけですね。以下の順序です。

環境省では「IRR 8%」という採算性を確保できる買取価格の水準(70円台)をこの報告書(低炭素社会づくりのためのエネルギーの低炭素化に向けた提言、2010年3月)ですでに把握していた → 

その後、2010年8月に経産省の再生可能エネルギーの全量買取に関するプロジェクトチームによる太陽光の買取価格(高い方で40円台後半?)が示された → 

それを元に環境省が太陽光発電見込みを計算し直したところ(再生可能エネルギー導入ポテンシャル調査報告書、2011年4月)、「参入見込みゼロ」という数字になった。

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