シーメンスもスマートコミュニティを狙い始めた
独シーメンス(Siemens)が今年10月に大きな組織改編を行い、日本で言うところのスマートコミュニティ分野をターゲットにした営業活動を本格化させそうです。
同社は3月下旬に、新たな事業セクターとしてインフラ&都市(Infrastructure & Cities)を設けることを発表していました。
シーメンスのプレスリリース(3月28日)
シーメンスは2008年の組織改革で会社全体を大きく3つのセクターに分けました。インダストリー、エネルギー、ヘルスケアの3つです。今年10月に発足するインフラ&都市事業部門には、インダストリーに属していたモビリティ、ビルディングテクノロジー、LED照明のOsramと、エネルギーに属していたパワーディストリビューションがまとめられます。
こちらの報道によると、インフラ&都市セクターにまとめられる4つの下位組織の売上は合計で210億ユーロ(2兆4,600億円)、シーメンス全体の29%を占めます。組織改編後はエネルギーの売上比率が35%から31%に、インダストリーが48%から23%に落ちます。売上比率からするとかなり抜本的な組織改革ということになります。
その後、5月3日に発表された続報では、ピーター・レッシャーCEOが「速いスピードで成長している都市分野とインフラ市場を取り込むために、システマティックに基盤を作っていかなければならない」とコメントしています。
インフラ&都市に移る各部門の概要は以下。
モビリティ:
- 都市モビリティ(鉄道ソリューションと道路ソリューション)
- 都市間モビリティ(鉄道ソリューションと道路ソリューション)
- ロジスティクス(郵便オートメーション、空港ロジスティクス、カーゴ輸送、サービス)
ビルディングテクノロジー:
- ビルディングオートメーション
- エネルギー効率
- 防火安全
Osram:
- LEDなど効率的な照明を開発販売する子会社。近々株式公開予定(事業部門から離れる)
パワーディストリビューション
ー 電力モニタリング
- 回路遮断器
- 変圧器
ー サージ防止
- スイッチボード
など
これらをまとめると、おおよそ、日本で言うところのスマートコミュニティ関連であるなということが見えてきます。
日本では、単体売りではなく、パッケージにして輸出する、いわゆるパッケージ型インフラ輸出の発想がありますが、シーメンスでもゆくゆくはそのような売り方を展開するのでしょうか?
同社プレスリリースでは、都市関連だけでシーメンスが狙える市場(addressable market)は3,000億ユーロ(35兆円)あると記されています。これは欧州だけでなく世界を念頭に置いています。営業拠点は世界に3カ所、ミュンヘン、米国、中国となりそうです。
後記:
5月3日付けのシーメンス日本法人による日本語のプレスリリースがこちらにありました。
もうひとつ後記:
シーメンスは、低炭素化ソリューションに注力しており、この分野のショーケースとなっているアブダビ首長国のスマートシティプロジェクトMasdar Cityに巨大なショーケース拠点を設置します。以下は弊ブログからの引用。
また、GEと同様にエネルギー関連製品の開発販売を行っているSiemens(シーメンス)も、中東地区の拠点をMasdar Cityに設置することが発表されています。
報道されているところでは、こちらの拠点は非常に大きいです。当初1万2,000平方メートルのオフィス、デモ施設などを作り、将来的には2万5,000平方メートルまで拡大するとのこと。GEの6倍以上になります。
ここには"Centre of Excellence for Smart Buildings"(デモ施設)、"Leadership Development"(再生エネルギーのトップランナーであるための研究開発) 、会議センターが置かれるとのこと。2,000名が勤務することが想定されています。