興味深い伊藤忠のごみ処理・発電事業への参入
これまでまったく触れてきませんでしたが、政府や自治体が民間事業者の力を借りてごみ処理を行う形態もインフラPPPの一分野です。世界各国に多数の事例があります。ゆくゆくこの分野のトレンドがわかる数字が得られましたら、ご紹介したいと思います。他分野と比べると、おそらくは初期投資額が少なくて済む事例がたくさんありそうです。
4月28日付日経朝刊に掲載された「伊藤忠、英でごみ処理・発電 仏スエズと組む、総事業費1000億円」という記事を非常に興味深く読みました。以下の内容です。
・伊藤忠、スエズの英子会社、オーストラリアの建設会社の3社が特別目的会社(SPC)を設立し、英国サンダーランド市など3自治体からごみを焼却処理し、余熱で発電する事業を受注。
・特別目的会社は2014年から25年間、ごみの収集・処理を行い、電力を卸売りする。
・総事業費は1,000億円。伊藤忠はSPCに20%を出資。
・3自治体の総人口70万人のうち35万人分のごみを処理し、3万1,000世帯に電力を供給。
記事によると、日本では燃えるごみの8割が焼却処理されるのに対し、英国では大半を埋め立て処理するのだそうです。英語は"landfill"という言葉がありますが、これが「埋め立て用のごみ」を意味します。
ごみの大半が埋め立てに回るのだとすれば、日本製の高効率なごみの焼却炉+余熱による発電は、大きな可能性があるように思えます。
仮に日本のごみ焼却炉の技術が非常に高くて海外でも市場競争力を持ち、それによって高効率な発電もできるものであるならば、世界各国で行われているごみ処理のPPPにおいて受注競争に勝ち残る可能性が大きいです。そのへんを今後確かめていきたいと思います。
インフラPPP事業の枠内に入るごみ処理は"Waste Management"と呼ばれています。"Waste Management"と"PPP"で検索すると、多数の資料が出てくると思います。
ごみを焼却して発電する形態は"Solid Waste Generation"と呼ばれているようです。この分野でどういう動きがあるのかについても、ご報告して参ります。
今回の英国事例では対象になる人口が35万人と、中規模の都市のサイズです。この規模の都市は世界にそれこそ無数と言っていいぐらいにあるので、ごみ焼却+発電の市場はかなり大きいのではないでしょうか。