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株式会社インフラコモンズ代表取締役の今泉大輔が、現在進行形で取り組んでいるコンシューマ向けITサービス、バイオマス燃料取引の他、これまで関わってきたデータ経営、海外起業、イノベーション、再エネなどの話題について書いて行きます。

[追記]Masdarの太陽熱発電事業、コスモ石油の参画、太陽熱発電の発電単価

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資料を検索する際に英語の固有名詞でばかり検索しているので、日本語の重要な情報を見落としていました。

「マスダール」で検索したところ、以下のブログ投稿が見つかりました。

AbuDhabist.com:マスダールがプラント建設を三井造船へ

コスモ石油が10日、アブダビ政府系機関のマスダールと共同で、太陽熱実証実験のプラント建設を三井造船に発注したと発表しました。これは世界初のCO2 を排出しない環境都市マスダールシティ内に建設され、建設期間は2009年5月~2009年12月で、2010年から運転を開始します。発注総額は8億円です。三井造船は東京工業大学などとの技術開発の成果から、建設・メンテナンス・発電コストを低く抑える事が期待されています。

この投稿の元となっているプレスリリースがこちら。

アブダビでの集光太陽熱実証実験プラント建設について

(2)今回建設される集光量100キロワットの実証実験プラントの運転を通じて、実際の集光分布と東工大のスーパーコンピュータを利用した集光シミュレータによる計算結果を厳密に比較すると同時に、各種機器の性能を測定することにより、将来の大型商業プラント設計に欠かせない数多くの貴重なデータを収集することが可能となります。

(4)現在、中東産油国を含む世界のサンベルト地帯で注目されている集光太陽熱発電技術には、大きく分けてトラフ型とタワートップ型がありますが、今回の共同研究開発では、東工大炭素循環エネルギー研究センター 玉浦裕(たまうら ゆたか)教授が提案する東工大式ソーラータワービームダウン集光技術を実証し、太陽熱発電コストのさらなる低減をめざします。この技術はタワートップ型をさらに進化させたもので、一度タワー先端に集光された太陽光を、東工大独自技術を結集した中央反射鏡により地上近くに設置した太陽炉に再反射させます。太陽炉を地上近くに設置することによって、建設コストやメンテナンスコストを低減することが可能と言われており、他の集光太陽熱技術に比べ、発電コストを低く抑えることが期待されています。

採用される「東工大式ソーラータワービームダウン集光技術」は非常に有望な技術であるらしいです。

以下の記事では、非常に衝撃的な事実が書いてあります。

日経BP ECO Japan:投資回収は10年程度も地中海で花開く大規模熱発電[太陽熱利用]

最終的に2012年に、3~4基のタワーを組み合わせた集光熱量12万kW(熱電変換効率36%)の商業プラントを完成させることを目指す。1kWh当たりの発電コスト(発電単価)は8~9セントを目指す(トラフ型は15セント程度)。
東京工業大学・炭素循環エネルギー研究センターの玉浦裕教授は、「太陽光発電の平均的な発電単価は20セント程度で、太陽熱の採算性のよさが際立つ。石炭火力は4セント程度だが、炭素税などが上乗せされれば、十分に戦える」と自信を見せる。

1kWh当たりの発電単価が8〜9セントが射程距離に入っている…ということは、

原子力発電の経済性に関する考察
 公益事業学会 第55回 全国大会 (2005年6月12日) 勝田忠広氏、鈴木利治氏の報告

によると原子力発電の発電単価は1kWh当たり5.9 円。1ドル100円で換算すれば5.9セント(なお同考察では、従来受け入れられてきた「原子力の発電単価は火力よりも安い」という一般通念に疑念を差し挟んでいる)ですから、依然として差があるとはいえ、さほど見劣りしない水準ということになります。

このへんの記述は、シミュレーション好きにはたまらないものがあります。

採算性の高いプラントを作るには、発電のシミュレーション技術が極めて重要になる。ヘリオスタットが互いに干渉しない配置を割り出したり、1基のヘリオスタットが太陽の位置に応じて、最適なタワーに光を送るようにしたりといった、コストと発電の効率を上げるための工夫をするには、実際の太陽と設備の動きを再現する必要があるからだ。東工大は10年かけて光学設計シミュレーターを開発してきた。東洋一の演算速度を誇る東工大のスーパーコンピューターを使えば約10時間で1年間の発電を再現できる。アブダビの実験プラントを使って、シミュレーションの“正しさ”を確認できれば、大型プラントが容易に設計できるようになる。これは世界初の試みとなる。

なお、Masdar側の発表がこちらにあり、ソーラータワービームダウンの写真が掲げてあります(MASDAR BEGINS RESEARCH AND DEVELOPMENT PHASE FOR NEW SOLAR TOWER ‘BEAM DOWN’ FACILITY)。

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