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株式会社インフラコモンズ代表取締役の今泉大輔が、現在進行形で取り組んでいるコンシューマ向けITサービス、バイオマス燃料取引の他、これまで関わってきたデータ経営、海外起業、イノベーション、再エネなどの話題について書いて行きます。

企業の未来をはっきりと示したIBMのThought Leadership

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シスコIBSGではThought Leadership関連の仕事をちょくちょくやります。日本の感覚では自らがやっていることを"Thought Leadership"と呼ぶとは何事だという感じですが、米系のコンサルティングファームではよく使われている文言です。
その関係でよそ様がやっているThought Leadership系の刊行物、ウェブ、調査報告書なども少しは気にしています。

弊ブログで何度か取り上げたCapGeminiとMerrill LynchによるWorld Wealth Report。あれも一種のThought Leadership活動ですね。世界の富裕層の金融資産を毎年計測して定量的な動向を把握するだけでなく、そもそも世界的な視点で見ると「富」は何から生まれており、どこからどこへ流れているのか、そして近い将来においてどういう動きを示しそうか、といった、非常に示唆的な部分についてもしっかり記述しています。
これは、そもそも「富」とは何か、といった非常に抽象的なことを考える際にも参考になるし、近未来における産業のあり方を考える際にも利用可能な視点を提供してくれます。これはもはや単なる統計の報告書ではなく、Thought Leadershipの領域です。

定期刊行物であり、ウェブ版も充実しているMcKinsey Quarterlyも、単なるPR誌の域を超えたThought Leadership活動ですね。このブログでも何度かネタをいただきました。

売れるのは「よほど高い」か「よほど安い」か
お金のなる木 Tacit Interactions
McKinsey Quarterlyが選ぶ「注目すべき8つの技術トレンド」

こうしたThought Leadership活動は大きく、アドホックなトピックについてコンパクトな論考を展開して、読者に「あ!」という気づきを与えてそれでお役目完了というタイプと、本格的な統計調査を行い、そこから得た知見で論考を展開しながら、最終的には、未来についての明快な視座を与えるというタイプに分かれます。後者は「未来をつくる」のに等しい言論活動です。Thought Leadershipというだけあって、それぐらいの力技を行います。

弊ブログで触れたものでは、McKinsey QuarterlyのTacit Interactions関連の記事がそれに近い位置づけでした。これは、未来のプロフェッショナルの職業のあり方はどうなるのかを、統計データに基づいて意欲的に論じています。

昨日参加させていただいたIBMビジネスコンサルティングサービス主催のブロガーズミーティングにおいてご説明を伺った「Global CEO Study 2008: The Enterprise of the Future」も、後者のThought Leadership活動ということになります。

この調査では世界のCEO 1,130名にインタビューを行い、得られた回答やコメントなどから、世界の企業のトップが考えている「変革」のあり方を定量的に浮かび上がらせています。個人的に興味があったのは、そうした統計調査結果の先で打ち出される「企業の未来」の方。僭越ながら、ここで打ち出される「未来」がいかに説得力があり、かつ、受け手を刺激してくれるかがThought Leadershipのキモとなります。

結論から言うと、「なかなかよかった!」。僭越ですが…。

「未来の企業」に必要とされる軸を5つのキーフレーズで示しています。英語で書いたほうがわかりが早いと思うので…。
  Hungry For Change
  Innovative Beyond Customer Imagination
  Globally Integrated
  Disruptive By Nature
  Genuine, Not Just Generous

この5本の動きが必要だとのことです。この5本のそれぞれにおいて、5段階の発展フェーズが記述されており、最終的には以下のような状況に至ります。これが未来の企業というわけです。

  Hungry For Change - 変革を継続する仕組みが戦略にビルトインされている状態
  Innovative Beyond Customer Imagination - 顧客の想像を超越するということが会社全体の中で仕組みとして動いている状態
  Globally Integrated - 世界規模の広がりを持って常にビジネスモデルを変化させながら、なおかつ、1つの企業としての統一感を保っている
  Disruptive By Nature - 常識を破っていくことを自社のカルチャーとし、競争優位とする
  Genuine, Not Just Generous - CSRに保守的に向き合うのではなく、プロアクティブに取り込んでいくことで、自社の企業価値の源泉とする
*一部今泉が加筆

非常に抽象的な感じもしますが、よく咀嚼しながら読むと、未来の企業とはこうであるようなぁという姿がじんわりと伝わってきます。

より詳細な記述がほしい方は、以下で今回のCEO Study 2008の報告書(英文)の全文が公開されているので、そちらをお読みください。英語で全文をしっかり読み込んでも、たぶん損はないと思います。

The Enterprise of the Future: CEO Study

日が経たないうちにこの素材でもう1本、投稿を上げます。

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