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株式会社インフラコモンズ代表取締役の今泉大輔が、現在進行形で取り組んでいるコンシューマ向けITサービス、バイオマス燃料取引の他、これまで関わってきたデータ経営、海外起業、イノベーション、再エネなどの話題について書いて行きます。

書籍もCDもデジタル家電もロングテール化する。企業もロングテール化する。国家もロングテール化するとすれば?

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これも忘れないうちに書いておかなければなりません。気がついてあたりを見渡せば、色んなものがロングテール化していることがわかります。
書籍もそう。CDもそう。コンビニに並べられるスナック菓子にしたって、チョコレート菓子にしたってそうです。デジタルカメラなんかも現在出回っているすべての機種の売上を調べてみると、たぶんロングテールの傾向が認められると思う。

企業のある特定の数値指標なども、おそらくは、そうなっていると思います。世界各国の同一業界の企業を集めて指標を取ってみると、たぶんそうだと思う。
そして国家の経済もそうなっていくのではないか、というのがぼんやりした確信です。

これらはすべてネットワーク化の進展と関わりがあると考えています。

自分は今、あるネットワーク機器会社のコンサルティングサービス部門でリサーチをやっているということもあって、ITの範疇で語られるネットワークの事項や動き以外に、もう少し比喩的に見ることができるネットワークの作用みたいなことについてもよく考えることがあります。
そうした中で「新ネットワーク思考」(バラバシ)を読み、「なんだここで全部説明されてるじゃん」と思いました。経済の中で働いている、目には見えないけれども、比喩的に捉えられるネットワークの作用ということについてです。ネットワークはベキ法則に収斂するメカニズムを持っている。
それから「フラット化する世界」を読んで(訳が出る前に英語で読みましたけれども^^;)、その比喩的に捉えられるメカニズムが現実の世界ではどのような形で出てくるのかを理解することができました。ネットワークのメカニズムは世界のあちこちで色んなものを取り込みながら、日々影響を強めていると言うことができます。

グローバライゼーションのなかで世界全体が目に見えない重層的なネットワークで結びつくようになると、個々の要素はどこに接続するにしても、結果としてそこにはベキ法則が表れる。結果としてロシアが興隆し…なんてレベルで考えるのは大げさにしても、因果関係を細かく見ていくと、特に国力の隆盛や低迷は経済(無数の主体がネットワークのメカニズムを活用しあう)が関わっているだけに、あながちはずれていないのではないかと思います。

一歩推し進めて考えて、国単位の経済もロングテール化するとすれば、日本はどうなるのか。
日本はグラフの縦軸の高い方に位置する国に入るのか?中間領域が存在しにくいこのメカニズムのなかで横軸の長い方に位置する国々に入ってしまうのか?たぶん後者ではないかというのが、ここ3ヶ月ばかりの経済紙誌などの論調です。

はたしてそうなるのか?

視点を変えて、ネットワークで色んなものが結びついてロングテール化が進展するなかで、ネットワークとはもっとも縁遠いところにいるものは何かを考えてみると、「経験」に目が行きます。
非常に個人的な経験。五感をもってする経験。かかったお金の多い少ないがまったく関係ない経験。
例えば、まったく脈絡なく内房線に乗って千葉県の千倉あたりで降りて夕方、まぁ缶ビールでも飲むかと言って、飲んでみたところのこたえられないうまさと夕暮れの光景。例が世代がかっているのはしょうがないとして、例えばそうした経験というのは、ロングテールとは一切関係ありません。金輪際関係ない。
これは非常に個人的な経験であって、誰が文句を言う筋合いもないし、誰からほめられるものでも、けなされるものでもない。自分だけの自分の五感と脳と記憶と想いだけが知っている非常に稀有な経験なわけです。ここにネットワークが入り込んでくる余地はない。まぁブログなんかで書けば別ですけどね。

こういう個人の個別具体的な経験は、ロングテールが否応無く持っているランキングや売上や数値指標の多い少ないの序列付けとは、一切関係ないところで、静かに屹立しています。

これですね。

ここに世界規模でますます大きくなるネットワークのメカニズムに抗うことができる、非常に小さな、しかし非常に手堅い立脚点のようなものを見出すことができると思います。

そして翻って、国家というレベルの話になるとしても、日本が日本でなければ生み出すことができない、個人における経験に相当するものをうまく見つけ出して、掬い上げて、大切に育ててあげるならば、国家経済の数字で見ていかにテールの端っこに位置するようになろうが、たぶん誇りを持って生きて行けると思う。

忘れないうちにここまで書いておきたかった。

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