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株式会社インフラコモンズ代表取締役の今泉大輔が、現在進行形で取り組んでいるコンシューマ向けITサービス、バイオマス燃料取引の他、これまで関わってきたデータ経営、海外起業、イノベーション、再エネなどの話題について書いて行きます。

資産家のよりよい節税行動が公益につながるわけ

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富裕層の金融サービスのニーズにはどんなものがあるか、というのが最近の仕事のテーマの1つ。個人の資産家であっても、企業経営者で資産を作った人であっても、根本的なニーズの1つに節税があります。
節税目的で何が行われているかということを思い巡らした時に、日本では申告時に控除の対象になりにくいけれども、米国ではなりやすいと聞く「寄付」があることに気がつきました。

米国のウェルスマネジメント系の資料を読むと、なかに大きな項目として「Giving」があります。なんで寄付が業務として存在しているウェルスマネジメントの中で大々的に取り扱われているのか、ピンとこなかった。しかし、資産家の節税目的の寄付ということであれば話は通ります。

公の性格を持った資金のコスト/ベネフィットを考えた時、国や地方自治体にいったん収めて歳出として使ってもらうパターンと、財団等のNPOに寄付してそこの活動で使ってもらうパターンとで比較考量することは理に適っています(リタイアした資産家がある程度大きなお金を寄付に回そうか、納税に回そうか考えている時、そのお金は公の性格を持っていると言えます)。同じコストを投じた場合、後者のベネフィットがはるかに大きいと判断されれば、賢明な資産家であれば後者にお金を回すはずです。

投資家の神様のような存在であるウォーレン・バフェットが昨年、築き上げた資産のほとんどをビル・ゲイツが運営する財団に寄付することを発表しました。これは、相続税やその他の税の形で国家・地方自治体に納めるよりも、ビル・ゲイツの財団に寄付という形で渡したほうが、コスト・ベネフィット的には賢明であると判断したからなのだと思います。

米国に色んな財団があって、いろんな活動を行っていますが、それがはためからは盛んなように見えるのは、資産家がそういう理由で納税ではなく、寄付を選択したからのではないか。(日本にも公益法人はいっぱいありますが。。。。それとこれを同じ文脈で論じることはできないような。。。)
逆に言えば、米国では資産家が節税手段としての寄付を使うことが容易であるために、結果として、財団による非営利活動が活発になっているのではないか。

日本のNPO活動がもっと活発になるためには、寄付の仕組みを見直すとよいのではないか…てなところまで至るわけですなぁ。節税は奥が深い。

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