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株式会社インフラコモンズ代表取締役の今泉大輔が、現在進行形で取り組んでいるコンシューマ向けITサービス、バイオマス燃料取引の他、これまで関わってきたデータ経営、海外起業、イノベーション、再エネなどの話題について書いて行きます。

「最初のリスク」をコンバートして消化する

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----お知らせ----

昨日のミッドタウンの電飾はテスト点灯だったようで、本格点灯はまだのようです。すみません。

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さて。

最初のリスクを誰が負うかということは、なかなか哲学的な問題をはらんでいるように思います。
いまは形がない新規事業において、あるいは、前例のないイノベーションと置き換えてもよい。はたまた思いつきレベルのもの、ペーパープラン状態のもの、「オレはこれを発見したぞ!」状態にあるもの…。そうしたものを形にしていく際には、必ず、何種類かの資源が必要になります。

まずはお金が必要。それから携わる人が必要。業を展開するための場所も必要(インターネット空間での開業はあまり場所を必要としないように思えるかも知れないけれども、ある程度の規模感をもった事業にしていくためには、打ち合わせをしたり、誰かが常時何かの作業をしたりするための”基地”に相当する場所はなくてはならず、それはやはり自宅ということでは収まりがつかず、どこかに借りるということになっていくと思います)。
それから業を行う主体としての法人も必要。これは資源というよりは法人格という時の”格”ですが、設立と運営の実際を考えるなら、ある種の資源と考えるのが実際的です。
最後に時間です。この時間という資源は、ある程度は人に置き換えることもできるし、ある程度はお金でカバーすることもできるけれども、でもそれでも吸収しきれない部分が残ります。1を投資して2を得る的な要素が多分にあるので、資源として考えてよいかと思います。

こうした資源がうまく揃って初めてアイディアは形になっていく。イノベーションが世に出て行く。

そうしたことを発案した人がまず最初に行うのは、企画を紙や絵に書いて、資金を出してくれそうな人のところへ持っていくということだと思います。これはこれでよろしい。今では、ドアを叩けば、会って話を聴いてくれる人はたくさんいます。場合によっては身を乗り出してくれるかもしれない。

しかしその前の時点で、「最初のリスクを負うのは誰なのか?」ということについて、死ぬほど真面目に考えておかないと、たぶん話が先には進みません。
こうしたペーパープランを書いた状態で、すでに法人はできているかも知れない。あるいは開業作業を進めていく人も何人かいるかも知れない。
けれどもそれは、往々にして「法人を設立しよーぜ。おー」というノリでできただけの状態にある法人だったりするだろうし、そうでないにしても、設立後の最初の本格活動が資金集めだという状況は、リスクを負っているとは言えません。ヘンな言葉ですが、無リスク法人と言えるかも知れない。
何人か集まってきた人も、本質的には「やろーぜやろーぜ」と言っているだけであって、発案者を含めて、そのままではどう見てもリスクを負っているようには見えない。

そういう段階で、他の法人なり資産家なりに紙を持って行って、われわれの新規事業はかくかくしかじかのものであるから将来性がある、これこれの収益が見込めるから、事業資金を出して下さいと頼む。
そこにおいて、「われわれは最初のリスクを現実的には何も負っていない。いま依頼している事柄は、最初のリスクを第三者に担ってもらうということである。われわれはそのことを重々承知している。」ということがよーく理解できていないと、自分たちと出資依頼相手との間で、話がちぐはぐになってしまいます。

最初のリスクというものは、ある種もぞもぞうごめいていて捉えどころがなく、不可視であり、本来的には第三者が負えないものだと思います。発案した当人、事業を始めようと誓約した当事者たち、あるいはその他言いだしっぺが負うことによって初めて、”形のあるリスク”になり、何と言うか、可搬性を持つに至る。
このもぞもぞした状態にある最初のリスクを、自分たちがよく考えて(そもそも、どこからどこまでがリスクであるかすら、定義されないといけない状態にあるリスクなので)、自分たちでよくそのリスクの正体を把握して、この種のリスクを自分たちは負うことになるのだということをよく理解し、腹を決め、「よーしやったる」という決意ができるところになって初めて、第三者が割って入って、それから派生するリスク、連続的に生じてくるリスクの一部なり全部なりを負うことができるようになるわけです。

一般的に最初のリスクというのは、金銭に翻訳可能であり、端的に言うなら1,000万円、あるいは2,000万円。そんなところです。上記「ある種もぞもぞうごめいていて捉えどころがなく、不可視」であったリスクも、いろいろ分解してみると、すべてお金でカウントできることがだんだんわかってきます。(上の法人という資源、人という資源についても、その程度のお金の裏打ちがあって初めて、最小単位と見なせる資源となるわけです)

この最初のリスクを負うことなくして、ペーパープランをつくり、VCや事業会社や資産家のところに行っても、収支シミュレーションを見ながら、「何でこうなるのん?」ということになってきます。その指摘の細部はどうでもいいのであって、「何でキミたちは最初のリスクを自分で引き受けることなくして、われわれのところに相談にくるのだ?」ということを言っているわけです。お相手の方は。

冒頭で、哲学的な問題をはらんでいると書いたのは、そうした最初のリスクが自分で負えるかどうかは、その人の価値観、将来に対する考え方、成功の定義、幸せというものに対する向き合い方と不可分に結びついているからです。
ある種の価値観を持っており、将来についてある考え方を持っているならば、そうした最初のリスクは絶対に負えない。それは主義としてできない。そういう類のリスクであると思います。

でですね。この最初のリスク。LAMPが活用できるインターネット上の起業においては、金銭以外のものに転化させることが可能なんですね。上で1,000万円あるいは2,000万円と書きましたが、それを上述の別な資源に、端的には時間にいったんコンバートした上で、いくつかの工夫を施すと、ほぼ同等の金銭価値を持つリスク負担に変えることができる。それが言いたかった。

追記。

とは言っても、このやり方がすごくイージーだと捉えてはいけませんよ。最低限の知識武装、理論武装は必要であって、財務、会社法、資本政策なども含めて、実務書・経営書100冊ぐらいは普通に目を通しておかないと、足元がおぼつかなくなります。

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