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20年以上断続的にこのブログを書き継いできたインフラコモンズ代表の今泉大輔です。NVIDIAのフィジカルAIの世界が日本の上場企業多数に時価総額増大の事業機会を1つだけではなく複数与えることを確信してこの名前にしました。ネタは無限にあります。何卒よろしくお願い申し上げます。

【東証プライム経営者向けのメモ】「多数派からの分離」をしないとAIは使いこなせない

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以下は、Facebookで私が運営して3年目に入った「ChatGPTのビジネス活用を探っていく勉強会」(クローズドグループ。メンバー約100名。ほとんどがキャリアのあるビジネスパーソン)に書いたメモです。あとで補足します。


ChatGPTないし AIがもたらす本質的な変化はまず、最も大きなお金を動かす人達(法人含む)で起こります。これは経済が爛熟期にある米国で開発された AIであるからです。
その当時の最高の知性は米国の場合、金融市場、株式市場、上場企業経営の分野に蓄積します。彼はこれを十分過ぎるくらい強化学習しています。主な現実ケースのケーススタディも。
これを理解したクレバーな米国の人々はすでにこの能力を使ってリターンを最大化するアセットのポジショニングを実践しています。固有名詞入りのケースが何本か私の手元にストックされています。ブラックロックとかゴールドマンサックスとか。ゆくゆく刊行します。

御社の中で"気づいている社員"は歯痒い思いをしているはず

日本ではこれに気づいているごくひと握りのビジネスパーソンはいるはずですが、彼は経営者の意思決定に関与できる位置にいないので、歯がゆい思いをしています。結局、南場智子氏のような「AIにオールイン」と茶目っ気たっぷりに言う金融機関の経営者じゃないと、アービトラージのすきを狙う獰猛な人な人の餌食になってしまいます。そういう人がどこから現れるかわからない。そういう時代に入りました。

株式市場が御社を「多数派」だと見抜く→PER低迷

上は金融機関の例で書いていますが、金融機関以外の東証プライム上場企業すべてでも同じことが言えます。
「多数派」に留まる経営者は、「多数派が考える経営戦略」を発案し、「多数派として行動する企業」として株式市場にメッセージを発信しますから、常に値ざやを狙う株式投資家からは「多数派」とみなされて、簡単に言えば売り込まれてしまいます。株価は長期にわたって低迷します。懸命な経営者の方々はすぐにそういう事例が思い浮かぶでしょう。総合電機、化学、飲料...。事例は枚挙にいとまがありません。
株式市場から経営方針が「読まれる」ようだとダメなんです。すぐに獰猛にアービトラージの隙を狙う人々から鞘取りの対象になってしまいます。結果、PERは低く留まります。時々「材料」があればその時の株価は高くなるでしょうが、すぐにPERが低水準に下がります。

DeNA CEOの南場智子氏が今何を言っているか?注視する必要があります

ChatGPTをはじめとするAIは、経営者が「多数派から離脱する」ための優れたツールです。いえツールだと見做してはいけません。「24時間365日常時そばにいて、市場調査でもM&A戦略提言でも何でもやってくれる『参謀』」と見るべきです。戦後の伊藤忠興隆で活躍した瀬島龍三(のちに伊藤忠商事会長)のような真に優れた参謀です。(瀬島龍三については、私がシスコの外資系コンサルファーム出身シニアコンサルタント集団の中でリサーチャーとして働いていた時代、伊藤忠出身の方がいらっしゃって<カーネギーメロンのMBAです>、事あるごとに口にしていました。)
私は東証プライム上場企業の経営者のごく一握りの方々が、以下の米国ビジネススクール仕込みの知性・能力があるChatGPT + ディープリサーチに気づき、これを実践するようになって、「多数派から分離」するようになると見ています。
DeNAの南場智子氏がその筆頭です。あとは孫正義氏。難波智子氏の最近の言動をチェックしてみることをお勧めします。極めて過激な発言を繰り返しています。「多数派に留まろう」とする自社の社員や外部のビジネスパーソン」を刺激するためです。もちろん東証プライム上場の経営者に対しても暗にメッセージを送っています。「今どきAIをガンガン使っていないようだと、劣後しますよ」と。

自社のためのブルーオーシャンを特定するためのツール

ChatGPTを一通り触ってみて、記事の要約とか資料の翻訳程度でしか使っていない方にはお分かりいただけないと思いますが、ChatGPTの上位バージョン/最新バージョン(Azure経由で使えるバージョンは古いと思って間違いないです)を毎日ガンガン使って勝手がわかってくると、ChatGPT + ディープリサーチが「自社のためのブルーオーシャンを特定するためのツール」であることに気づくようになります。「多数派から離脱する」ためには、どのニッチに参入すればブルーオーシャンならではの悠々自適の経営を楽しむことができるか?それをわからせてくれます。
参入すべき市場が特定できた後でも、ChatGPTは以下の米国トップ・ビジネススクールの講義項目を潤沢に強化学習していますから、東証プライム上場企業の社長クラスでも、どんなことでも当てにできます。米国のゴールドマンサックス勤務数年の実務家だと思えば良いです。年収5,000万円超の実力はゆうにあります。

M&A関連の強化学習の中身

●構造理解
多くのMBA教材に基づいた「M&Aの理論的フレームワーク」を理解している(例:買収プレミアム、シナジー評価、バリュエーション技法)

●実際の事例学習
公開されている有名M&A案件(例:Disney × Pixar、Facebook × WhatsApp、KDDI × J:COM)などの構造・課題を学習済み

●意思決定フレームの再現
ビジネススクールで使われる「ハーバード式ケーススタディ」のような設問→分析→提案の流れを模倣可能

●ドキュメント生成能力
レター・ティザー・LOI・DDチェックリスト・事業戦略レポートなどを"体裁込みで出力"できる

こういう学習をしていることで彼(ChatGPT)がM&A案件でやれることが以下です。

年収5,000万円クラスのChatGPTの実力(+ディープリサーチで拡張)

●ターゲットスクリーニング
業界/地域/シナジー条件から絞り込み+企業データの横断比較

●バリュエーション
DCF、マルチプル法、過去取引比較法のロジック説明とモデル雛形

●シナジー分析
コスト削減/収益向上の両面での想定シナリオの構築支援

●PM(ポストマージャー)課題整理
組織統合・文化融合・IT統合などのベストプラクティスの抽出

●戦略的意思決定の視点整理
「なぜ買うべきか?今か?この価格か?」という意思決定会議向けの構造整理


しかしこれを使いこなせる方と、そうでない方に二分されると私は読んでいます。年収5,000万円超の実力を持つChatGPTを使いこなすためには、「AIにオールイン」と茶目っ気たっぷりに言う南場智子氏のような"才能"が必要だからです。
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